帰国後の子供の教育

帰国生/海外就学経験者に有利な大学/AO・推薦入試

現在の大学受験状況を考える上で、重要度が増してきた入試制度に推薦入試があり、この制度は帰国生・中途帰国生にとっても従来の帰国生入試とは別に海外で得た英語力を活用した入学ルートとして、大きなウエートを占める入試方法となっています。ここではAO・推薦入試制度の解説や帰国子女が推薦入試を受ける上でのポイントを説明します。

AO・推薦入学制度について

AO・推薦入学制度について

昨今私立大学に入学する受験生の約50%がAO・公募制推薦入試・指定校推薦入試などの推薦系入試経由であると言われ、年々この制度を導入する大学は上昇の一途をたどっています。

特に海外経験のある帰国生が国際系大学(上智大学・早稲田大学国際教養学部・国際基督教大学・国際教養大学他)のAO・推薦入試を受験する際、TOEFLやTOEICなどの英語資格が必須、あるいは重要な資格として利用できるため、海外で得た英語力を武器に希望の大学進学への可能性が広がる上、国際系大学以外でも、ハイレベルの英語資格はAO・推薦入試合格を非常に優位にします。

また、海外からの中途帰国生の場合、帰国生入試を利用できず、一般の受験生同様の入試(3科目・センター利用他)を余儀なくされる点を考慮すると、AO・推薦入試は有効な受験方法といえます。
それでは、各推薦方法の意味やポイントを以下に説明します。

●AO推薦入試とは

AOとはAdmission(s)Officeのことであり、独自の入学者選抜機関が入学者選抜を行うというものです。日本では慶應義塾大学が最初にAO入試を行ったことで有名です。
書類審査と面接による選抜が主ですが、大学によりその選抜方法は大きく異なります。自分で自分自身を推薦し出願するものがほとんどであり、学校長の推薦がいらないという事が特色といえます。

・AO入試は「個性」「意欲」「姿勢」「適性」を重視!

公募推薦入試が学力や活動面を重視するのに対し、AO入試は大学への「個性」「意欲」「姿勢」「適性」が大きなポイントとなります。
したがって、選抜方法は書類審査と面接を通じて、生徒個人を多角的に審査していきます。その他大学によっては、大学の模擬講義を受け、その後その講義に関するレポートを作成させたり、グループディスカッションで討議能力を審査したりと、多種多様な方法で選抜を行っていきます。まさに「大学生としての適性」が試される試験といえるのです。
出願に関しては、あくまで学力試験では測れない生徒の個性や適性を重視するということで、逆にだれでも出願が出来るということになりますが、勿論、簡単に合格はできません。
一般的に公募推薦に比べ倍率が高めになることも多く、だからこそしっかりとした対策が必要になるということが言えます。
慶應大SFCや法学部、早稲田大の国際教養学部や政治経済学部、国際基督教大学など多くの私立大、横浜市立大学などの国公立大で実施しています。

AO入試、ここがポイント

  1. 【人間力】面接や志望理由書、小論文試験などであなたの人間力が判断されます。
  2. 【資格】英語力(TOEFL TESTや英検など)が高いほど有利になるケースが多々あります。
  3. 【学校の成績】学校の成績は合否判定に算入しない大学もありますが、判断材料のうちのひとつです。

●公募推薦入試とは

指定校と性格は良く似ていて、「学校長の推薦を得る」ことが基本的な出願条件となります。もちろん、全ての大学ではありませんが、大半の大学はこの条件の下、生徒募集を行います。
多くは出願に必要となる数種類の書類を作成し提出、その後小論文試験や面接などを経て合否が決まるというのが一般的です。

国公立大ではセンター試験を課す大学とそうでない大学とに分かれます。これにより出願日が大きく異なってきますので注意が必要です。
指定校と違い、出願することでほぼ合格するということはなく、倍率も大学によって様々となります。
比較的出願しやすい条件の大学が多いですが、ライバルもいるわけですから、万が一不合格だった場合の事を考えて、一般入試&他大学のAO推薦入試の対策もおろそかにできません。
ここが公募推薦を受験するにあたってのポイントとなります。

主に学業成績である評定平均が出願条件となる大学が多く、この条件をクリアしていないと出願自体できません。
しかし、全ての大学が基準を高くしているわけではなく、3.0程度で出願できるところから、高いところで4.5など、評定平均の幅は様々です。

その他、スポーツやクラブ活動、文化活動、課外活動や保有資格などの実績を評価し選抜する「ユニーク推薦」というものもあります。
高校生全員が保有できるものではないことから、倍率も高くないことが多々あります。また学校長ではなく、自分自身が自分を評価し推薦する「自己推薦」という種類の推薦入試もあります。
冒頭で述べたとおり、基本的には「学校長の推薦を得る」ことが条件となります。ほぼ指定校推薦と同じでその高校の代表者であり、結果、専願のみの募集というのが大半です。
指定校推薦と同じく入学辞退はタブーとされる、ということです。
公募推薦は、上智大学、筑波大学、同志社大学、中央大学、獨協大学など多くの有名私立大学のほかに、国立大学でも実施されています。

