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海外赴任中のメンタルケア

赴任地や本人の感じ方によりその大きさは異なるが、言語や仕事・生活習慣の違い、対人関係、日本本社からのプレッシャーなど、海外赴任中は日本国内以上にストレスがたまる、という声をよく聞きます。
このコラムには、外務省メンタルヘルス対策上席専門官の鈴木満による、赴任者本人や帯同者にも重要なメンタル面での対策が書かれております。
海外赴任時のストレス
赴任地や本人の感じ方によりその大きさは異なるが、言語や仕事・生活習慣の違い、対人関係、日本本社からのプレッシャーなど、海外赴任中は日本国内以上にストレスがたまる、という声をよく聞く。
海外赴任の生活は仕事以外の時間もその国で過ごすことになる。
自ら望んで赴任したとしても、仕事中だけではなく日常生活が常に緊張状態にあることは、ストレスの大きな要因の一つだ。
海外赴任が特別ではなくなってきた今日、単身赴任や自ら望まない海外勤務も増え、実際に精神的な問題が原因で途中帰国した例、あるいは専門的な対応が必要となる事例も発生している。
メンタルケアは赴任者自身や企業にとってこれまで以上に重要な問題だ。
出発前の注意
海外で不測の事態や未経験なことを避けるのは現実的に難しい。
出発前にできるだけ多くの準備をしておきたい。
まず、事前に現地の情報を十分に収集すること。
海外赴任のマイナス面だけでなくプラス面も見えてくるし、どういったことが起こるかを少しだが予想することもできる。
異文化に適応していく過程は一般的に「ハネムーン期→批判期→適応期」を経るといわれる。
赴任当初の新鮮な驚きや感激は徐々に薄れ、だんだん不平不満が生じるが、やがて受け入れて落ち着く。
こういった変化が起こるということも覚えておくと自分自身を客観的に見つめる助けになる。
また赴任生活では仕事、人間関係(現地職員や邦人社会)、異文化環境などストレスはいろいろなところから生じる。
ストレスを自分自身で上手に整理できることもポイントだ。
特に赴任者の場合は職場と生活のストレスを混同せず整理するようにしよう。
日本語で相談ができる支援者がいることも大切だ。
現地あるいは日本で、赴任中にも連絡を取り合える家族や友人の連絡先をしっかりと控えておこう。
Skypeなどのネットを経由したやり取りも活用したい。
アカウントを持っていない場合は渡航前にぜひ用意を。
海外生活中に使うシーンが出てくるはずだ。
同伴家族のメンタルケア
帯同者がいる場合、同伴家族へのケア、家族間でのコミュニケーションも非常に重要。
赴任者本人には仕事や接待などで、安定する場所や人間関係があるが、帯同者は知り合いがいない孤独な環境下で心理的に不安定になりやすい。
中には、帯同のために日本での仕事を辞めた複雑な思いや、仕方なくついてきたという思いが引っかかり続ける場合も。
同伴家族のメンタルケアは家族の健康や、本人のパフォーマンスにも影響する大事な要素なので、家族で集まる場などを活用し仲間を積極的に紹介するなど、家族同士のネットワークづくりを大切にしよう。
節度ある健康的なライフスタイルを
過度のアルコール摂取は睡眠の質を下げたり、生活習慣病への影響などマイナス面も多く、特に単身赴任者や管理職の場合にはアルコール依存症や精神疾患へ発展するケースもある。
緊張の多い生活でビジネス上お酒の付き合いが必要なこともあるが、節度のある生活を心がけたい。
特に中国赴任の場合、ビジネスシーンでお酒の付き合いが多く要注意だ。
適度な運動も健康維持に効果的。
現地のスポーツサークルへ参加したり、治安の心配がなければジョギングも良いだろう。
最近は海外勤務の異動が決まっても「海外赴任したくない」と感じる人もいるだろう。
帯同者であれば、その割合はさら高くなるだろう。
初めての海外勤務となれば不安は大きい。
しかし「海外赴任を楽しもう」というプラスのモチベーションを持ち、現地に向かっていきたい。
日本では絶対に経験できない貴重な体験もあるだろうし、海外に出て初めて日本の良さや素晴らしさを再確認することも多い。
気持ちの持ちよう一つで、海外勤務も大きく変わる。
しかし個人ではどうにもできないこともある。
その場合は専門的なケアが必要だ。
事前に勤務先のメンタルヘルス相談窓口などを確認しておこう。
また、一部都市では日本語でのメンタルケアに取り組む団体も活動している。
その他、自分自身で知識をつけセルフケア能力を高めることも重要だ。
出発前は何かと忙しいが、書籍やセミナーなどで情報を収集しよう。
日本語でのメンタルケアに取り組む団体
JAMSNET:ニューヨーク
邦人医療相談室:パリ
虹の会:パース
NGO「こころの電話」:バンコク
メンタルヘルス専門家ネットワーク:ワシントン
JBライン:ボストン
JSS:トロント
Hope Connection:メルボルン
ジャカルタカウンセリング:ジャカルタ
海外生活でのメンタルヘルスに関連する書籍
内容紹介
本コラムの鈴木満先生の著書です。
在外邦人113万人時代のこころの危機管理・必携書
企業の海外進出がますます増加する昨今、海外で精神疾患を発症する日本人が急増しています。
慣れない食生活、商習慣の違う外国人と仕事をする困難さなどストレスを生じさせる要因が多く、ある一定期間海外にいるということは精神科的には危機にさらされている状況と言えます。
その上、精神科医療は医療者と言葉が通じる、文化や社会を共有していることを治療のバックボーンとしています。
しかし、海外で日本人精神科医の診察を受けられるのは欧米の大都市のみです。
精神科医療過疎地である海外でこころを病んだとき、どうしたらいいか。
その際の医療をどのように整えていくか、ケア側の方法論をまとめました。
スーツケースの片隅に、国際人のコモンセンスとしての1冊を。
内容紹介
海外展開を積極的に行う企業が増加し続ける現在、本人だけでなく、随行家族のメンタルヘルスにも注意が必要です。
著者の実体験を交え、これから海外に派遣される人、そして社員を送り出す人事部の方にも最適の一冊。
内容紹介
企業の労務管理担当者のために、海外赴任中の社員のメンタルヘルス対策について、具体事例で解説した唯一の書籍。
海外赴任社員が直面しうる、仕事・生活面の様々なストレス要因と、それに対する必要なメンタルへするケアについて、労務管理担当者が気を付ける点がわかる。
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