赴任先での生活や文化

海外赴任前に準備スタート!帰国後の子どもの教育を円滑にするためには?

海外赴任が決まると家族帯同の選択をする家庭も多いでしょう。家族帯同の場合は、役所への手続きや現地での生活など、準備することがたくさんあります。また、帰国後の生活や子どもの教育についても今のうちから考えておく必要があります。その中で今回は、海外赴任前から準備を始めておきたい学校の編入・受験の制度について紹介します。赴任中の時々でチャンスを逃さないためにもまずは基本を押さえましょう。

帰国のタイミングは早めに検討を

帰国のタイミング
最初におさえておきたいのが、帰国のタイミングです。公立の小中学校であればいつ帰国しても編入可能ですが、帰国生のフォローを特徴とする帰国生受入校の場合、その多くは私立校なので入学もしくは編入試験を受ける必要があります。小学校の場合は母数が少なく選択肢が限られます。中学校の場合は小学校に比べ母数が多く編入も可能ですが、入試に比べ編入は受け入れ人数や学年が限定され、実施しない学校もあります。選択肢を多く持つためには、入試に合わせて帰国することを検討しておくとよいでしょう。

ここで帰国のタイミングに大きく影響するのが出願条件です。帰国生受験では「海外滞在○年、帰国後○年以内」といった海外滞在年数の条件があり、近年、条件が緩くなる傾向にあると言われていますが、各校で異なります。志望校の条件だけでも早めにチェックをしましょう。

高校段階で帰国生受験をする場合は、上記のような滞在条件に加え、日本の中学校もしくはそれに相当する教育課程を修了または入学までに修了見込みである、入学時には満15歳以上である、など確認する項目が多いです。何より、各校で条件が異なるので気になる学校があれば早めに情報収集することが肝要です。学校ほか、各種相談機関に相談しておきましょう。

主な帰国子女教専門機関、相談窓口

相談

ここで、帰国子女向けの専門機関や相談窓口をチェックしておきましょう。

海外子女教育振興財団

帰国生向け学校説明会を開催しています。 2022年度はオンラインで5月〜10月に実施しました。

また、「帰国生のための学校便覧」を毎年発行しています。国内の受入校を検索できる「帰国子女受入校検索‐(WEBde 学校便覧)」もあります。 オンラインの教育相談も可能で、出国前なら現地校選び、 渡航中なら帰国時期などさまざまです。 また受験に特化した「オンライン受験相談(会員のみ利用可)」もあります。

公益財団法人 海外子女教育振興財団

ボランティア団体

海外赴任経験者が出発準備ほか、 現地の教育や帰国後の学校選びなど、 相談にのってくれます。

フレンズ帰国生 母の会

毎年秋に発行している「帰国生のための学校案内(首都圏版)」が便利です。 帰国生受入校のアクセス ・ 受験内容 ・ 学生へのインタビューなどを掲載しています。

フレンズ帰国生母の会 海外赴任帰国サポート

関西帰国生親の会 かけはし

こちらも海外赴任経験者が各種相談にのってくれます。 関西圏を中心に活動しており、 毎年秋に「帰国生への学校案内(関西)」を発行しています。

関西帰国生親の会 かけはし

学習塾

各学習塾では海外帰国生向けコースを開講しているほか、 学校説明会 ・ 出願方法のガイダンスなども行なっています。 「学習塾_帰国生」などで検索してみましょう。例えば早稲田アカデミー、トフルゼミナール などが挙げられます。

高校生の帯同は、現地校卒業を

高校生

小学生・中学生での帯同が主流ではありますが、高校生で帯同する方もいるでしょう。その場合は帰国後の進路について一層計画的に考えておく必要があります。

まず基本的には現地校もしくはインター校を卒業できることが望ましいでしょう。高校の場合、小中学校に比べて帰国後の途中編入のハードルが高いからです。編入時期を各学期はじめとしているケースが多く、随時編入は少ないです。さらに高校3年生の編入となると選択肢が大きく限定されます。

次に大学受験の準備も渡航時に計画しておきます。というのも、国内大学の帰国生入試では現地高校の成績が審査材料となります。つまり現地校の3年間でしっかり学ぶことが大学受験準備となるので、現地の学校の授業についていけるかどうかフォローが必要です。例えば英語の授業に慣れていないならチューターをつける、あるいは渡航時は高2でも学年を落として3年間しっかり学ぶなど、入学時の学力を踏まえてスタートできるようにしましょう。同時に英語資格等のスコアも受験で求められるので現地で準備しましょう。

出願条件についても現地就学期間、卒業要件などが学部ごとに定められているので前もって確認する必要があります。なお高校途中で帰国辞令が出た場合、子どもだけ卒業まで滞在する選択肢もありますが(単身残留)、ビザの条件、費用、加えて大学入試における帰国生の条件として認められるかどうか慎重に確認をしましょう。

中学受験における英語(選択)入試について

中学受験

中学受験において帰国生入試以外でも英語を受験科目に加えたり、選択させたりすることが増えてきています。その中には「英語1教科入試」も見受けられます。帰国生入試は滞在○年以上、帰国後○年以内の条件が課されるので、条件に合致しない場合は本入試も選択肢に入ります。ただ、現時点で採用している学校は多いとは言えませんが、良く調べることが重要です。

専門家に相談しよう!

帰国子女の教育は両親だけでは見えないポイントがたくさんあります。ぜひ帰国子女教育の専門機関に相談をしましょう。海外赴任中ならメール・オンライン等で相談できます。学校選びや帰国スケジュールなど具体的な相談ほか、進路に迷っている場合は子ども自身が相談員と話をすることも可能です。加えて渡航前の今であればなおさら、現地の学校選びや現地滞在中の学習のフォローなどアドバイスしてもらい、帰国のタイミングもこの段階で相談しておくと計画が立てやすくなります。学習塾・通信教育などの民間サービスについても渡航中の学習のフォローのため検討しておきましょう。

以上、渡航前からおさえておきたいこととして、主に制度や仕組みについて紹介してきました。ただし、実際に学校選びを始めるときには、子ども自身が海外生活を通して何を学んだか、何を得たか、これから何をしてみたいか…がもっとも大切です。制度上のことは基礎知識としておさえておいて、海外赴任中には現地でのお子さんの活動に注目してください。その上で、いざというときにチャンスを逃さないよう、イベントの参加、情報収集、受験対策など、計画的な準備も進められるようにしましょう。

※こちらは、2023年12月1日発行の「海外赴任ガイド2024年版」を元に作成しています。紹介内容が原文と異なる場合もあります。

#家族 #海外赴任 #準備

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