帰国後の子供の教育
帰国子女の転校手続きと帰国のタイミング
帰国のタイミングは日本の学校の入学手続きを踏まえて決める必要があります。
帰国後、スムーズに入学手続きができるよう、帰国が決まってから学校に入学するまでのスケジュールについて把握しておきましょう。
ここでは、帰国子女の転校手続きと帰国のタイミングについて解説していきます。
この記事で書かれていること
海外から日本の学校への編入・入学・転校の手続き
●幼稚園・保育園の場合
新入園募集は一般的に秋頃に開始されます。欠員募集や年の途中の入園は、公立では受け付けている場合が多いですが、私立ではそれぞれに方針が異なります。
・公立での手続き書類と入園までの流れ
入園申込書と住民票の写しを提出し、その後面談や健康診断を行います。・私立での手続き書類と入園までの流れ
入園願書を送付し、後日面談などの考査を受けます。合格後、入園手続き。
●小学校・中学校の場合
・公立小中学校
帰国後に住民登録を行ったのち教育委員会での手続き、学校長との面談等を経て入学します。転入学は随時可能です。
手続きに必要な書類は、日本人学校の場合だと在学証明書、指導要録の写し、健康診断表、教科書給与証明書。
現地校や国際校の場合は在学証明書、成績証明書などになります。
・国立大附属小中学校(帰国子女学級)
各学校が定める学区内に居住することが入学条件で、学校によっては出願時に学区内に住民登録している必要があります。編入学は欠員がある場合に募集されます。
なお小学校の帰国子女学級入学者は、付属中学校・高校への進級資格がない学校もあります。
出願に必要な書類:願書のほか、住民票、海外居住を証明する書類、在学証明書、成績証明書、など。
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・私立小中学校
入学試験を受ける必要があります。一般入試では国語・算数・理科・社会の4科目が基本ですが、帰国子女を対象にした帰国生入試では、一般入試と同じ科目を課す、あるいは現地校出身者などに配慮し社会・理科に代わって英語や英作文を課す学校もあります。
最近では海外で受験できる海外入試を行う学校もあります。
編入学は各校で方針が異なり、欠員募集のみ、あるいは随時募集している学校もあります。
出願に必要な書類:願書のほか、海外居住を証明する書類、在学証明書、成績証明書(過去数年間分が必要な場合もあります)、など。
【関連記事】海外帰国生の中学入試
●高校の場合
・公立高等学校
居住する都道府県の公立高等学校に出願できます。帰国子女の特別選抜や編入学については各都道府県で対応が異なりますので、居住予定の都道府県教育委員会に問い合わせましょう。
出願に必要な書類:願書のほか、学区内に居住・あるいは入学後に居住することを証明するもの、海外居住を証明する書類、在学証明書、成績証明書、など。
・国立大学附属高等学校
一部の学校で新入学試験における帰国生枠を設けています。また学区の指定の有無は学校により異なります。
編入学募集についても各校で方針が異なります。
出願に必要な書類:願書のほか、海外居住を証明する書類、在学証明書、成績証明書、など。
・私立高等学校
入学試験を受ける必要があり、一般入試は国語・数学・英語等の科目試験と面接が一般的です。帰国生枠入試は一般入試と同じ科目、あるいは英語にリスニングやスピーキングが含まれるなど難易度が高いものもあります。
しかしながら中高一貫校では高校新入学募集をしていない場合もありますので、早めに確認が必要です。
編入学も各校で方針が異なります。
出願に必要な書類:願書のほか、海外居住を証明する書類※、在学証明書、成績証明書(過去数年間分が必要な場合もあります)、など。
【関連記事】海外帰国生の高校入試
●大学の場合
海外で教育を受けた生徒が直接日本の大学を受験する場合、外国学校卒業生入試、帰国生入試などの名称の試験があります。海外で12年の教育課程を修了している、あるいは国際バカロレアや各国の大学入学資格を所持していることで受験できますが、志望する学科がこれらの試験を実施しているか確認が必要です。
その他、AO入試や推薦入試といった書類審査と面接による試験もあり、帰国子女にとって力を発揮しやすい試験と言えます。
出願に必要な書類:入学願書のほか、卒業証明書(卒業見込証明書)、成績証明書、推薦状、統一試験の成績、在留証明書、など。
【関連記事】海外帰国生の大学入試
※海外の居住を証明する書類
帰国子女枠の入試では基本的に海外で数年以上滞在し、かつ帰国後数年以内である、といった条件が課されます。
その際に、海外に居住していた証明書を提出します。
