海外引越の準備
海外赴任時の留守宅管理はどうする?持ち家の3つの選択肢や管理サービスなども解説
海外赴任が決まると、新たな環境に胸を躍らせつつも「持ち家やマンションなどの賃貸はどうする?」「空き家の管理はどうする?」といったさまざまな不安が出てきます。今回は、海外赴任時の留守宅管理の選択肢について詳しくご説明します。また、留守宅管理サービスを利用する際のポイントもまとめているので、海外赴任時に留守宅管理する際の参考にしてください。
この記事で書かれていること
海外赴任における日本の留守宅 管理
持ち家の場合、基本的な選択肢は「1.処分する」「2.空き家にして管理する」「3.赴任期間中に限定して賃貸する」の3つがあります。それぞれのメリットとデメリットは、表①を参考にしてください。一部の企業では海外赴任者に対しての借り上げ制度もあるので、勤務先にも確認してみましょう。
表①
メリット |
デメリット |
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1.処分する |
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2.空き家にして |
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3.賃貸契約する |
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一方、日本の住まいが賃貸契約の場合は、国内で引越しをする場合と同様です。一般的には1~2カ月前に解約を通知し、退去日は確定後に通知します。貸主により対応も異なるため、海外赴任が決まったらできるだけ早く知らせておきましょう。
持ち家の対処には専門業者の利用を
持ち家の場合、いずれの選択にしても個人で対処するのは手間や時間がかかる上、賃貸などではトラブルも発生しやすくなります。そのため、専門の仲介業者を利用すると、時間も節約できて安心です。
転勤に伴う留守宅の管理、賃貸借の仲介を専門とするリロケーションサービス(留守宅管理)業者を探してみましょう。賃貸借の仲介斡旋のほか、空き家の場合の管理・維持も行ってくれます。また、空き家にする場合や、家族が自宅に残る場合には、セキュリティ業者のサービスも便利です。ほかに、空き巣や放火などの防犯対策や、家族の見守りサービスなどが海外赴任者向けのプランで提供されているものもあります。
空き家のメンテナンス方法
留守宅を空き家のままにしておくと、傷んでしまいます。締め切った状態では湿気が抜けず、木材の傷みやカビの発生につながります。また、給・配水管は、長期間使用しないと錆びたり、地域によっては破裂したりといった恐れも否定できません。
空き家にする場合は、月に一度程度、通風(1~2時間)、通水、室内外の清掃、水回り確認、雨漏り確認、郵便物の確認、電化製品や自動車の試運転などのメンテナンスが必要です。親族に管理を依頼する場合、思っている以上に多くのケアが必要なので、詳細に打ち合わせをしておきましょう。かなりの負担になってしまう恐れがある場合には、リロケーションサービスなどの業者に管理を依頼するとよいでしょう。
リロケーションサービスについて詳しくチェック
ここからは、リロケーションサービスについて詳しくみていきましょう。
リロケーション業者の主なサービス例
- 留守宅の借受け:借主を法人に限定することもできる
- 賃貸借の仲介斡旋
- 賃貸中の管理業務代行(賃貸料の徴収、借主からのクレーム等の応対、処理等)
借主の事情によって家賃の支払い遅延等があっても、家賃保証制度により決められた額をスムーズに受領できる。 - 留守宅(空き家)の維持・管理
- 引越しサービス
- 家財保管
- 増改築・修理等:庭の手入、家の補修・営繕などの管理サービス
注意するポイント
リロケーションサービスを利用する際に注意したいポイントを、以下にまとめました。
家賃収入と確定申告
非居住者でも日本国内で得られる所得(国内源泉所得)には所得税が課され、家賃収入もこれに含まれます。リロケーション会社を利用する場合、家賃収入の20.42%をリロケーション会社が源泉徴収するので、自分自身でやるべき手続きは、きちんと確定申告をすることです。部分的に還付される場合もあるので、よく調べて計画しておきましょう。なお、非居住者が確定申告をするには納税管理人の選定が必要です(海外赴任中の納税はどうする?納税義務の有無や納税管理人の申請方法もチェックを参照)。
参考:国税庁タックスアンサー
賃貸の明け渡し・解約のタイミング
いざ帰任が決まったものの、自宅は賃貸中のためすぐには入居できない、というパターンは少なくありません。明け渡しのタイミングや手続きをはじめ、賃貸契約条件については事前によく確認しましょう。契約期間中の途中解約については、借地借家法上、基本的には難しいケースが多いので要注意です。これらの点も踏まえ、信用と実績のある業者を選定するのがポイントです。
維持管理と修理費用の負担
退去時の原状回復についてはトラブルが多いので、賃貸契約の前によく調べておきましょう。基本はリロケーションサービスを依頼する業者と条件を事前に確認しておくことが、将来、トラブルを避ける意味でも必要です。
更に詳しい情報が必要な場合には、国土交通省が発表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基本的な考え方、Q&Aなどがまとめられているので参考にしてください。
なお、このガイドラインにおいて原状回復は「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。また、その費用負担は賃借人です。一方、経年劣化や通常の使用による損耗などの修繕費用は賃料に含まれる、とされています。
参考:国土交通省|「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
※こちらは、2023年10月31日発行の「海外赴任ガイド2024年版」を元に作成しています。紹介内容が原文と異なる場合もあります。