条件・評価

  1. 【1】学校の成績 ⇒ 評定平均4.0以上などが受験資格となっています。
  2. 【2】人間力 ⇒ 面接や志望理由書、小論文などであなたの人間力が判断されます。
  3. 【3】資格 ⇒ 多くの場合、TOEFL iBT TESTで61点以上または英検2級、TOEIC650点など英語資格が最低条件となっています。
  4. ※多くの大学が上記【1】【3】を絶対条件にしています。
    上智大国際教養学部はTOEFL TESTで79(iBT)点、評定平均4.0 以上などの絶対条件を設けています。

●指定校推薦入試とは

大学側より指定した高校から生徒を選抜する推薦入試です。主に選抜方法は、高校在籍時の評定平均により選抜されます。
しかしながら、各大学学部からは1、2名の募集ということが大半であり、その少ない席を巡って同高校内で争うことになります。

選抜されればほぼ合格となることが多い推薦ですので、熾烈な争いになるのは目に見えており、普段からしっかりと学内テストで結果を出している生徒が有利になることは間違いありません。
勿論、その高校を代表してその大学に進学するようなものですから、入学辞退はタブーとされています。なぜならば、高校と大学とのパイプに影響を与えてしまうからです。
ですから、出願がかなう大学に関してはよく調査して、自分に合っているかを見極めることも非常に重要なことといえます。
*学校の成績=学校の評定平均や出席日数などで決まります。

英語資格・海外経験を生かした推薦入試制度

海外帰国生(海外就学経験者)が活用できる推薦入試制度の1つに『有資格者推薦』『自己推薦』があります。
有資格者推薦制度は有資格者推薦、特別推薦、一芸一能推薦など名称はさまざまですが、要は資格・技能を持つ受験生を優遇する推薦入試制度です。

TOEFL・TOEIC(スコア基準は大学によって異なる)、実用英語検定(略称は英検)、国連公用語検定、商業英語検定、情報処理技術者(基本情報技術者)、通訳案内業、ワープロ検定、簿記検定、珠算検定、漢字検定、など高校生レベルで取得できる資格・検定が中心でそのランクが高いほど有利になるという制度です。

特に『自己推薦』は最近のユニーク推薦の中でスポーツ・資格と並んで大きな比重を占めるようになってきた制度です。その対象・内容は一芸一能推薦と共通していますが、出身高校長の推薦を原則として必要としない点が異なります。
その代わり「自己推薦書」の提出が必要でこの資料が最も重視されます。面接も自己推薦書の記載内容に関する質問が中心になります。

帰国生/海外就学経験者が活用できる推薦入試制度では、TOEFL・TOEICなど英語資格として要求されますが、学部によってはTOEFL iBT 45・TOEIC 550点以上が最低出願条件です。
ただし、実際の合格者実績では海外経験のある学生にはそれ相応の英語力を求められますので、海外経験時期、年数、渡航国にもよりますがTOEFLスコアでiBT80~100点以上を目標としてがんばりましょう。
また、最近では帰国生入試を実施せず、AO入試の中で帰国生対象の試験を実施する大学もありますので海外高校卒業生が帰国生入試を受ける際、チェックが必要です。


【関連記事】海外帰国生の大学入試

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●書類選考と面接による推薦入試・AO入試

推薦入試、AO入試を実施する大学が増えています。
いずれも自己推薦による小論文・面接などで合否が判断されますので、海外での経験をアピールする準備をしっかりすることで合格を目指すことができます。
TOEFLなどの語学資格も考慮されます。

AO/公募推薦入試の合格まで

推薦入試では、出願に際し、色々な書類の提出を義務付けられます。書類審査という選考を設けている大学も多いこともあり、この出願する書類の作成自体が、合否に大きく影響すると言っても過言ではありません。
ここでは、いくつかの代表的な提出書類を紹介していきます。

志望理由書

公募推薦やAO入試で必ず必要となる書類です。その名の通り、志望した理由を論じていくというものです。
字数は大学により異なりますが、800字程度から2000字程度のものが一般的です。

自己推薦書

主にAO入試などで必要となる書類です。公募推薦でも志望理由書の代わりに用いられている大学もあります。
その名の通り、自分を推薦するための書類です。
しかしながら、私はこんなに凄い!ではただの自慢レポートでしかありません。自分が認識する自分の特性を、今後どのようにいかし、あるいは大学ではどのようにいかすのかを論じていくものなのです。

課題論文

課題論文とは、提出書類の一つとして事前に準させる課題です。
全ての大学で求められているわけではありませんが、上智大学などで課せられており、受験者にとっては志望理由書等と同様に重要な書類と言えます。事前にテーマを与え、それに対する論文を作成させる。
事前にテーマを与えると言うことは、書かれた文章の表現力なども大事ですが、それ以上に内容が重要なのは言うまでもありません。
後述しますが、十分なリサーチがその善し悪しを決めます。

