リスニング力やスピーキング力の向上に効果的なトレーニングとして知られる「シャドーイング」。
実際にやってみると、教材の音声と自分の声を同時に聞けず、困ってしまうとの声を聞きます。
こんな時どうすればいいのでしょうか?
この問題は、とても簡単に解決できます。
たとえばイヤホンを使ったり英文を区切ったりなど、取り組み方を少し工夫するだけ。
そうは言っても、やり方を間違えると効果が薄れてしまうので、この記事で原因と対処法を詳しく解説します。
さらに後半で紹介する「効果的なシャドーイングの勉強法」を取り入れれば、英語学習の効率がアップするので、ぜひ参考にしてくださいね。
自分の声でシャドーイングの音声が聞こえない原因と対処法
自分の声でシャドーイングの音声が聞こえない原因は、単純に「自分の声の方がシャドーイングの音声より大きいから」です。
シャドーイングは音声を聞きながら発話するトレーニングなので、どうしても教材の音声と自分の声が重複します。
2つの音が同時に流れている時、小さい方が大きい方にかき消されてしまうのは当然ですよね。
この問題の対処法を3つ紹介します。
音量のバランスを調整する
まず音量のバランスを調整しましょう。
具体的な方法は「シャドーイング音声を大きい音で流す」もしくは「自分が小さい声で発音する」のどちらかです。
シャドーイング用の音声の音量は、リスニング練習をする時よりも大きめがおすすめ。
PCやスマホを音源にしている場合、外部スピーカーに接続したり、音質を変えてみたりすると、よりクリアに聞こえることもありますよ。
自分の声はそれほど大きく出す必要はないので、普段会話をする時よりも小さめでOK。
ひとりごとを言う時くらいのボリュームをイメージしてください。
イヤホンを使う
音量の調節がうまくいかない時や、大きな音が出せない環境の場合は、イヤホンを活用しましょう。
イヤホンをすれば、自分の音や周囲の雑音に邪魔されず、シャドーイング音声をクリアに聞くことができます。
ただ、完全に耳が塞がってしまうと、自分の声が聞こえないのでやりにくいかもしれません。
私はヘッドホンを使っていたことがありますが、やりづらさを感じたので「片耳だけイヤホンをする」というスタイルに変えました。
片耳だけイヤホンをすると、シャドーイング音声と自分の声がバランスよく聞こえておすすめです。
自分と違う声質の教材を使う
教材選びの段階でも工夫できます。
シャドーイング音声と自分の声が似ていると聞き分けが難しいので、できるだけ違う声質の教材を探しましょう。
違う声質といっても、難しく考える必要はありません。
自分が男性なら女性の声、自分が女性なら男性の声を選ぶだけでOKです。
性別が同じであっても、声の高さや力強さなどが違えば、同時に発声しても聞き取りやすくなりますよ。
シャドーイングで自分の声が聞こえない原因と対処法
自分の声が聞こえない原因も基本的には同じで、音量のバランスの問題です。つまり「シャドーイングの音声の方が自分の声より大きいから」。
なので、たいていは上で紹介した対処法で解決できます。
解決できない場合、別の原因として考えられるのは「音源についていくのに必死で、自分の声を聞く余裕がないから」です。
シャドーイングに慣れていない段階だと、発声をしながら2つの音を同時に聞くのは大変ですよね。
そんな時は次の対処法を試してみてください。
タイミングをずらす
いわゆる「オーバーラッピング」のように、完全に音声と同時に発声すると、聞こえているのが自分の声なのかシャドーイング音声なのかわからなくなります。
そこで、シャドーイング音声と自分の声が重ならないように、少しタイミングを遅らせて発声しましょう。
タイミングがずれていれば、2つの音声を区別しやすくなります。
「タイミングをずらそうとすると、音源にどんどん置いていかれてしまう」という場合は、途中で一時停止しても構いません。
慣れるまでは、ある程度シャドーイング音声を聞いてから、一時停止中に繰り返してもOKです。
これは正確にはシャドーイングではなく「リピーティング」と呼ばれますが、初心者におすすめの方法です。
英文を区切って練習する
「最初の方は自分の声が聞こえるのに、気づくと聞こえなくなっている」という場合は、集中力の問題です。
そもそもシャドーイングは、耳と口を同時に使う負荷の高いトレーニング。
いきなり長い教材でシャドーイングに挑戦すると、途中で脳が疲れてしまいます。
対策として、英文を短く区切ってシャドーイングを行いましょう。
最初は数秒で終わる1センテンスずつ区切り、慣れてきたら1パラグラフずつに伸ばします。
シャドーイングは一度に長くやるよりも、細かく繰り返したほうが効果的なので、最終的には3分程度続けられるようになれば十分です。
録音してあとで聞く
実は、シャドーイング中に必ずしも自分の声を聞かなければいけないわけではありません。
シャドーイング中は教材のマネをすることに集中し、自分の声はあとで確認してもいいのです。
