帰国の引越し準備
海外からのペット・植物の持ち込み時に気をつけるポイント
動植物の国内持ち込みは、感染症や病害虫の入国防止の観点から厳しく審査がなされます。
ペットも、お土産の果物も例外ではありません。
検査と手続きの必要性を理解して、スムーズに入国できるよう準備を進めておきましょう。
この記事で書かれていること
ペット持込みの際の検疫って何?
動物由来の感染症は多く存在します。
例えば、海外赴任者の場合、渡航前に接種したワクチンに、狂犬病ワクチンも含まれているのではないでしょうか。
毎年数万人が死亡しているとされる狂犬病。
アジア、アフリカでの発生がほとんどとされています(*1)。
*1 厚生労働省検疫所WEBサイト FORTH「2017年のニュース・狂犬病について(ファクトシート)」
【参考】厚生労働省WEBサイト「動物由来感染症」
感染症について知ることができます。
狂犬病のほか、動物由来の感染症の入国を防ぐため、生きた動物・鳥類などの輸入は検疫所の定める検疫検査や書類審査によって入国の可否を検査されます。
ペットももちろん例外ではありません。
ワクチンの接種、海外滞在中の衛生状況を証明する書類の提出など、それぞれの動物、あるいは輸出国の条件によって必要な手続きが定められています。
日本からペットを連れて行くと決めた時から、あるいは赴任国でペットを飼うと決めた時から、日本に帰国するために必要な手続きについて、理解しておきましょう。
現在のペットの検疫制度の概要
ペットとして人気の犬や猫は、狂犬病予防法に準ずる検疫検査により持ち込むことができます。
また、鳥類は書類届け出による審査を受けます。
各動物に対し、持ち込み手続きが定められているので、まずは具体的に調べましょう。
【参考】動物検疫所WEBサイト「ペットの輸出入」
各動物ごとの手続きについて調べます。
※サル、プレーリードック、イタチアナグマ、タヌキ、ハクビシン、コウモリ、ヤワゲネズミについては、人に感染症を感染させる恐れが高いため、持ち込みは禁止されています。
狂犬病予防法による検疫:犬、猫、あらいぐま、キツネ、スカンク
日本入国時に狂犬病ウイルスを保有していないことを確認するための検査を受けます。狂犬病ワクチンを規定の回数接種し、かつ抗体検査も合格していること。
またそれらについて、装着したマイクロチップで証明されること、が必要です。
【参考】動物検疫所WEBサイト「狂犬病予防法の解説」
【参考】農林水産省WEBサイト「水際における狂犬病対策について」
「動物の輸入届け出制度」における手続き:鳥類など
オウム、インコ、あるいはハムスター、モルモットなどは「動物の輸入届け出制度」に準じて手続きを行います。赴任地の政府が発行した衛生証明書と届出書の提出し、審査を受けます。
ただしハムスターなどの齧歯類については、感染症を数多く保有する可能性から、審査が厳しく、ペットであっても持ち込みは困難です。
詳細は事前に検疫所に問い合わせの上、確認しましょう。
【参考】厚生労働省WEBサイト「動物の輸入届け出制度」
ペットの輸入に必要となる手続き
動物によって、また赴任国によって手続きは異なりますが、最も多い犬の場合について紹介しましょう。
実際に輸入手続きを進める際には、必ず動物検疫所のWEBサイトで最新の情報を確認してください。
【参考】動物検疫所WEBサイト「犬、猫を輸入するには」
1.出発地域の確認
出発地・経由地が狂犬病など感染症の発生が認められる地域であるか否かによって、手続きが変わります。現在、以下の6つ指定地域からの輸入と、それ以外の地域からの輸入の2つに大きく分けられています。
農林水産大臣が指定する狂犬病の清浄国・地域(2018年3月時点)
アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアム【出典】動物検疫所WEBサイト
2.抗体検査をする
マイクロチップの埋め込みがなされ、その上で狂犬病予防注射の接種と抗体検査を受けることが必要です。必要とされる抗体検査は、輸出国が指定地域の場合とそうでない場合で異なります。
指定地域外から輸入
マイクロチップ装着後、2度の狂犬病不活化ワクチンの接種と抗体検査が必要です。その上で、抗体検査に合格後180日以上経過し(輸出待機)、かつ抗体検査有効期間及び有効免疫期間内に入国が認められます。
指定地域からの輸入
予防注射・抗体検査の代わりに、指定地域に出生以来あるい出発する180日前から滞在している、など在住に関する規定を満たしている必要があります。3.入国のための手続き書類
到着40日前までに日本の動物検疫所へ事前届け出
到着40日前までに到着空港を管轄する動物検疫所あてにFAXまたはE-mailで送ります。フォーマットは動物検疫所のWEBサイトからダウンロードしましょう。
出発直前に獣医師による輸出前検査と輸出国の証明書を取得
出発直前に、獣医師の臨床検査にて、狂犬病やレプトスピラ症に感染していないか、またその疑いがないか、検査を受けます。その上で、輸出国の政府機関が発効する証明書を取得しましょう。
記載必要事項は、動物検疫所WEBサイトのフォーマットを参考にしましょう。
日本へ輸送・帰国
日本までの輸送については航空会社に事前に問い合わせを。長時間の移動は動物にもストレスになるので、綿密に打ち合わせをして準備しておきましょう。
また直行便でない場合、経由地において感染の可能性がないことを証明する必要があります。
輸出の段階でケージにシールを貼る、あるいは他の動物との接触がなかったことを証明するものを発行してもらうなど特別な手続きが必要です。
無事、日本に到着したら、動物検疫所で輸入検査を受けます。
輸出国で取得した証明書などを提出しましょう。
植物輸入の際の検疫って何?
