海外赴任の準備
海外生活を楽しむ「考え方」と「やり方」
この記事で書かれていること
「やった~、今日はチキンカレーだぁ!」…仕事を終え、お腹をすかせて帰宅すると、すぐにディナータイム。メイドさんが作ってくれた料理を囲んで、家族揃っての食卓。私が感じる海外赴任中ならではの、幸せなひと時です。
おかげさまで、さまざまなご縁に恵まれて、現在2度目のインド赴任生活を送っています。最初に赴任をした時はシングルで、そして現在は二人の子どもたちと共に家族で、海外で暮らしています。
海外赴任歴通算4 年 山本由紀子
単身の場合~「委ねる」勇気を持つこと~
海外での暮らしを始められるにあたっては、いろいろな事情がおありだと思います。晴天の霹靂の辞令だったり、自ら望んでの赴任であったり。しかし、それがどんなきっかけであれ、海外での日々を充実させ楽しむ為にも、「委ねることでうまくいく」という考え方を持つことをおすすめします。
もちろん、衛生観念や習慣の違う異国では、譲ることのできないことも多々あります。それでも、「どうしても」以外の部分では、違うことや知らないことに身を任せてみると、案外うまくいくようになると思います。
例えば食事。私はできるだけ現地の食材・料理を受け入れるよう心掛けているので、こちらのやり方に合わせ、食事の準備や家事はメイドさんにやってもらいます。
時には文化。約束の時間に来ていないドライバーが、「あと1分だ」と何の根拠もなく答える時は、「うそつけ」と思いつつも(笑)、うんうん、わかったとまずは任せてみます(彼らはウソを言っているわけではなく、あまりにも楽天的なのです)。
もちろん、任せっきりにするわけにはいかない時には、「うそつけ」とは言わずに、「今、どこにいるの?」と尋ねます。
誰しも、異国の地で、「ここは日本とは違う」と頭ではわかっていても、「違う」ことをどう受け入れ、どう自分の中で折り合いをつけていくのかまでは、なかなか想像できていません。
そこで、「違う」ことを前提に、「委ねる」柔軟さを持つこと、「こうでなければならない」という考え方から離れ、「こういうことも、“アリ“なんだ」に転換することで、海外生活のストレスが減るのではないかと考えています。
子どもと一緒の場合~全ての経験は必ず糧となる~
11歳、13歳の私の子どもたちは、インドにやってきて、その翌日に現地のインターナショナルスクールの面接、入学手続きを受けました。そして、翌々日に新学期が始まり、不安そうに二人で登校しました。
その翌日、子どもたちから激しい「ストライキ」がありました。「日本に帰りたい」「ママは私の気持ちがわかっていない」などと、書き綴られたメモを渡され、部屋から出てこないのです。そんなこともあるだろうと、ある程度の予想はしていましたが、実際に紙に書いて見せられると、正直なところ、とてもショックでした。
それでもなんとか自分の気持ちを落ち着かせ、子どもたちには無理に登校させず、しばらくして落ち着いて色々話をすると、翌日からは行くようになりました。急に全てが英語の世界に飛び込まされ、最初は友達もいないのですから、無理もない反応だったのだと思います。
その時に私が子どもたちに話したことは、「人生の選択は自分だけで選べない事もある、でもどんな経験も、かならず糧になる」ということです。子どもは他に選択できない中で、親の都合で海外にやってくるわけです。そんな中でも、親が上記のような考えをもって接すれば、子どもも、きっと前向きに海外生活を楽しむことが出来ると信じています。
具体的に、我が家の場合は赴任間もない頃は、毎日子どもたちに「今日楽しかったこと」をどんなに小さなことでも、ひと言、カレンダーに書き込むように働きかけていました。「海外での生活もけっこういいね!」という経験を文字にしておくことで、彼らもそれが具体的に自覚できたのではないかと思います。
今では、友達もでき、特に下の子は英語もかなり上達し、大きな自信になっているようです。
私は今、「委ねる」生活のおかげで、冒頭のように忙しい中でも夕ごはんは家族揃って食卓を囲むことができています。日本にいる時には、なかなか出来なかった贅沢です!