渡航前の医療
海外赴任中のメンタルケア
海外赴任では日本のようにいかない場面も多くあり、国内とは違ったストレスがかかります。しかし、赴任前ではなかなか想像しにくい事ばかりです。そこで赴任前にできる対策として、相談先を考えておく、メンタル不調の事例を知っておくなど、情報収集を中心に準備しておきましょう。
この記事で書かれていること
海外赴任者は「災害弱者」
「災害弱者」とは、災害等の危険が身に迫った状況にあっても、自分自身で情報を収集することができず、自ら判断して逃げ出す、安全を確保するなどの行動ができない人を指します。高齢者、子ども、障がい者が挙げられますが、言語や習慣に違いがある外国人もこれに当てはまり、海外赴任者はまさに災害弱者となります。
いざ海外赴任して現地での生活が始まれば、言葉の違い、社会のシステムの違いなどで、なかなか身動きが取りづらくなります。まずは自分自身が「災害弱者」となることを、念頭に置いておきましょう。
一方、多くの赴任者の方は、赴任直後の生活の立ち上げこそ大変苦労したとおっしゃいますが、徐々に周囲に人間関係ができてゆき、自分でできるこをふやしながら暮らしを軌道に乗せていきます。ただ、外国人としての暮らしは日本帰国まで続きますから、一苦労することも多くあります。そういったプレッシャーやストレスとうまく付き合っていくことが必要になる点も、渡航前から心得ておきましょう。
こういった緊張とうまく付き合っていくためには、自分で工夫していくことが肝要です。楽器など趣味の道具を持っていって現地で仲間を探す、スポーツの習慣を続けられるよう施設などを探す、現地の言葉を勉強するなど、自分ならどうしたら良いか考えておきましょう。同時に帯同する家族ひとりひとりもこういったプレッシャーと隣り合わせになることを忘れずに。家族同士でどのように協力していくか、現地についてから生活はどんどん変化しますので、その中で見直しながら、工夫しましょう。
さらに渡航後は、一緒に仕事をする現地の人々、在留邦人のコミュニティなど、新しい人間関係もあります。赴任地の規模次第でコミュニティの規模にも違いがありますが、いざというときは協力できると心強いものです。前任者の紹介から人の輪を増やしていくなど、渡航前にアクセスできるところを準備するのも良いでしょう。
出発前の注意
数年にわたる海外赴任ですから、気持ちが沈んだり、体調を崩すこともあります。こういった時に相談できるところを事前に目処をつけておくと安心です。
特に、強いストレスを感じる、気持ちが沈む、という時には日本語で相談できるところがあると非常に安心です。海外にいながら日本語でカウンセリングを受けることはなかなか困難ですが、在留邦人が増えたこと、コロナ禍を機にオンラインカウンセリングなどが増えたことにより、アクセスできるサービスは増えつつありますので、渡航前に調べておきましょう。
在留邦人メンタルケアに取り組む団体
●JAMSNEThttps://jamsnet.org/jamsnet-world
NYのJAMSNETはじめ、東京等世界各地に関連団体がある医療ネットワーク。在留邦人への医療サポート等に取り組んでいる。各拠点の連絡先・WEB等は上記から。
●Groupwith
https://www.groupwith.info/
世界各地のメンタルケアの相談機関・医療機関リストを公開。
●WithKids
https://www.withkids-kaigai.com/
●じょさんしonline
https://josanshi-cafe.com/
●Hope Connection(オーストラリア)
http://hopeconnection.org.au/
新型コロナ関連の海外在留邦人向けメンタルケア関連リンク
●厚生労働省こころの耳-新型コロナウイルス感染症対策(こころのケア)https://kokoro.mhlw.go.jp/etc/coronavirus_info/
専門家によるアドバイス、相談窓口の紹介など。
●日本うつ病学会 新型コロナウイルス関連
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/gakkai/teigen/covid19.html
●外務省提携 Medifellow 海外在留邦人向けオンライン医療相談・精神カウンセリング
https://doctorfellow.net/MOFA
外務省との提携で、海外在留邦人にオンラインでの医療相談等を提供するサービス。
海外生活でのメンタルヘルスに関連する書籍
内容紹介
実際に海外在留邦人の精神医療に携わる著者・寄稿者による著書。駐在員・帯同家族らの精神医療事例、世界各地で活動する団体からの報告、またセルフケアとしてできることなどがまとめられている。
内容紹介
海外展開を積極的に行う企業が増加し続ける現在、本人だけでなく、随行家族のメンタルヘルスにも注意が必要です。
著者の実体験を交え、これから海外に派遣される人、そして社員を送り出す人事部の方にも最適の一冊。
内容紹介
企業の労務管理担当者のために、海外赴任中の社員のメンタルヘルス対策について、具体事例で解説した唯一の書籍。
海外赴任社員が直面しうる、仕事・生活面の様々なストレス要因と、それに対する必要なメンタルへするケアについて、労務管理担当者が気を付ける点がわかる。