海外赴任の準備
海外赴任前に家族で話し合うべき5つのテーマ
公開日:2026年2月13日
この記事で書かれていること
海外赴任はご本人だけでなく、帯同するご家族全員にとっての大きな人生のイベントです。準備期間は手続きや引っ越し作業に追われがちですが、実は最も大切なのが「家族での事前の話し合い」です。
生活環境が激変する海外生活では、予期せぬストレスやトラブルがつきもの。しかし、渡航前に家族でしっかりと認識を合わせ、心の準備をしておくことで、現地でのトラブルを未然に防いだり、何かあった際のダメージを最小限に抑えたりすることができます。今回は、海外生活をスムーズにスタートさせるために、赴任前に必ず家族で話し合っておきたい5つのテーマをご紹介します。
1.リアルな生活習慣のシミュレーション
まずは、現地での具体的な生活イメージを持つことから始めましょう。 「海外に行けばなんとかなる」と思いがちですが、日本とは勝手が大きく異なります。
・住環境と通勤: どんな家に住み、通勤にはどれくらい時間がかかるのか?通勤手段は?
・生活インフラ: 買い物はどこでするのか? 外食は気軽にできるのか?
・安全面: 治安はどうなのか? 渋滞事情は?
前任者や先輩駐在員から、良い面だけでなく「注意すべき点」も含めてリアルな情報を集めましょう。
「子供の学校に車での送迎が必須で、思った以上に自分の時間が取れない」「夕方は渋滞で帰宅が遅くなる」など、具体的な生活の変化を家族で共有しておくことで、渡航後の「こんなはずじゃなかった」というギャップを減らすことができます。
2. 家族としての「優先順位」を決める
慣れない海外生活では、ご本人もご家族も余裕がなくなりがちです。そんなストレスフルな環境下では、些細なことで意見が食い違い、トラブルに発展することも。 お互いが余裕のある渡航前の時期に、「家族として何を最優先にするか」を決めておくことが重要です。
・子供の教育では何を最優先にするのか?
・家族で過ごす時間を重視するのか?
・日本語の維持はどうするのか?
例えば、
「平日は忙しくても、週末は必ず家族で出かける」
「子供の学校行事は最優先する」
など、家族内でのルールや基準を設けることも有効と考えます。もちろん赴任後状況は変わることもあるかとは思います、ただ迷ったときの指針があるだけで、現地での判断によるストレスがぐっと軽減されます。
3. 家事・育児の役割分担と期待値のすり合わせ
特に夫婦間で必ず話し合っておきたいのが、役割分担です。海外では、家事や育児の負担バランスが日本とは大きく変わるケースがほとんどです。
・送迎の負担: バス通学や車送迎が必須の国では、親の待機時間や送迎負担が増えます。
・ヘルパーさんの利用: 「ヘルパーさんを雇えるから楽になる」とは限りません。「奥様は使いたいが、旦那様は他人が家に入るのを嫌がる」といった意識のズレが揉め事の原因になることも。
また、駐在員ご本人は仕事で忙しくなりがちですが、一方で帯同ご家族は慣れない環境で家庭を守らなければなりません。ここで注意したいのが、「働いている方が偉い」という構造になりやすいことです。家庭内の負担が偏った際、どう声をかけ合い、どうサポートし合うか。お互いが相手に何を期待しているのかを、事前にすり合わせておくことが大切です。
4. シビアな「お金」の話
「海外駐在=裕福」というイメージを持たれることもありますが、昨今の急激な円安や世界的なインフレにより、事情は変わってきています。「日本にいた時よりも我慢を強いられる」というケースも珍しくありません。外食費や教育費が日本より遥かに高い地域も多いです。為替の影響で、円換算での給与価値が変わることもあります。
教育にお金をかけるのか、旅行やレジャーを楽しむのか、それとも貯蓄を優先するのか。「何に投資し、どこを節約するか」という予算配分について、ざっくりとでも合意形成をしておくことをおすすめします。
5. 「未来」とキャリアについて
最後は少し先の話になりますが、帰国後の未来についてです。 特に共働き世帯の場合、パートナーがキャリアを中断して帯同するケースが増えています。
・キャリアの再構築: 帰国後、どのようにキャリアを再開するか?
・帯同期間の過ごし方: この期間をどう捉え、何をして過ごすか?
明確な答えはすぐに出ないかもしれません。しかし、キャリアを中断している側は、社会からの疎外感や焦りを感じやすいものです。「この問題について、家族全員で一緒に考えていくんだよ」という姿勢をパートナーが示すだけでも、帯同する側の心の負担は大きく変わります。答えが出なくとも、「寄り添って話す」こと自体に大きな意味があります。
まとめ
これら5つのテーマを話し合ったからといって、トラブルがゼロになるわけではありません。海外生活において、トラブルは必ず起こります。しかし、事前に話し合い、ガイドラインを作っておくことで、いざトラブルに直面した時の「対応力」と「ストレス耐性」は格段に高まります。「あの時こう話したよね」と立ち返れる場所があることは、家族にとって大きな安心材料になるはずです。ただし、「あの時、ああ言ったよね」などと、固執しすぎると、それはそれでトラブルになりますのでご注意くださいね。
~寄稿~
横田 恭亮(世界に広がる駐夫・主夫友の会) 2023年10月よりシンガポールで帯同生活中
【世界に広がる駐夫・主夫友の会(代表・ファウンダー:小西 一禎)】
2018年秋、フェイスブック上のグループとして、4人でスタート。現役駐夫、帰国済みの駐夫OB、海外同行を控えたプレ駐夫の三層で構成する。最新(2026年2月現在)のメンバー数は、約240人。コロナ渦前から、オンラインでのキャリアセミナーや飲み会を開催し、レアな男性ならではの悩みや思いを共有してきた。現役駐夫は世界5大陸に散らばり、メンバー数が多い米ニューヨークエリア、シンガポール、タイ・バンコク、英ロンドンなどでは、駐夫同士だけでなく、家族を含めたリアル交流を展開している。メンバーが抱える共通かつ最大の悩みは、日本社会との親和性に欠ける「男性のキャリア中断」を経て、日本に帰国した後のキャリア再設計・再構築。https://note.com/chuotto

