赴任先での生活や文化
海外で安全に過ごすために知っておくべきことは?犯罪対策や外務省のサイトも紹介
海外で安全に過ごすためには、事前対策が重要です。海外は安全な国ばかりではないため、日本と同じ感覚で過ごしていると思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。また、事件や事故などの不測の事態が起きたときにどうしたらいいか分からず、困ってしまうことも。今回は、海外での安全対策やチェックしておきたいサイトを解説しています。海外赴任などで長期滞在の予定がある人はぜひ最後までご覧ください。
この記事で書かれていること
海外安全対策の鍵は情報収集「自分の身は自分で守る」
日本の何気ない生活習慣も、海外ではトラブルのもとになりかねません。海外安全対策の第一歩は情報収集です。知ることが自分の身を守ることにつながります。
新型コロナ感染症の世界的な拡大が続いた2021年。国際的な人の往来がほとんど途絶える中でも、年間900人近い邦人が海外で事故・犯罪等の被害を受けたと報告されています。安全対策の第一歩は情報収集、と言っても、集めるべき情報は多種多様です。どんな情報が必要か、整理しながら準備を進めましょう。ここではその第一歩として、一般でも手に入りやすい外務省が公開する情報を中心に紹介します。
外務省の「海外邦人援護統計」によると、パンデミック以前の2019年において犯罪被害で在外公館で援護された邦人は4,992人。その内訳は、窃盗被害が4,260人と大部分を占め、ついで詐欺被害が258人、強盗・強奪被害が241人と続きます。2021年は犯罪被害での援護数が815人と激減はしているものの、国際的な人の往来は回復しており、また被害者数は増えていくと予想できます。
「私は大丈夫」その考え方は危険!
海外赴任となると注意を払う場面が非常に多くありますが、日常的な犯罪対策についても今一度、「海外モード」に切り替えることで準備をはじめてください。まずは、どんな事例があるか、今一度確認しましょう。
スリや置き引きに要注意
2021年の統計における窃盗被害では、スリと置き引きが多数を占めています。事例としては下記の内容が挙げられます。
- 混みあったバス車内で集団に囲まれ財布をすられた
- 空港にて到着時にスーツケースを引き取っている間に、カートに置いたカバンが置き引きされた
- レストランで食事中に、椅子にかけたジャケットのポケットに入っていた財布が抜かれた
いずれも長期滞在の海外赴任者でも十分に想定される被害といえるでしょう。
海外で車を使うときに気をつけるべきことは?
現地で車を運転する予定であれば、車上荒らしの被害も出ているので注意が必要です。路上駐車をして買い物に出た少しの間に鍵が壊され、車内の荷物が盗まれていたケースや、ドアロックをかけずに運転していたところ、信号待ちで停車している間に後ろからオートバイで近づいてきた男にドアを開けられ、助手席の荷物を強奪された事例も過去に発生しています。
また、2021年の事故・災害被害による援護者は71人で、うち41人は交通機関による事故で、7人が死亡、14人が負傷したデータも。一方で、スピード違反などの道路交通法違反で拘束され援護されているケースも発生しています。
何気なく撮影している写真もトラブルの原因に
その他、法律や習慣の違いによるトラブルも発生しかねません。
- 旅行先の港の夜景が美しく、記念撮影をしたところ、警察官に止められカメラを没収された
- なんとなく撮影した市場の風景写真に、写り込んだ人々が集まってきて無断で撮影したことに抗議し、最終的には撮影料を支払った
このように写真撮影ひとつにしても、トラブルの可能性が考えられます。なお多くの国で、軍事施設や港湾、空港、大統領施設などは保安上の理由から撮影禁止となっています。
現地での生活をイメージして事前準備をすべし
自分の身は自分で守る、は海外安全の鉄則です。いずれの被害も、ちょっとした油断や情報の不足などが原因の場合が多く、日頃から緊張を保って行動することと、適切な判断ができるよう十分な情報を得ておくことが、海外安全の基礎になります。
海外は安全な国ばかりではない
何より知っておくべきなのは、赴任地の治安状況です。最近の犯罪の傾向や手口、法律や習慣を事前に熟知しておくことで多くの被害を防ぐことが可能になるでしょう。また、感染症拡大の影響については、その国の対策・仕組みについてよく理解し、いざと言うときに動けるようにすることが肝要です。
とはいえ、多岐に及ぶ情報源がある中で、どのように情報を集めていけば良いか分からないこともあるでしょう。一般的に手に入りやすい情報源は外務省の「海外安全ホームページ」です。各国の基本的な安全情報と、今現在注意したい内容の両方が手に入ります。ここで赴任国の事情を把握しておくと、別の情報源へ広がっていく上でも便利でしょう。
出典元:外務省|海外安全ホームページ
チェックするべきポイントは?
海外赴任者の場合、すべてに目を通して欲しいところですが、基本的な情報を把握するにあたっては、「安全対策基礎データ」と「安全の手引き」を熟読してください。これらは世界各地の在外公館が編集して作成したもので、治安情勢の基礎知識のほか、主な病院リスト、現地警察連絡先、知っておくべき現地の習慣・法律がまとめられています。
同時に、今現在の安全状況を確認するために「危険・スポット・広域情報」も見ておいてください。地図上で各地域の危険レベルが表示されており、発出中の最新情報も見ることができます。
また、各地の在外公館Webサイトも確認してください。管轄地域内の邦人被害の報告や、在留邦人向けに実施される滞在国における安全対策セミナーなどの案内があるので、到着後、すぐに活用できるようにしましょう。
最新の情報を得よう
基本的な情報が把握できたら、最新の情報で常に更新をします。ここでは「たびレジ」が便利です。
「たびレジ」とはどんなサービス?
「たびレジ」は外務省の安全情報配信サービスのことです。メールアドレスと、情報を希望する国・地域等を登録すれば、在外公館が発出する治安情報(領事メール)を受け取ることができます。細かいところでは、発生中の事件事故についての速報なども含まれます。
出典元:外務省|たびレジ
「たびレジ」が便利な理由
登録は渡航前からいつでも可能です。複数の国を選択することもでき、日本国内の家族と情報を共有したい場合には、一緒に簡易登録しておくと、同時にメールを受信することが可能に。赴任国のほか、出張先、旅行先なども登録しておきましょう。
なお海外赴任者の場合、企業側で民間の危機管理サービスを利用して、治安情報の収集にあたっている場合もあります。その点は必ず、渡航前に人事担当者と確認して情報を共有してください。
※こちらは、2023年12月1日発行の「海外赴任ガイド2024年版」を元に作成しています。紹介内容が原文と異なる場合もあります。