帰国の引越し準備

帰国時の引越しの荷物仕分けで注意すべき6つのポイント

スムーズなお引越しをするためには、いつどの場面で使う荷物なのかをイメージしながら的確に荷物の仕分けをすることが重要。
また、免税範囲の適用、輸入規制など気をつける点もあります。
ここでは仕分けのポイントを解説します。

処分する荷物と持ち帰る荷物を分ける

処分する荷物と持ち帰る荷物を分ける

本帰国の引越しは、まずは日本へ持ち帰るものと、持ち帰らない(処分する)ものに仕分けしましょう。
持って帰ろうか迷う荷物もありますが、案外、日本に持ち帰っても使えなかった、ということも。
持ち帰る荷物をスムーズに選ぶためにも、以下の基準を押さえておきましょう。

●日本に持ち帰っても使えない可能性があるもの

1.家具

赴任地で購入したお気に入りのソファ。
持ち帰ったものの日本の家の玄関から入らない…なんてこともあります。
海外の家具は、日本の住居と規格が異なり、サイズが大きすぎる場合があります。
日本の住まいの大きさをイメージして判断しましょう。

2.家電

赴任国と日本の電圧が異なる場合、家電を持ち帰っても変圧器なしには使えません。
マルチボルテージ(100V~最大250Vまでの幅広い電圧に対応可能)であれば使用できますので確認を。
また、テレビ・オーディオ関係の機器は、出力・使用規格が各国で異なります。
日本と同じかどうか、確認しましょう。

【関連記事】海外のコンセント・変圧器事情

【関連記事】海外で購入した家電・家具を日本で使う場合の注意点

●日本への持ち込みが規制されているもの、禁止されているもの

植物や動物は、検疫上の理由から日本への持ち込みに際し、細かな規定があります。
持ち帰る場合にも事前の手続きが必要なケースもありますので、よく確認して、持ち帰るかどうか判断しましょう。
また、持ち込み自体が禁止されているものもありますので要注意です。

不用品が出た場合の処分方法

日本に持ち帰らない不用品は、早め早めに処分を。 本帰国の引越しは残置荷物にできませんので、帰国日までに全て処分する必要があります。
また、持ち帰る荷物の総量を把握するためにも、「処分する」と決めたら、すぐに処分方法を決めましょう。
譲る、売る、場合は引き取り手が見つかるまで時間がかかったり、最後の最後で誰も引き取ってくれないということもあります。
時間に余裕を持って取り掛かりましょう。

●処分方法の例

・後任の方、会社の方や友人・知人に譲る。

変圧器、家電などは日本で使えないものの、現地での必需品です。
後任の方などに声をかけてみましょう。
日本の食品、書籍なども同様です。

ただ、引き取り手が現れない場合には、別の処分方法を考える必要があります。
本帰国が決まったら、すぐに声をかけておきましょう。

・ガレージセール、ネットの掲示板などで個人売買する。

現地でよく使われる掲示板やガレージセールがあるので、調べましょう。
品物の引き取り方法・支払いなど詳細に確認しておきます。
こちらも買い取り手が見つからない場合もありますので、早めに手配を。

・寄付する

衣類や食器などを寄付する窓口がないか調べてみましょう。
現地に詳しい人に相談します。

・捨てる

住んでいる地域のルールに従って処分します。
事前によくルールを確認しておきましょう。

持ち帰る荷物は携帯手荷物・船便・航空便と分けよう

日本に持ち帰る荷物は、船便、航空便、手荷物に分けます。
船便を中心に考え、帰国の直前直後で必要なもの、貴重品などを航空便と手荷物として選んでいきます。

●携帯手荷物

出発間際まで使用するものや、帰国直後に必要な物、貴重品。
例:パスポートや書類、宝石類、ノートPCなど。

●航空便

帰国後、早い時期に必要なもの。
例:入学式で着る礼服、学用品、おみやげなど。

●船便

その他の荷物。家具や食器、衣類など。

台所やタンスは?上手な仕分け方法のアドバイス

●心がけるのは「わかりやすさ」

仕分けのポイントは、わかりやすさです。
引越し当日に梱包に来てくれた業者が、間違いなく船便、航空便と判断して作業を進めることができるようにします。
船便や航空便ごとに荷物を移動してまとめておく、付箋を貼って荷物の行き先を目で見てわかるようにしておく、などの工夫が必要です。

●台所の仕分け

食器や調理器具などの壊物は、業者に梱包してもらいます。
梱包して欲しいものは一箇所に集めておきましょう。
日本に送らないものは早めに処分しておくと、間違いが少なくなります。

