一時帰国の準備
海外赴任中の限られた一時帰国期間を有意義に過ごすためには入念な計画を
海外赴任の期間中に、日本へ一時帰国をする機会があります。日本に戻り、やっておかなければいけないことや、やりたいことが沢山あるはず。その中で、やるべきことの優先順位を把握してから入念に計画しておくことは大切です。そこで今回は、海外赴任中の一時帰国でやっておくべきことの例や、一時帰国時に使えるお役立ち情報を紹介します。
この記事で書かれていること
一時帰国の制度は海外赴任前に必ず確認を!
一般的に、企業派遣の海外赴任者の場合、社内規程により一時帰国の制度が設けられています。健康診断や業務報告、あるいは休暇を目的として短期間ではありますが、日本に帰国することができます。
制度の詳細は赴任前に必ず確認をしておきましょう。特に頻度・期間は企業によって様々で、例えば1年に1回で2週間程度、あるいは2年に1回で1ヶ月…など違いがあります。その中で、日本の家族のことや住まいのケア、あるいは数年後の本帰国の準備など、日本でしかできない用事を済ませる必要があります。
もちろん、自費で一時帰国することも検討できますが、まずはきちんと一時帰国制度を把握して、いつ・どんな目的で日本に帰るのか、整理できるようにしておきましょう。
テーマを持って一時帰国を
海外赴任中に一時帰国する際は、帰国の目的やテーマについて、必ず家族で話し合い、入念に計画しましょう。滞在期間が限られているものの、やるべきことややりたいことは沢山あります。
健康診断や持病の治療、食品など必要備品の買い出しは一時帰国した時にやるべきことの定番です。日本にいる親類への挨拶まわりやお墓参り、親の様子を見に行くことも重要事項のひとつです。
子どもを帯同する場合には、教育相談を受けたり、受験の準備をしたりなど、日本にいるうちにやっておきたい事柄は多くあります。
また、久しぶりの日本だからこそ温泉旅行や日本食を楽しんだり、友人と出かけたりしてリフレッシュすることも、充実した海外赴任を続けるためのコツです。一方で、帰任が近い場合は、転校先や進学先探しや住宅探しなど、本帰国する準備が優先されるでしょう。
一時帰国をした際、自分の場合はどんなことを優先すべきで、やりたいことは何ができるのかを表①や表②を参考に、一時帰国の都度、目的を明確にして計画するようにしましょう。
表①一時帰国やることリスト
健康診断 |
企業が実施する場合が一般的です。海外赴任中の生活状況をふまえて、不安に思う点は医師に相談しておきましょう。また、歯科治療など赴任地で保険外診療となるものは、治療を済ませておく必要があります。 |
買い出し |
日本食や衣類、医薬品、化粧品、学用品など日本で買っておきたいものは事前にリストアップして効率的に購入しましょう。一時帰国前に通販で購入し、滞在先に発送すると手間を省くことができます。非居住者免税(下記お役立ちコラム参照)や、検疫などによる持ち込み制限は事前に把握しておきましょう。 |
家族との連絡 |
親類、家族に会いに行きましょう。特に、介護を必要とする家族がいれば、現在の状況や今後のサービス利用について、兄弟や信頼のおける業者に確認・相談をしておく必要があります。国内連絡先を依頼している場合は、不在中に届いた郵便物などを受け取っておきましょう。 |
自宅の手入れ |
空き家にしている場合は、窓を開け空気の入れ替えなどをして、自宅のケアをしましょう。賃貸している場合は、賃貸状況の確認や家賃収入に対する所得税・固定資産税の納付状況について、代行会社・納税管理人などに確認します。 |
旅行 |
久しぶりの日本を楽しむために、旅行してリフレッシュできる時間を作ることもおすすめです。また、子どもを帯同して海外赴任している場合、一時帰国は子ども自身が日本のことを知るいい機会なので、有名な観光地を訪問するといいでしょう。 |
運転免許 |
一時帰国中に更新しておきましょう。 |
表②教育関連やることリスト
学校見学 情報収集 |
海外赴任帰国後の転校・進学先候補を調べておきましょう。春から秋であれば、入学説明会や文化祭などに参加して学校を見学しておくといいです。タイミングが合わず、行事参加が難しい場合は、学校周辺を散策しておくだけでも参考になります。学校のパンフレットなども活用して、帰国生のフォロー体制や途中編入制度、受験資格などの情報を集めましょう。 |
体験授業 |
私立校では学校説明会と合わせて、体験授業を実施している場合があり、帰国生教育の方針を知るいいチャンスです。公立校の体験入学の受け入れ可否は学校により異なるので、学校に直接問い合わせてみるといいでしょう。 |
集中講習 |
入試に備え、塾の集中講習を受けましょう。日本国内や他国の帰国生と一緒に勉強することで、自身の学習進度も確認できるはずです。 |
一時帰国したら日本の情報を最新にアップデートする
海外赴任経験者の体験談では、「一時帰国中は日本の流行をチェックしたい」「最新のニュースを知りたい」という声も多いです。日本を離れ、異国での生活が続くと、思いのほか日本のことが見えなくなるもの。話題のスポットや気になっている場所に足をのばす、書店で注目されている書籍をチェックする、といった時間を作っておくことも考えてみてもいいかもしれません。
また、小さい子どもを帯同する場合、一時帰国は子ども自身が日本を体験できる貴重な機会にもなります。日本の有名な観光地やお祭りなどに連れて行き、日本の文化に触れる機会を設けるようにしましょう。
なお、パンデミックの影響により、国際的な往来における制度のありようは流動的です。日本帰国時の条件を確認するのはもちろんですが、赴任地に戻る時の条件や手続きについても、同時に調べておきましょう。
お役立ちコラム 一時帰国で便利なテクニック
一時帰国の際、必要な住まいや車などを調達するために便利なテクニックを4つ紹介します。
Wi-Fiや携帯電話
一時帰国中は、レンタルWi-Fiルーターやプリペイド式のSIMカードが便利です。空港で入手することができ、ルーター返却は宅配便で行えるサービスもあります。
車
国内旅行や親族まわりなど移動が多い一時帰国であれば、カーシェアリングやレンタカーが便利です。ただし、外国人旅行客にも人気のサービスなので、インターネットで予約しておくと安心して利用できます。
住居
ホテルのほか、中長期の滞在であれば、都心部では家電や家具が付いたウィークリーマンションやサービスアパートメントなど便利な選択肢もあります。民泊は、未だ違法なものもあるので注意が必要です。
ショッピングや非居住者免税
一時帰国した非居住者は、外国人観光客と同様に消費税免税で買い物することができます。出国まで開封していないことなどが条件に、家電や一般的用品などが対象です。ただし、検疫等の条件で海外赴任先に持ち帰ることが出来ないものもあるので、別途確認しておきましょう。
※消費税免税制度の詳細や実施店舗は、以下のサイトで確認できます。
https://www.mlit.go.jp/kankocho/tax-free/about.html
※こちらは、2023年12月1日発行の「海外赴任ガイド2024年版」を元に作成しています。紹介内容が原文と異なる場合もあります。