私は学生時代からレコーダーを使って自分の声を録音してきました。
今はスマホがあるので、わざわざレコーダーを用意しなくても簡単に録音できます。
ただし、録音しただけで満足して、そのまま放置するのはNG。
自分がきちんと発音できているのか知るために、必ずあとで聞き返してくださいね。
効果的なシャドーイングの勉強法
シャドーイングは単純なリスニングや音読に比べて難易度が高いトレーニングです。
正しいやり方をすれば高い効果が期待できる一方、やみくもに取り組んでしまうと、せっかくの努力が無駄になってしまうかもしれません。
シャドーイングを行うにあたって、次のポイントを守るようにしてください。
繰り返し練習する
ひとつのシャドーイング音声に対して、「1回シャドーイングをして終わり」ではあまり意味がありません。
少なくとも3回、できれば10回程度は繰り返し取り組むようにしましょう。
なぜなら、シャドーイングの目的は「聞き取れない部分、正しく発音できない部分を改善すること」だからです。
たとえ上級者でも、初めて聞く音声を1回目で完全に再現するのは難しいもの。
1回目にできなかった部分は、2回目に特に気をつけて聞いて発音する。
これを繰り返せば、だんだんスラスラと発話できるようになっていきます。
正確な発音を確認する
間違った発音のまま何十回取り組んでも意味がありません。
むしろ、変なクセがついてしまって逆効果です。
「聞き取れなかった」「うまく発音できなかった」と感じた箇所があれば、再度シャドーイングをする前に正しい発音を確認してください。
確認には次の方法があります。
この作業をしっかり行わないと、シャドーイングの効果が半減すると言っていいほど、大切な工程です。
うまく言えない語句や文を集中的に練習し、スムーズに言えるようになってからシャドーイングを再開しましょう。
自分の発音を振り返る
上達のために大切なのは、自分ができていない部分を把握すること。
シャドーイングの場合は、正しく発音できていない箇所を突き止める必要があります。
そのために、自分の発音を客観的に振り返る作業を取り入れてください。
どうしたらいいのかというと、一番簡単な方法は「自分の声を録音して聞き返す」です。
シャドーイング音声とかぶると聞きづらいので、イヤホンをつけて発話するか、シャドーイングと同じ文章を一人で音読します。
お手本と聞き比べて、間違っている部分やヘタな部分を洗い出し、正しく発音できるように練習しましょう。
また、できれば他人にシャドーイングや音読を聞いてもらい、フィードバックを受けると効果的です。
多少お金はかかりますが、オンライン英会話の講師に聞いてもらったり、「シャドテン」などのサービスを使って添削をしてもらったりすると、上達のスピードが上がりますよ。
⇨ご参考:シャドテンの口コミと評判|2ヶ月受講した感想と効果を本気でレビュー
よくある質問
最後に、シャドーイングについてよくある質問をまとめました。
シャドーイングを声に出さず口パクでやっても良いですか?
口パクやささやき声でもOKです。
大きな声を出さなくても、口を動かせば「自分がうまく発音できないのはどこか」に気づけます。
口パクならどこでもできますし、マスクをしていれば周りに人がいても気になりません。
私は外を歩いている時や自習室で勉強する時には、口パクでやっていました。
ぜひスキマ時間を有効活用してシャドーイングに取り組んでみてください。
シャドーイングで口が回らないのですがどうしたら良いですか?
日本語と英語では使う筋肉が違うので、はじめは口が回らなくても仕方ありません。
スポーツの基礎練だと思って毎日のようにシャドーイングを続ければ、だんだん動くようになりますよ。
慣れるまでは再生速度を落として、ついていけるスピードで取り組んでください。
自信がついてきたら、少しずつスピードアップして、最終的にはナチュラルスピードを目指しましょう。
シャドーイングをやるとイライラしてしまいます
シャドーイングは負荷が高いため、無理に繰り返すとストレスがたまってしまいます。
英語学習を続けるには楽しむことが大切なので、イライラしてきたら休みましょう。
しばらくシャドーイング以外の学習法に取り組むか、コーヒーやハーブティーを飲むなど気分転換してください。
まとめ
シャドーイングは慣れるまで少し時間がかかります。
私も学生時代は、うまくできなくてイライラしたり落ち込んだりしました。
でも、できるようになってきたら楽しくなり、むしろシャドーイングでストレスを発散できるようになりました。
今ではお気に入りのトレーニングです。
最初は難しく感じるかもしれませんが、続けていれば必ず上達します。
リスニング力もスピーキング力も伸びるので、取り組む価値はありますよ。
いつか「スラスラ読めた!」という日が来たら、大きな達成感があるはずです。
シャドーイング音声や自分の声が聞こえずに困った時は、この記事で紹介した対処法を実践してみてくださいね。