海外滞在中の子供の教育
インターナショナルスクールの不安解消Q&A
インターナショナルスクール、興味はあるけどイマイチ分からない点はあるかもしれません。
その不安を解消するために4問、Q&A方式によるコラムです。
この記事で書かれていること
Q1.日本人学校育ちや海外滞在期間が短くても可能?
●A.海外滞在歴が長いお子さんが向いています
学年相応の英語力が必要ですので、海外滞在歴が長くインターナショナルスクールや現地校(英語圏)で学んだお子さんが向いています。一方、日本語で学ぶ日本人学校育ちの場合、インターナショナルスクールで英語で学ぶことはなかなか難しいと思います。
英語圏やインターナショナルスクールで3 年以上学んできたお子さんは、学年にもよりますが、帰国時にインターナショナルスクールの選択も視野に入れたいですね。 特に幼児から小学校低学年なら、年齢的にも適応しやすいと思います。
小学校中高学年の場合、学校によっては英語力が足りない場合、ELS(English as aSecond Language = 非英語圏の生徒の為の英語指導)を行ってくれる場合もあります。
ただし、ELS を履修する場合、別途費用がかかる学校もあります。
英語と日本語のバイリンガルで育ったお子さん─特に幼児、小学校低学年のお子さんは、帰国後にすぐに英語を忘れる傾向にあります。
そのためバイリンガルに育てたい場合は、幼児・低学年の帰国生にとってインターナショナルスクールの選択は有効でしょう。
Q2.学費はどれくらいかかる?ものすごく高額なの?
●A.学校によりますが、高額です。
学校によっても異なりますが、おおよそ入学金が30万円、年間施設費が50万円、年間授業料が200万円前後が目安です。インターナショナルスクールが増加した1990 年代以降は、年間授業料が120 万円前後の新興インターナショナルスクールも増えました。
しかし日本の学校ならば、私立でも年間授業料が100 万を超えるところはほとんどないので、やはり高額といえます(一部、奨学金あり)。
「なぜ、インターナショナルスクールの授業料が高いのか?」。
そう質問されることも多いですね。
日本の学校(一条校)には自治体などから公的補助金が出ていますが、一条校ではないインターナショナルスクールはほとんど受け取っていません。
税金の優遇なども低く、運営費をほぼすべて自分たちでまかなっています。
また、世界各国にインターナショナルスクールが多く設立されて、国際バカロレアなどの教員は世界的に高騰し、ベテラン教員の争奪戦が起きています。
優秀な外国人教師を確保するためにの人件費なども考えると、今後もインターナショナルスクールの授業料が下がるとは、考えにくいです。
Q3.勉強は難しいの?ついていけなかったら?
●A.自分で考える力を育てます。
インターナショナルスクールの学びは、自分で考える力を育てます。例えば「なぜ、この花は赤いのか?」という課題があるとしたら、花の阿寒色素やDNA、育った土壌、気候などさまざまな切り口で考え、調べ、仮説を立て、検証していきます。
このプロセスで、科目を越えた学習が行われます。
いわゆる知識を詰め込むだけではないですね。
そのため、勉強が難しい生徒には、補修や、学校によっては上級生がチューターとして下級生の勉強をみたりするところもあります。
それでも授業についていけない場合、その子のことを考え、進級を認めない場合もあります。
生徒一人ひとり違うことを全体としているため、学力もちがうと考えているからです。
そのため、留年はあっても、退学などは素行がひどい場合を除いてほとんどありません。
また、インターナショナルスクール間の転校も一般的です。
そのため、帰国生にとってインターナショナルスクールは、英語で学び続けられる貴重な存在といえます。
Q4.卒業後の進路は?日本の大学にも進める?
●A.日本の大学への進学者が増えています。
これまでインターナショナルスクールの卒業生は、海外の大学へ進むのが一般的でした。しかし、国際バカロレアを含め、近年では英語で講義を行う日本の大学の学部、学科も増えました。
文部科学省は「グローバル30」(国際化拠点整備事業)を採択し、東京大学をはじめ13 大学が英語で学ぶコースを増やしました。
この背景には、留学生を増やしたい政府の意向もあり、インターナショナルスクール卒業生も対象となっています。
そのため国際バカロレアのディプロマやSAT®などの点数、内申書と小論文などで合否が決まることが多くなっています。
センター試験などを受けず日本のトップ大学へ志願できるため、人気となっています。
もちろん、多くの生徒が海外の大学へ進学しています。
近年では、各スクールの大学フェアに国内外の有名大学がこぞって参加し、インターナショナルスクール卒業生の取り込みをはかっています。
その背景には、大学入学後もしっかり学び、卒業後も活躍し続けるインターナショナルスクール卒業生が多くいるからです。
お話を伺った方 村田学氏
インターナショナルスクールや国際的カリキュラムを導入している学校の情報を掲載するWEBサイト『インターナショナルスクールタイムズ』編集長。日本国内のプリスクール、キンダーガーデン、インターナショナルスクールを調査・研究、取材にもとづき中立公正に紹介している。
スクール選びのための相談にも対応。