米、酒類、食品は免税範囲、検疫、輸入規制などの観点で税関で検査を受けます。
申告する量・種類を業者にきちんと伝えられるようにまとめておきます。

●クローゼット・タンス

梱包に備えて衣類は干して湿気をとっておきましょう。
帰国後すぐに、出勤や入学式などで着るものは航空便、季節の違う衣類は船便、というように使用する時期に合わせて仕分けます。

衣類の仕分けをしたら、タンスの引き出しごとに航空便・船便のラベルを貼ってまとめておいたり、クローゼットの左右に船便・航空便で寄せて分けておくなどしておきましょう。

●家具・家電

また、処分する家具が間違えて荷物にならないように分けておきます。
パソコンなどの精密機器類は手荷物にすることも考えておきましょう。

●貴重品

必ず手荷物として持ち帰ります。
船便・航空便の引き渡し時に誤って梱包されてしまわないよう、事前にカバンや引き出しにまとめておき、業者にもわかるようにシールなどを貼っておきましょう。
帰国直前になって初めて、どこに行ったかわからない、というトラブルもあります。

日本への持込が禁止・規制されているもの

海外引越しだからこそ注意したいのが、輸入禁止品と輸入規制品。
日本の法律等によって厳しく審査され、引越し荷物といえど、該当の品物が入っていた場合には、罰せられます。
食品など、身近な品物も含まれるので、楽観的にならずに、一度、綿密に確認しておきましょう。
主な輸入禁止に該当する品を紹介します。

●輸入禁止品の例

あへん、コカイン、MDMA、大麻、覚せい剤、などの麻薬類。
ダイナマイトなどの爆発物、火薬、爆薬等。
公安又は風俗を害すべき書籍、図画、その他の物品(雑誌やDVDなど)。
偽造・変造・模造の通貨あるいは証券など。
著作権、特許権、商標権などの知的所有権を侵害した商品。
など

●輸入規制品の例

1.ワシントン条約により規制されているもの

毛皮、ベルト等の加工品、生きている動物の一部が規制の対象。
持ち込む際は輸出許可書や輸入許可書が必要。

経済産業省WEBサイトに詳細が紹介されているので参照を。

【参考】経済産業省WEBサイト「ワシントン条約」

2.銃砲刀剣類所持等取締法により規制されているもの

猟銃、空気銃などは都道府県公安委員会の所得許可がなければ通関できません。

3.動物・植物

動物・畜産物および植物を輸入する場合は、通関の前に動植物検疫所の検査が必要。
お土産にしたい加工肉なども対象となるので、詳細に確認を。

【参考】動物検疫所保WEBサイト「肉製品などのおみやげについて」

なお、ペットを連れて帰国する場合も同様に手続きが必要。

【関連記事】海外からのペット・植物の持ち込み時に気をつけるポイント

4.医薬品など

個人使用を目的とする場合に限り、定められた数量内で持ち込みができる。
コンタクトレンズや、サプリメントなどが対象です。

【参考】厚生労働省WEBサイト「医薬品等の個人輸入について」

輸入規制品は税関のWEBサイトでも確認することが可能です。

【参考】税関WEBサイト「輸出入禁止・規制品目」

●ワシントン条約により日本への持込が禁止・規制されているもの(代表例)

項目 持ち込めないもの 持ち込むには許可書などが必要なもの
生きている動植物 サル類 テナガザル、チンパンジー、キツネザル、スローロリス アカゲザル、カニクイザル
オウム類 ミカドボウシインコ、コンゴウインコ オウム
植物 パフィオペディルム属のラン ラン、サボテン、シクラメン、フロリダソテツ
その他 アジアアロワナ、マダガスカルホシガメ イグアナ、カメレオン、ヤマネコ、リクガメ
加工品製品 毛皮・敷物 トラ、ヒョウ、ジャガー、チーター、ヴィクーニャ(ラクダ) ホッキョクグマ
皮革製品(ハンドバッグ、ベルト、財布等) アメリカワニ、シャムワニ、アフリカクチナガワニ、クロカイマン、インドニシキヘビ、オーストリッチ ワニ:クロコダイル、アリゲーター
ヘビ:ニシキヘビ、キングコブラ、アジアコブラ
トカゲ:オオトカゲ、テグトカゲ
象牙製品 インドゾウ、アフリカゾウ
はく製・標本 オジロワシ、ハヤブサ、ウミガメ フクロウ、キシタアゲハ、シャコ貝、石サンゴ、角サンゴ
アクセサリー トラ・ヒョウの爪、サイの角 ピラルクのウロコ、クジャクの羽うちわ
その他 漢方薬(虎骨、麝香、木香を含むもの) 胡弓(ニシキヘビの皮を使ったもの)