ペットだけではなく、植物も持ち込む際には一定の検査を受ける必要があります。
植物の場合、国内の農作物や植物に被害をもたらす病害虫が付着している場合があり、突如、農産物が被害を受けるといったことが生じてしまいます。
これを避けるため、植物の持ちこみにも検疫検査が実施されています。
【参考】農林水産省WEBサイト「我が国が特に侵入を警戒している病害虫の特徴」
現在の植物の検疫制度の概要
携行手荷物として持ち込む場合
手荷物として持ち込む場合は空港到着後、税関検査場の植物検疫カウンターで手続きを行います。この時、どのような手続きが必要であるかは、輸出国・植物の種類によって判断されます。
輸出国の植物防疫機関が発行した検査証明書を持っている場合は一緒に提出しましょう。
また書類による手続きが必要でない植物でも、病害虫の付着等について確認され、合格しない場合には消毒や没収などの処置が取られます。
免税品でも検査の対象です。
到着時に植物検疫を行わずに持ち込んだ場合、罰則が科せられる場合があります。
別送品や郵送する場合
引越し荷物などの別送品、郵送した荷物については、日本に到着後、植物検疫所で検疫検査が実施されます。引越し荷物については引越し業者が通関手続きを代行しますので、どの植物を持って帰りたいか、引越し業者に伝えて、通関の際に混乱しないよう打ち合わせをしておきます。
どこに何を入れたのか、きちんと伝えておきましょう。
植物の輸入に必要となる手続き
出発地・持ち込む植物によって手続きは異なりますので、植物防疫所WEBサイトで調べる、あるいは直接問い合わせましょう。
植物防疫所WEBサイトで調べる
以下の植物防疫所のWEBサイトで出発地ごとに植物の持ち込みの可否を調べることができます。【参考】植物防疫所「海外から野菜や果物を持ち込む際の規制」
輸入禁止品
特定の地域からの特定の植物が指定されています。輸入禁止ですので持ち込むことはできません。
ただしハワイのパパイヤ、タイのマンゴーなど、一定の手続きをすることで持ち込みが許可されている地域・植物があります。
入国時の審査で可否が判断される植物
事前の手続きが不要であっても、空港到着時に植物検疫カウンターで病害虫が付着していないか、検査を受けます。入国審査後、税関の植物検疫カウンターで手続きしましょう。
検査が不要な植物
事前の手続きおよび到着時のカウンターでの検査が不要な植物もあります。そのまま持ち込むことができます。海外からのペット・植物の持ち込み時に気をつけるポイントQ&A
- 現地機関に、正しく書類の発行を依頼できるか、不安です。
- 現地で取得するべき書類は、赴任国の政府機関から発行してもらうことになります。
検疫所のWEBサイトに英語で必要事項を記した見本フォーマットがありますので参考にしましょう。
- 赴任中に育てたバラの鉢植えを持って帰りたいです。
- 土が付いている植物は、一切持ち込みできません。
例えば、記念にドライフラワーにした場合、輸入国の条件次第では、到着空港での検査に合格の上持ち込みができます。
なお、土なしの苗木、球根類は輸入国・種類の条件によっては持ち込みができます。
詳細は植物防疫所のWEBサイトで検索する、あるいは直接問い合わせましょう。
- ペットを日本まで連れて行くにはどのような方法がありますか?
- 発着地、航空会社ごとに利用出来るサービスが異なります。
必ず直接問い合わせましょう。
機内への持ち込みができる、あるいは航空貨物での輸送のみ可能、など各会社で条件があります。
動物の種類にもよって細かに規定されています。
海外からのペット・植物の持ち込み時に気をつけるポイントまとめ
①動物の輸入は事前手続きが必須。ペットを飼う段階で調べておこう。
②動物由来感染症の防止が目的。出発国・動物の組み合わせで判断。
③狂犬病の抗体検査が重要。スケジューリングに要注意。
④植物検疫の目的は病害虫の入国防止。お土産も検査を受けましょう。
⑤携帯手荷物の植物なら空港で手続き。引越し荷物なら業者と事前に打ち合わせを。
⑥条件は事前に検疫所WEBサイトで検索して、持ち込みの準備を。
主な動物検疫所・植物防疫所・検疫所