海外滞在中の子供の教育
海外赴任先で学校はどう選ぶ?海外の教育制度や選ぶときのポイントを解説
海外赴任が決まると、子どもたちの転校先を探す必要があります。「世界の学校ってどんな感じだろう。面白いかな?」「授業や時間割、日本との違いは?」など、子どもたちは海外の学校生活について知りたいことがたくさんあるかもしれませんね。今回は、海外赴任先で学校を選ぶときのポイントを解説します。合わせて、世界の学校の教育制度と日本との違いについてもまとめたので、学校選びの参考にしてください。
この記事で書かれていること
海外の学校制度とは?赴任地の学校情報を集めよう
学校の主な選択肢は、1日本人学校、2私立在外教育施設、3インター校(インターナショナルスクール)、4現地校、5補習授業校(補習校)の5つになります(表②)。
表①就学別・地域別海外長期滞在子女数
海外子女教育振興財団「月刊海外子女教育2023.1月~ただいま何人!?」より
表②主な学校の特徴
名称 |
概要 |
生徒の国籍 使用言語 |
メリット デメリット |
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日本の教育制度 |
日本人学校 |
日本国内の小・中学校と同等の教育を確保する目的で設立されている文部科学大臣認定の全日制の学校です。日本の検定教科書を使用し指導します。現地の日本人会などが運営しており、在留邦人人口などによって、規模は大きく異なります。現地校との交流行事を組み込むなど、独自のプログラムがある学校もあるようです。上海以外の日本人学校は中学校までです。 |
日本国籍 日本語 |
学校生活は日本の学校に沿っているので適応しやすいでしょう。帰国後の編入、受験、日常生活への適応もスムーズに進みやすいです。一方、現地校・インター校に比べると海外の生活習慣の中で過ごす時間は少なくなります。 |
私立在外 教育施設 |
日本の学校法人などが、海外で運営する文部科学大臣認定の全日制の学校。小中高一貫教育や寮がある場合が多いです。 |
日本国籍 日本語 |
付属の大学への推薦枠があるなど帰国後の進路がサポートされます。費用が高めであることが多いです。 |
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外国の教育制度 |
インター校 (インターナショナルスクール) |
個人や法人が運営し、生徒の国籍を問わず教育します。カリキュラムや使用言語はそれぞれ独自に決めています。使用言語を母国語としない生徒には別途言語習得クラス(ESLなど)を設けている場合が多いです。 また、アメリカンスクール、ブリティッシュスクールと呼ばれる学校もあり、これらは特定の国の子どもたちの教育を目的に運営されている学校もあれば、特定の国のカリキュラムが実施されているものの、国籍を問わず生徒を受け入れる学校もあります。学校名だけでは判断できない要素もあるので、詳細に確認しましょう。 |
多国籍 英語、仏語等 |
国際的基準の教育が受けられ、多国籍な文化交流が可能。費用は他の選択肢よりも高額です。ウエイティングがあることもあります。入る時に入試があり、結果によって入れない場合も。教育方針は学校毎に異なります。 |
現地校 |
現地の公立校または私立校。使用言語はその国の国語です。公立校には学区があり、居住場所に従って入学許可が下りることが多いです。 |
現地国籍 現地語 |
現地独自の文化、教育に触れることができるでしょう。学校に慣れるまでに時間がかかることがあります。 |
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補習授業校 (補習校) ※週末や放課後のみ |
国語を中心に、土曜日や平日の放課後を利用して学習します。インター校や現校に通いつつ利用する人が多いです。日本に帰国した際のスムーズな学校への適応を助けます。 |
日本国籍 日本語 |
現地校やインター校に通いつつ、日本の教育要綱にそった授業が受けることが可能です。また、文化面でのソフトランディングも期待できます。放課後や週末に開講するため、子どもへの負担が大きくなります。 |
使用言語、教育制度などで特徴があるので、希望の学校を選びたいところですが、まずは赴任地にどのような選択肢があるか調べてみましょう。在留邦人が多い地域であれば日本人学校が設置されている傾向にあります。しかし、アジアなどの大都市では、日本人学校があってもインター校を選ぶ方もいるようです。また、在留邦人が少ない地域では、現地校かインター校に入り、補習授業校などで日本語をフォローする、といった選択肢が主流です。
学校情報は海外子女教育振興財団など、海外子女教育の専門機関に問い合わせましょう。学校情報の提供、入学手続きのアドバイスをうけられます。情報を集めたら、家族でよく相談して、選択肢を絞りましょう。
選ぶポイント
言語、教育制度、費用、帰国後の進路などを踏まえて検討します。
特に帰国後の進路は、出発前から情報を収集し、長いスパンで考えておきましょう。日本の学校の編入は、公立小中学校は随時可能ですが、私立校・高校は欠員募集や受け入れ学年が限られるなど、各校で違いがあり、計画的に帰国した方がスムーズに進学できます。なお、海外子女が対象の帰国生入試は、渡航期間・帰国後経過年数などが出願条件となっているので、事前に調べておきましょう。
また、日本人学校は中学校までです(上海のみ高等部あり)。高校生の子女を帯同する場合、私立在外教育施設、現地校、インター校の選択肢があります。ただし、私立在外教育施設は世界に数校しかありません(7校:2022年8月現在)。現地校・インター校は、外国語の授業となるので注意しましょう。
費用の面では、インター校、私立在外教育施設は一般的に高めです。日本人学校は、現地の日本人会や在留邦人、企業によって運営されているため、費用の他、規模、設備は各校で違いがあります。
※こちらは、2023年12月1日発行の「海外赴任ガイド2024年版」を元に作成しています。紹介内容が原文と異なる場合もあります。