赴任時の子供の教育
子どもと海外赴任|出発前に知っておきたい5つのこと① 日本の勉強をどう続ける?
海外で暮らすことになったら、日本の勉強はどうしようと考えていますか?
海外赴任が決まると、現地での学校選びや新しい生活の準備に目が向きがちです。でも、出発前にぜひ考えておいてほしいのが、日本の勉強をどうするかということ。私は1歳と4歳を連れて海外生活をスタートし、中国5年、アメリカで5年、子育てをしてきました。海外からの中学受験、高校受験も経験しています。そんな私が、これから海外へ向かうご家庭に伝えたいのは、どこの国で、どんな学校に通っていても、「現地での生活や学習とのバランスを取りながら、無理のない範囲で日本の勉強も続けてほしい」ということです。今回は、その理由と出発前に考えておきたいことを、経験を交えてお話ししたいと思います。
公開日:2026年11月6日
この記事で書かれていること
海外にいる間、日本の勉強を休んでも大丈夫?
海外での生活が始まると、子どもたちは新しい学校や言葉、友達との関係など、慣れない環境に向き合うことになります。
特に現地校やインターナショナルスクールに通う場合、毎日の授業についていくだけでも大変。宿題を終わらせるのに何時間もかかることだってあります。
そんな中、日本の勉強まで手が回らなくなるのは、決して珍しいことではありません。
でも、忘れないでほしいのは、海外で暮らしている間も、日本の学校ではどんどん授業が進んでいるということ。
半年、1年と日本の勉強から離れているうちに、習っていない漢字や計算、知らない単元が少しずつ積み重なってしまいます。
帰国してから慌てて取り戻そうとしても、学年が上がるほど学習内容は難しくなり、追いつくまでに時間がかかってしまうことも少なくありません。
さらに、一度勉強する習慣が途切れてしまうと、再開するのは思った以上に大変です。わからないことが増え、勉強する意欲まで薄れてしまったら…。そこからもう一度、勉強を始めるのは、なかなか難しそうですよね。
だからこそ、忙しい海外生活の中でも、少しずつ時間を作って、日本の勉強を続けてほしいのです。
日常会話と、学校の勉強で使う言葉は違う

海外で暮らしていても、家庭では日本語を話している。だから、日本語は大丈夫。そう考えているご家庭もあるかもしれません。
でも、日常会話ができることと、その言語で学校の勉強を理解できることは、必ずしも同じではないんです。
たとえば、家族との会話には困らなくても、教科書に出てくる言葉の意味がわからない。計算はできても、文章題になると何を聞かれているのかわからない。そんなことも起こります。
実際、4歳から中学3年生まで海外で暮らした上の子は、高校入学後、数学の文章題に苦労していました。国語は問題なかったのに、数学特有の言い回しや、文章から条件を読み取ることに慣れていなかったのです。幸い、高校1年生は習熟度別の授業だったため、1年間じっくり基礎を学び直し、追いつくことができました。
漢字や計算ができるだけでなく、日本語で問題を読み、考え、答えを導き出す。そんな力を身につけることも、日本の勉強を続けるうえで大切なのだと感じています。
帰国後の進路も見据えて、日本の勉強を続けよう
海外赴任中は、いつ日本に帰国するのか、帰国後はどんな学校に進むのか、まだ決まっていないご家庭も多いと思います。
でも、帰国する時期にかかわらず、いずれ中学・高校・大学などへの進学を考えるときがやってきます。
帰国生入試には、英語や面接、小論文などで受験できる学校もありますが、一般生と同じ学力試験を受ける学校もあります。帰国生だからといって、日本の教科学習が必要なくなるわけではないんです。
実際、わが家が通っていたアメリカの補習校では、理科や社会を学ぶ機会がほとんどありませんでした。そのため、大学受験では共通テストに必要な科目の勉強にかなり苦労していました。
海外でどんな学校に通っていても、帰国後の進路によって必要になる勉強は変わります。
だからこそ、今のうちから日本の勉強を続けておくことが、将来の進路の選択肢を広げることにもつながると感じています。
※帰国生入試の出願資格・試験科目・選考方法や、補習授業校で扱う教科は、学校・年度等によって異なります。最新情報は各学校の公式案内をご確認ください。
海外で使える教材や塾を調べておこう

日本の勉強を続けるために、通信教育やオンライン塾を利用するのもひとつの方法です。
ただし、日本国内では当たり前に使える教材やサービスも、海外では利用できない場合があります。
たとえば、教材を海外へ発送していなかったり、海外からの受講に制限があったり。オンライン授業を受けられても、日本との時差によって、子どもにとっては深夜や早朝になってしまうこともあります。
一方で、海外子女や帰国生の指導経験が豊富な塾や、海外での利用を想定した通信教育も見つかります。
現地校との両立や、帰国後の進路について相談できるところもあるので、そうした対応の違いも確認しておきたいですね。
教材や塾を選ぶときに確認したいこと
大切なのは、評判や知名度だけで選ばないこと。
- 海外から利用できるか
- 子どもの学力や生活リズムに合っているか
- 無理なく続けられるか
海外生活が始まってから慌てないように、教材や塾の海外対応については、早めに確認しておくと安心です。
まとめ:日本の勉強は、少しずつでも続けておこう
海外での生活は、子どもにとって新しい発見や学びの連続です。現地の学校での勉強や友達との交流など、日本ではなかなか経験できないこともたくさんあります。
だからこそ、海外での経験を思いきり楽しんでほしい!
その一方で、いつか日本に帰国することも考えながら、日本の勉強を続けることが、帰国後の子どもたちを支えることにつながります。
現地校の宿題に追われる日もあれば、疲れて何もできない日だってあるでしょう。毎日完璧にこなす必要はありません。
大切なのは、無理のない学習習慣を作り、子どものペースで少しずつ続けることです。
海外でしかできない経験も、日本の勉強も。どちらも子どもの将来につながる大切な学びだと、私は思っています。
-寄稿-
宮本知佳(帰国子女ラボ)
中国・アメリカで約10年間、子どもたちと海外生活を経験。現地校での子育てから、海外からの中学受験・高校受験、帰国後の進学まで、さまざまな経験を重ねてきました。
2019年12月より、海外で子育てをするご家庭や帰国生の保護者に向けた情報サイト「帰国子女ラボ」を運営。海外での日本の勉強、学校選び、帰国生入試などについて、自身の経験と取材・調査をもとに情報を発信しています。
【公式サイト】帰国子女ラボ