調査書

調査書は高校側が用意するものですので、生徒は特別な準備などはありません。
しかし、先生に調査書の作成をお願いしてすぐにできるわけではありませんので、先生には早めに作成をお願いしておきましょう。
また、調査書は開封できないものですので、内容が気になる方も多いのではないでしょうか。

●全体評定平均値

推薦、AO入試の場合は、高3の一学期までの成績の合計数を科目数で割った数値を記入します。
公募推薦などの場合に出願条件として要求される評定平均はこの数値のことです。

帰国生海外就学経験者に人気のAO・公募推薦/一般入試

・早稲田大学 国際教養学部(AO国外選考・AO国内選考・一般受験)
・上智大学国際教養学部(公募/一般)及び上智大学他学部(公募)
・法政大学GIS(グローバル教養学部)
・早稲田大学 政治経済学部 AO入試
・立命館大学(各学部)各学部独自方式または英語基準選抜
・国際基督教大学AOで英語資格が必要
・同志社大学(各学部)公募推薦入試
・青山学院大学(各学部)英語中心に1~2科目受験入試が多い
・慶應大学SFC
・関西大学(外国語)AO入試
・中央大学(各学部)英語運用能力入試他
・関西外語大学(外国語学部、英語キャリア学部)英語特技入試
・国際教養大学 AO・高校留学生入試/一般入試C日程
・立命館アジア太平洋大学
・神戸市外国語大学・帰国子女特別選抜
・関西学院大学(各学部)AO入試またはグローバル入試
・明治学院大学(国際学部)自己推薦AO入試
・獨協大学(各学部)公募・一般入試とも英語資格者はかなり合格しやすい。
・成蹊大学 (文学部)AOマルデスは、学部によりプレゼンテーション審査や討論力審査があり、国際性をアピールできる。

※トフルゼミナール海外帰国生教育センター在籍者からのデータ

●英語資格・海外経験を活かせる国際教養学部

海外帰国生・海外就学経験者に人気の高い学部に上智大学・早稲田大学国際教養学部があります。
2学部とも共通する特色は、いずれも
・授業のほとんどすべてを英語で行う
・公募/AO 入試を行う(英語力のみ)
・米国大学のリベラルアーツ教育を実践
・国際色豊かという点で共通している。
それぞれの入学方法の特色をご紹介しましょう。

上智大学国際教養学部

上智大学国際教養学部は1970年代後半に上智大学外国語学部の中に日本語・日本文化学科として開設され、多元的な視野を生かした充実したカリキュラムと教育方針は、急速に国際化する世界に対応するものとして高い評価を確立し、2003年には、学部教育に関する優れた取組として、文部科学省から「特色ある大学教育支援プログラム」に採択されました。

米国リベラルアーツカレッジの特色をそのまま導入した、質が高い少人数制の授業を展開。

【入学方法】
公募推薦または一般出願

【入学時期】
4月期・10月期

【公募推薦入試審査方法】
志願票・志願者就学経歴書の他下記書類提出し、筆記試験&面接で審査
在籍する高等学校長の推薦状
高等学校調査書
自己推薦書(本学所定用紙)
外国語検定試験の試験結果を証明する書類(国際教養学部はTOEFL iBT79以上)
*公募推薦の他、上智国際は一般出願(TOEFL&SAT)により他大学との併願が可。

早稲田大学国際教養学部

早稲田大学国際教養学部は2004年度に新設された新しい学部です。
グローバル化した現代世界の諸問題を解決しようとする「こころざしと能力」をもつ21世紀のリーダーとなるべき人材を育てることを目標としています。
上智大学国際教養学部同様、米国リベラルアーツカレッジと同様の教養教育を中心に学びます。

【専攻科目群】
Life, Environment, Matter and Information
Philosophy, Religion and History
Economy and Business
Governance, Peace, Human Right and International Relations
Communication
Expression
Culture, Mind, Body and Community

【入学方法】
AO入試(国内選考・国外選考)・一般受験・センター試験利用

【入学時期】
4月期・9月期

【AO入学試験(国内選考)審査方法】
*日本の高校卒業者対象
基本的に志願票、高等学校調査書の他志望理由書(英文600字)
筆記試験(「Critical Writing」という自分の考えを表現する記述形式の審査)で合否決定。
*秋入学(AO入試)は書類選考と面談のみ。
尚、書類では志願票、TOEFLスコア他英語資格、センター試験結果または他国家統一試験(米国の場合SAT結果が必要)&Essay

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【関連記事】Amazonでまとめ買い

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AO入試の時期は学校によって様々な場合が多いですが、一般的に私立大は6月~12月ごろ、国公立大は9月~2月ごろと言われています。
お子さんやご自身が希望されている大学の入試時期は早めに確認しておくことをオススメします。

帰国生/海外就学経験者に有利な大学/AO・推薦入試まとめ

①AO入試は公募推薦に比べ倍率が高めになることも多いです。事前にしっかりとした対策を行うことが重要です。
②帰国生入試を実施せず、AO入試の中で帰国生対象の試験を実施する大学も増えてきています。チェックしましょう。
③色々な書類の提出が義務付けられます。語学力だけではなく、推薦書や論文を書く力も身につけておきましょう。

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