その日は お客様のお宅で片づけ作業をしていました。


午前10時から 12時まで
2時間の作業予定をしていたお客様。
ご高齢なので 休憩を挟みながら
少しずつお家の片づけをしています。
この日も 11時すぎには
「 ちょっと疲れたから 休みましょう 」
まだまだ やる事が残っていたし
まだ終了30分以上前で 申し訳ない気がしましたが、
何せ お客様の体調が一番です。
ちょっと休憩することにしました。
「 あのね 時計代わりにテレビをつけて良いかしら?
テレビがないと 時間がわからないのよ 」
NHKでは 昼前の情報番組。
しばらく お客様と 世間話をしながら
画面を眺めていました。
すると ビビッという速報音。
豊洲かな?
加計関連?
最近 大きな社会事件もなかったし
政治関連のニュースかしら?と怪訝に思っていると
「小林麻央さん 死去 」の ニュース。
ちょうど 数日前にブログを拝見していたので
その急変ぶりに驚きましたが、
NHKが これを速報で出したことにもビックリでした。
時間は11時20分すぎ。
まだ 昼のニュース前で 下町を散策するような
のどかな内容の番組が 放送されています。
司会は 武内陶子アナウンサー。
彼女とは 大阪時代から
ずっと同じ番組で仕事をしていて
親しく付き合っていました。
私が結婚したときに
結婚式の司会をお願いしたのも 彼女です。
最近 姿を見なかったけど
この番組を担当していたね・・・と
麻央さんが亡くなったショックでぼんやりした頭で
昔のことなぞ 振り返っていました。
まさか 麻央さんが亡くなったからといって
お客様の前で 泣き出すわけにはいかないし。
しかも シニアのお客様は
いまひとつ 麻央さんのことをご存じなかったよう。
「へぇ 若いのに 亡くなったんですね。
お子さんがいるんですか? かわいそうに・・・」
そんな会話をしていたら
画面が 武内アナのアップに切り替わった。
「ニュースが入ってきました」
その瞬間ね、
彼女の目が 真っ赤で 涙にうるんでいて
微妙に声が震えているのが わかりました。
それを見た途端、
私の ダムが 決壊ーーー!
武内アナはプロとして
きちんと ニュースを読みました。
そして その後も 気持ちを切り替え
番組の進行を続けました。
もう一度 番組の最後で
速報を繰り返したときは
少し落ち着きを取り戻していたのがわかりましたが、
それでも 他のニュース以上に動揺しているのが
わかりました。
10年以上 彼女と一緒に仕事してきたからね。
「マスコミの連中」なんて まるで
別の生き物みたいに呼ばれる時もあるけれど
そこに働いている私たちも 母であり 妻であり
夫であり 父であり 人間なわけです。
こういうニュースを読むのは 辛いよね。
そんな話は お客様とはしなかったけど
とりあえず 麻央さんの事に関して
あれこれ雑談しながら 私は ササッと涙をぬぐい
そして 休憩を終えて やりかけだった作業を
片づけ その日は 終了しました。
帰宅後 何だか 呆然としながら
急に もう一人の 元同僚のことを 思い出しました。
私が大阪局の時に 彼女は京都局にいて
入局年次も近く
東京では 「おはよう日本」で同じだったものの
個人的な交流は ほとんどなく。
しばらくして 化粧品会社の御曹司と結婚し
NHKもサクッと退職されました。
その後は 女のお子さんを生んだという噂は聞いたのですが
それっきり。
ところが 私たちが アメリカ駐在を終えて帰国したころ、
元同僚と偶然会った時に 高井アナの話になりました。
「ねぇ 知ってる?
高井さん 亡くなったんだよ 」
びっくりしました。
当時まだ43歳。(2011年)
胃がんが見つかった時には 相当進行していて
数か月のうちに 亡くなってしまったという事で
まるで きつねにつままれたような話でした。
うそ?
あの高井さんが??
すでに亡くなってから1年ぐらいたっていたので
その時は 何もできなかったのですが、
今回 また 彼女のことを思い出し
ちょっと調べてみました。
彼女も 余命数か月の間に
娘さんのために いろいろと奔走していたのですね・・・。
親をガンでなくした子どもたちのためのグリーフケアNPO法人「aims」
くしくも その日
お片づけに伺っていたお宅でも
ご家族が亡くなり
その遺品整理とグリーフケアを兼ねた
お片づけをさせていただいている最中でした。
残された 「想い」と
残された 「もの」
金目のものだけ取り除いて
あとは廃品業者が 回収して処分!ではなく、
残されたご家族に寄り添って
心のケアをしながら
時間をかけて 少しずつ片づけを手伝う仕事の担い手が
これから ますます求められてくるかもしれません。
ご冥福はもちろんお祈りしたいのですが
私は 彼女のブログの読者で
一緒に同じ病気を闘っている最中の
仲間のみなさんが 心配です。
麻央さんができなかった分まで
想いを引き継いで
明るい未来に向かっていってほしいです。
そして 遺されたお子さんたちの健やかな成長を
お祈りしたいと思います。