赴任時の子供の教育
地球レベルの子育てを
この記事で書かれていること
海外で生活する日本人にとって、子どもの教育は大きな関心事です。子どもたちの夢や希望や可能性を大きく伸ばしてやりたい。それは誰もが望むこと。けれども親だからこそ悩むこともあります。
日本と全く違った教育文化を持つ国で1人ひとりの子どもに合った生き方を選択する。それは大きなチャレンジです。
けれども同時に日本では見えなかった子どもの可能性を発見し、それを伸ばし、新しい価値観に触れるチャンスでもあるのです。
世界中どこに行っても十分な愛情を注ぎ慈しみ、親子の間にしっかりとした信頼関係を築き上げるという子育ての基本は変わりませんが、「自分たちの子どもをどのように育てたいか」という家庭の教育方針がなければ折角のチャンスを十分活かすことはできません。
海外赴任が決まった今こそ、ご両親がじっくりと「我が家の教育ヴィジョン」について話し合って下さい。
ご家庭の教育方針が海外における生活の仕方、学校選択、学習方法、帰国時期や国内での学校選択などのすべての基本になるのです。海外子女教育はまさにこの時点からスタートするといっても言い過ぎではありません。
それでは海外で教育を受ける子どもたちの生活がより有意義になるためにはどのようなことに気をつければよいのかを、年齢別に考えてみましょう。
並木政和
( オフィスアイセック 取締役)
乳幼児期〜小学校低学年~大切な母国語の形成~
乳幼児期〜小学校低学年は、人間形成や母国語習得の上で大変重要な時期です。
人間形成の面では、いつも一緒にいる母親が大きな影響を与えます。異文化の中での生活を1から確立しなければならない母親たちは大変ですが、精神的に孤立してしまわないようにできるだけ外に出て情報交換やストレス解消ができるネットワーク作りに励みましょう。楽しく子育てをするためには何といっても母親の心のゆとりがとても大切です。父親も積極的に育児に参加してください。
また、この時期は母国語の形成上からも重要です。海外では日本語の絶対量が不足してしまうこと、複数の言語環境下に置かれることなどにより、日本語の形成が不十分な場合があることに留意しましょう。
柱になる言葉がないと思考力が育たないばかりか年齢相当の知識を吸収することが難しくなってしまいます。海外では、母国語としての日本語の形成を第一に考え、家庭内ではできるだけ美しく豊かな日本語を使うことや、良質の絵本やDVDなどを使って生活用語以外の言葉をたくさんインプットするよう心がけましょう。
小学校高学年~中学・高校生学習の空白期間をできるだけ短く
体と心の発達がアンバランスなこの時期は、日本にいても親の心配事の絶えない時期です。子どもたちが言葉の壁や文化の違いを乗り越えて自分の居場所を見つけるのは容易なことではありません。
赴任地で現地校やインターナショナルスクールを選択した場合、現地での教育内容も難しくなっている時期ですから、出来るだけ早く学習言語を習得して学習の空白期間を短くすることを第一に考えましょう。
学習言語が立ち上がらなければ、年齢相当の知識を吸収することができず精神的な成長にも大きく影響します。
家庭では学校側と十分にコミュニケーションを取り、必要ならよい家庭教師を見つける、教科別の対訳辞典や参考図書を揃える、など学習環境を十分に整えることに注意しましょう。
難しい時期ですが、このとき努力して得た語学力や生きる力は、その後の人生の大きな糧となることは間違いありません。