書式は各学校でそれぞれに定めていますが、海外在留証明書等の名称で各学校が所定の形式を用意し、保護者の所属先の署名・公印を持って提出するものや、パスポートの出入国記録で確認する場合、などが挙げられます。
赴任国の在外公館でも「在留証明」が発行されますが、こちらは赴任国に滞在中にのみ発行されます。
子どもの教育を見据えた帰国時期
●4月入学・9月入学が主流。逆算して本帰国の時期を考える。
基本的に新入学は4月入学。編入学では学期末に試験等を実施して4月編入、9月編入が主流です。
受験は入学時期の3ヶ月前~2か月前に実施されますので、その時期までに本帰国するか、受験はホテル等に滞在し入学時に本帰国とするか、考えておきましょう。
一方、受験に関しては帰国生向けに11月頃に実施するパターンもありますので、必ず受験スケジュールについて2年前ぐらいから把握するようにしましょう。
●小学校・中学校の場合
・公立
新入学の場合、通常は入学する年の前年の秋頃から手続きが始まりますが、入学式(4月第1週頃)までに管轄地域に住民登録し必要手続きを行えば新入学できます。編入学は随時可能です。
・国立
小学校の4月編入は3月頃の出願が主流です。この時、学校によっては出願の時点で住民登録していることを条件としています。
中学校は4月新入学は1月頃に出願・入学試験をしますので、それまでに帰国、あるいは受験中はマンスリーマンションなどに滞在し、入学までに本帰国できるようにしましょう。
・私立
受験する2年前あたりから準備を始めましょう。秋頃には学園祭がありますので、一時帰国を利用して見学できると良いでしょう。
海外滞在中の受験勉強は、海外学習塾、通信教育などを利用します。
模試を受けておくと志望校を絞りやすくなります。
4月新入学試験は、一般入試は1月~3月に願書受付・受験が一般的です。
帰国生入試は一般入試と同じ時期、あるいは一部の学校では11月頃に実施しています。
受験の少し前に本帰国するのが良いですが、受験後に本帰国の予定であれば、受験の間はマンスリーマンションや親戚の家などに滞在するよう計画しましょう。
編入学の場合、4月編入、9月編入として募集があれば、その1~2か月前から願書受付・受験が主流です。
その時期に合わせて帰国します。
随時募集をしている学校であれば、事前に問い合わせて試験日を確認し、自分でスケジュールを組みましょう。
●高等学校の場合
受験する2年前あたりから準備を始めましょう。一時帰国で学校祭を見学したり、模試を受けて志望校を絞ります。
海外滞在中の受験勉強は、海外学習塾、通信教育などを利用します。
夏休みや春休みに一時帰国をして集中講座を受けることも考えられます。
4月新入学試験は、1月~3月に願書受付・受験が一般的ですので、その日程に合わせて帰国します。
受験後に本帰国の場合は、受験の間、マンスリーマンションや親戚の家などに滞在するよう計画しましょう。
編入学については、公立は各都道府県の教育委員会あるいは各学校、国立・私立は各学校が募集の規定を定めています。
問い合わせた上で日付を調整し帰国スケジュールを組みましょう。
4月編入、9月編入の募集は、その1~2か月前から願書受付・受験が一般的です。
※入学願書の受付、試験の時期は、一般的な目安です。詳細は各学校で異なりますので、必ず学校のウェブサイトなどで確認しましょう。
帰国子女の学校選びに役立つ参考書籍
海外・帰国生のためのスクールガイド Biblos〈2018年度版〉
内容紹介より
海外から帰国して希望する日本国内の小学校・中学校・高等学校・大学を目指す海外・帰国生のための進学資料集。入試ガイダンスや中学・高校の転入編入情報、大学の入試要項などを収録。
帰国子女のための学校便覧 2018―小学校から大学までの入学・編入学ガイド
内容紹介より
小学校から大学まで、日本全国の受け入れ校を網羅した入学・編入学ガイドブック。
本書では、お子さんが充実した学校生活を送ることができるよう、すべての学校段階での帰国生受け入れ校を可能な限り網羅し、小・中・高および大学・短大併せて約1,200校と約90の教育委員会の情報を掲載しました。各学校の入学・編入学資格、条件や入試日程、選考方法、受入後の指導内容の概要を紹介しています。
学校入学に関する諸制度について
もっとも大切なのは子ども本人の希望にあった学校を見つけることですが、そのためにも、学校入学に関する諸制度について基本的なポイントを把握し、希望する学校が子どもにとって適しているかどうかを判断する材料にしましょう。
●帰国のタイミングを左右する「新入学・編入学」
