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海外赴任前の基本的な保健・医療の準備
海外赴任社員や帯同家族が病気になると、日本国内以上に業務上大きな影響を及ぼすことになりかねません。人事担当者が心がけなければならない、海外赴任前の基本的な保健や医療の準備について解説していきます。
海外赴任社員や帯同家族の健康への配慮
海外赴任社員や帯同家族が病気になると、日本国内以上に業務上大きな影響を及ぼすことになりかねません。
企業の人事や総務担当者は、そのことを赴任社員や帯同家族に十分自覚してもらい、健康への配慮を促すことも大切です。
健康管理の第一歩は、赴任先国の気候、風土、生活慣習、衛生状態など基本的な状況を認識することにあります。
海外赴任前の生活環境オリエンテーション
赴任前に業務の研修と同時に、生活環境のオリエンテーションをすれば、当該国での心理的ストレスに起因するカルチャーショックの緩和にも役立ちます。
さらに、現地の人の思考、気質、生活慣習、宗教、言語、保健・医療状況などを知れば、現地邦人との日常交流にも役立ち、ビジネス面でも成果が期待できといえます。
気候や風土は生理的ストレスに由来する健康トラブルと密接に関係するため、その対応策には知識が必要。たとえば大陸の内陸部には、温帯地域であってもまれに想像以上の熱波や寒波に襲われることもあります。
衛生環境の面では、特に飲料水に注意しなければなりません。途上国では食中毒や伝染病の感染源となり、先進国でも飲料水が原因の下痢症が発生することがあります。必ず一度沸騰させた湯冷ましやミネラルウォーターを使用し、洗顔や歯磨き、水割りの氷も注意する必要があります。
熱帯や亜熱帯地域では、特に虫や蚊に注意が必要です。これらはマラリア、デング熱、黄熱病などを媒介します。
また、生野菜や生の魚介類などはA型肝炎、赤痢、コレラ、腸チフスなどにかかりやすいです。
赴任社員や帯同家族に健康管理の徹底を促すのも、人事・総務担当者の重要な業務といえます。
海外赴任前の健康診断と診断書の重要性
海外赴任は辞令の発令から出発まで1カ月か遅くとも2カ月、帯同家族はそれから2~3カ月後に出発するのが一般的です。
赴任前は、引越や諸手続きなどさまざまな準備を短期間で完了しなければなりませんが、保健・医療関係の準備も重要項目のひとつといえます。
赴任先国で通常業務ができる健康状態を確認する意味でも、赴任前の健康診断は不可欠。当該国によっては、健康診断書が入国ビザ申請や子どもの入学手続きに必要な場合もあります。
健康診断書に家族の病歴やアレルギーなどを現地語または英文で翻訳した文書を添付しておけば、赴任先国で発病したとき役に立ちます。
母子手帳の翻訳や予防接種証明書なども重要。特に予防接種は国によって内容が異なるため、あらかじめ保健所や医療機関で確認しておきましょう。
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