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海外での誘拐事件の対応および対策
テロリスト、ゲリラ、犯罪グループなどによる誘拐事件が続発しており、企業にとってはきわめて難しい対応が要求されます。ここでは海外での誘拐事件の対応および対策について解説していきます。
誘拐事件発生時の対応
テロリスト、ゲリラ、犯罪グループなどによる身代金目的の誘拐事件が続発しています。
海外で日本人企業関係者が巻き込まれた誘拐・拉致事件は、1978年から2005年までに公表されただけでも20件以上発生しています。
企業にとって誘拐事件は人命に関わる意思決定を迫られ、きわめて難しい対応が要求されます。事件が発生した場合は、次のような対応が重要です。
①危機管理体制の組織化
②日本の外務省、大使館への通報
③セキュリティー・コンサルタントへ連絡
④交渉仲介人(ネゴシエーター)の選定
危機管理体制(チーム)の組織化
本社と現地にチームを組織して、事件に対応する体制を整えます。
誘拐事件では、現地支店や現地法人の日本人幹部が狙われることが多く、そのため現地で責任をもって判断することができず混乱を招くことも少なくありません。
その場合は、本社へ責任決定できる役員の派遣を要請する必要が出てきます。
外務省・大使館への通報
海外で起こった犯罪はその国の主権で捜査するのが原則です。
しかし、誘拐事件は国によって法律で身代金を禁止していたり、人質の生命を無視して事件解決を優先したりするケースもあるため、まず日本の外務省や大使館へ知らせ、警察など関係当局へ通報する手段を相談する必要があります。
誘拐事件の多発国では、大統領直轄部隊や誘拐専門部署が組織されている場合もありますが、犯人側との対応や事件解決には外務省や大使館のさまざまな支援が必要になるので必ず通報するようにしましょう。
セキュリティー・コンサルタントへ連絡
誘拐事件の対応には、セキュリティー・コンサルタント(またはスペシャリスト)の専門知識やノウハウが必要になります。
すみやかに契約しているコンサルタントに連絡し、アドバイスを受けながら対応するのが賢明です。
交渉人(ネゴシエーター)の選定
犯人側との窓口になる交渉人は、事件が起きた国の人間が望ましいです。
犯人の話から感情の動きなどが読み取れないと、交渉人は務まりません。人質が無事の証拠を取り続けるのも、交渉人の重要な役割です。
過去の例では聖職者や弁護士がなることが多いです。
秘密の保持
誘拐事件では秘密保持も重要課題になります。
事件が公になるとマスコミ対策が必要になるばかりか、事件の対応が複雑になることもあり得ます。
ローカルスタッフや被害者宅のメイド、ドライバー、取引先企業関係者などから秘密が漏れることもあるので注意が必要です。
事件が長引けば秘密保持は難しくなります。公になった事態を想定して、事前に対応準備を進めておくことが大切です。
マスコミ対策について
緊急事態が発生したり事件が明るみになると、マスコミが頻繁に問い合わせてきます。そこで、情報発信を一本化し、広報担当者(スポークスマン1名)を決めます。
スポークスマンは担当責任者と相談した後に、企業ができること、やらなければならないことをまとめた声明を記者会見で発表します。
記者会見に臨むスポークスマンは、次のような役割や心構えが必要です。
①緊急事態に正面から取り組んでいる姿勢であたり、企業ポリシーにもとづいた公表、非公表の情報を責任者と確認し、正確に声明や回答を行います。そのため公表する資料の内容をよく確認する必要があります。資料には会社概要や業務内容、役員の略歴、危機管理に関する決議書なども含まれます。また、スポークスマンの氏名、自宅と会社の電話・FAX番号を明記したコンタクト・シートを用意しておきます。
②明確な事実のみを強調し、推測による発言は慎むようにします。あいまいな声明や回答は企業の評判を落としかねません。マスコミの質問に即答が難しい場合は「ノーコメント」ではなく「後日あらためて返答する」など丁寧に対応を心がけましょう。
③必ずリハーサルを行うようにしましょう。特に、質疑応答に関しては注意深いリハーサルが必要です。正式な記者会見では、細部の説明や追加情報(説明)の提供が必要な場合があるので、各担当責任者も同席してもらうようにしましょう。
④記者会見で危機に関して微妙な問題が質疑される可能性がある場合は、顧問弁護士に同席してもらうようにしてください。
記者会見には「公式会見」と「非公式会見」があります。公式会見は公表した内容がそのまま報道され、関係者の実名や役職も公表され情報の信憑性が高まります。したがって、公式会見で公表する内容は、責任者が承認した情報に限られます。
非公式会見で伝えられる情報は、ニュースの一環として扱われるもので、名前や役職は公表されず「関係者筋」「警察当局」などと書くのが一般的です。公式会見よりくだけたものになりますが、推測や空論を避けることはいうまでもありません。
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