新入学は新1年生から入学することです。編入学は海外の学校を退学して、日本の学校へ年の途中で入学することです。新入学と転入学では手続きや準備のほか、選択肢も大きく変わります。
公立の小中学校では新入学・編入学ともに住民票を登録した地域の教育委員会によって一定の手続きを受けることで問題なく入学できます。
一方、私立・国立大学付属の小中学校と国公私立の高等学校は、新入学試験があるので早めの対策と帰国が必要、さらに編入学では募集人数が少ない、あるいは欠員がある場合のみ募集されるので、早めに確認が必要です。
一部の公立高等学校や帰国子女を多く受け入れる学校では、随時編入学を受け入れるなど柔軟に対応しています。
編入学試験は各学期末の実施が一般的です。
例えば、志望校で編入学募集を行っていない場合には、新入学に合わせて帰国することも考えられます。
一方、家族全員で帰国する事を優先するならば、編入学を募集している学校を事前に探しておく必要があります。
●帰国子女の受け入れ体制
・日本への適応のためのフォロー
海外滞在が長い場合、子どもにとって日本の生活は、新たな異文化社会での生活の始まりです。日本ならではの学校のあり方にカルチャーショックを受け、なかなか適応できない可能性もあります。
その点が心配ならば、日本語の補習や教員の生活指導などのフォロー体制があるかどうか、注目しましょう。
・海外在住経験で得た力を伸ばす
語学力など海外生活で培った力を伸ばしたいならば、学校のカリキュラムに注目しましょう。帰国子女の多い学校などでは、国際交流、留学制度などグローバルな教育プログラムが組まれています。
しかしながら、帰国子女という枠にとらわれすぎるのも要注意ですので、お子様の希望や性格に沿った学校選びを心がけましょう。
●入学資格の確認を
高等学校に入学するには、海外で受けた教育が日本における義務教育を修了したものと同等である、と認められる必要があります。基本的にはその国の9年の教育課程を修了、あるいは日本の学校に入学する年の3月で修了見込であれば入学資格があると判断されます。
それまでに修了しない場合は、高校1年生の2学期から編入学か、来年度の新入学などが考えられますので、希望する学校に直接問い合わせましょう。
また日本では満15歳を迎える年に高等学校に入学することはできません。
インターナショナルスクールに通っていた場合は、その学校がその国における正規の教育機関として認可されていれば、義務教育年数として認められます。
在日大使館に確認してもらいましょう。
【関連記事】帰国子女の学校の選び方
帰国子女の帰国後の学校選びQ&A
- Q1.アメリカの現地中学校に通っています。帰国後の学校はどのように選ぶべきでしょうか?
- 英語で学ぶことに慣れている場合、帰国生受け入れ校などで英語教育が充実している学校だと、適応が早いでしょう。
ただし、アメリカでの滞在期間が短く、日本の学校にも慣れているのであれば、帰国生枠にとらわれず、幅広く学校を探すことも考えられます。
お子様のこれまでの様子を振り返ったり、帰国後にどんなことが学びたいか、よく相談しましょう。
- Q2.中高一貫校を希望しており、先に帰国して受験することにしました。どんな段取りが必要でしょうか?
- 受験する年齢の2年前くらいから学校選びを始めましょう。
一時帰国を利用して学校見学をしたり、説明会に参加しましょう。
受験勉強は海外滞在中は学習塾や通信教育を利用しましょう。
入学時期に合わせて帰国を決めているならば、年末ぐらいに帰国して、1月~2月の試験に備えることを想定して住居探しも進めるとよいでしょう。
- Q3.急遽、帰国が決まりました。子どもは中学1年生ですが、学校はどうしたらいいでしょうか?
- 公立中学校は住民登録をした管轄地域の中学校に編入が可能です。
私立中学校を希望する場合は、居住予定地から通学可能な範囲内で編入学を募集している学校を探します。
欠員があり次第随時募集しているところもありますので、問い合わせましょう。
なお、一旦公立中学校に入ってから私立中学を受けるという場合、もちろん編入募集がある場合に限られることと、帰国生枠入試の条件として帰国後の経過年数の条件がありますので、確認しておきましょう。
帰国子女の帰国後の学校選びまとめ
①入学のタイミングは4月か9月が主流。入学前の受験や手続きに必要な期間も想定して本帰国のスケジュール決定を
②通っている学校からは在学証明書、成績証明書を発行してらもいます。帰国子女枠を受ける場合は海外滞在期間を証明するもの(勤務先発行書類・パスポートなど)が必要です
③学校探しと受験準備は2年前から取り組みましょう。受験の出願手続きから入学までは3ヶ月~半年を要します