【参考】税関WEBサイト「ワシントン条約」

輸入免税について

本帰国の最後の最後で、購入したい記念品やお土産もあります。
とはいえ、引越し荷物も免税範囲を超える新品は課税対象。
日本到着時に関税を支払わないと輸入できません。
思いもよらない出費にならないよう、免税範囲は確認しておきましょう。

また、引越し荷物に免税範囲を適用させるには、帰国時に「別送品」の申告手続きが必要です。
「別送品」とは入国時には携帯していない荷物で、帰国後6か月以内に輸入されるもの。
帰国時に「携帯品・別送品申告書」を税関に提出し、引越し荷物を「別送品」として申告すると、入国時に持ち込んだ荷物の免税枠の残りを、後日到着する引越し荷物に適用できます。この手続きを忘れると、引越し荷物は一般の輸入荷物として手続きが必要となるので要注意です。

【関連記事】帰国時のお土産の用意の方法

●免税範囲

酒類、たばこ、香水などが対象です。

商品 数量または価格 備考
酒類 3本 1本760ml程度のもの。
たばこ 紙巻たばこのみの場合 200本(日本製) 外国に居住している人は免税範囲が2倍になる。
200本(外国製)
葉巻たばこのみの場合 50本
その他の場合 250g
香水 2オンス 1オンスは約28ml(オーデコロン、オードトワレは含まれない。)
その他のもの象牙製品 20万円(海外市価の合計額) 合計額が20万円を超える場合には、20万円以内におさまる品物が免税になり、その残りの品物に課税される。
税関は、旅行者に有利になるように、免税となる品目を選択のうえ課税する。
1個で20万円を超える品物、例えば、25万円のバッグは25万円の全額について課税される。
1品目ごとの海外市価の合計額が1万円以下のものは、原則として免税となる。
(例えば、1個1,000円のチョコレート9個や1本5,000円のネクタイ2本は免税になる。)
(注1)未成年者の場合は「酒類」と「たばこ」は免税にならない。1歳未満の者は、おもちゃなど明らかに本人用と認められるもの以外は課税される。
(注2)「海外市価」とは、外国における通常の小売購入価格のことをいい、円貨換算は定められた公示レートにより行われる。
(注3)この免税範囲を超えた場合、商品や商業用サンプルには、品物の種類などに応じた税率によって税金が課せられる。

●課税額について

免税範囲を超える品物には課税されます。
たばこや酒類は数量あたりの税率が定められています。
その他の荷物については、携帯品や別送品の場合、海外市価の6割程度の金額を課税価格とし、さらに品物別に税率が決められ、課税額が決まります。

●例えば、7万円のハンドバックの場合は…

海外市価70,000円×0.6=42,000円(課税価格)
課税価格42,000円×15%=6,300円(税額)

免税範囲を超えた場合に、どの荷物を免税とし、どの荷物を課税対象とするかは、税関で判断されますが、旅行者に有利になるように選択されます。
以下のWEBサイトでも具体例が挙げられているので参照しましょう。

【参考】税関WEBサイト「税額の計算方法」

【参考】「海外旅行者の免税範囲」

帰国時の引越しの荷物仕分けで注意すべきポイントQ&A

明日、引越しの見積もりですが、お土産の購入が全くできていません。
お土産など、見積もりの後に新たに購入して追加する荷物については、まずは口頭で伝えておきましょう。
どんな品物がどれぐらいの量になるかを伝え、引越し当日までに必ず買い揃えておきます。
荷物を整理していたら、着任当初にしまいこんでいた荷物が出てきました。
見積もり当初、伝えていない荷物であれば、追加の荷物になります。
企業が負担する引越し費用からオーバーする可能性もありますので、まずは業者に相談しましょう。
現地で買ったお気に入りのコーヒーメーカー、持って帰りたいです。
対応電圧はいくつでしょうか。
日本の電圧は100Vですので、これに対応していない場合、帰国後使用するためには変圧器が必要です。
変圧器を使ってまで使用するかどうか、検討しましょう。
また故障した場合に修理などのサービスが日本では受けられない点も考慮しましょう。

帰国時の引越しの荷物仕分けで注意すべきポイントまとめ

①日本で使える?持って帰る?を基準に荷物の絞り込みを。
②不用品は、すぐ処分方法を決めて、帰国までに全て処分。
③帰国の直前直後をイメージして、手荷物と航空便の選別を。
④付箋や引き出しを利用!仕分けは「わかりやすさ」がカギ。
⑤輸入禁止品・規制品は細心の注意を払って確認を。
⑥お土産や記念品も買いすぎ注意。免税範囲を超えると課税対象です。

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