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NO1697 原発は危険なもの(58)

蘇州は風情ある街
蘇州は風情のある街 11日(土)曇。震災から3カ月になる。新潟では余震は余り感じなくなったが、長野県境の津南町近辺が震源地の地震が時々ある。過去の例でも、1年後に大きな余震が来たこともある。列島全体が地震の活動期にあるというから、いつどこで起きても不思議はない。

 3か月を経てなお行方不明者8095人、避難者90109人、死者15405人は余りにも悲しい。生き残った人々の中にはなぜ自分だけが、と自分を責める人も多いと聞く。自分の家は住める状態なのに、原発事故のせいで避難者となって帰宅できない無念はいかばかりか。

 海外から嬉しいメッセージも届いた。私は読んだことはないが、作家・村上春樹氏が行ったスペインでの授賞式での挨拶。「津波の危険は指摘されていたのに電力会社も政府も真剣に取り上げず、安全基準を見直さなかった。原発の安全性を確保してこなかった」 

日本軍が見下ろした中華門からの街
日本軍が見下ろしたであろう中華門から「広島、長崎で唯一の被爆国となった日本としては『核に対する『ノー』を叫び続けるべきだった。私たち日本人自身が自らの手で過ちを犯し、自らの国土を汚し、私たち自身の破壊している』こうした反省は政治家や電力会社から発せられるべきなのに・・・。

 前号で「高経年化」という言葉を紹介したが、これは経産省と電力会社が国民の目をそらすために作り上げた造語である。権力からのこうした世論操作は戦後、綿々と続いてきた。敗戦を終戦、占領軍を進駐軍、独占企業を大企業、侵略を侵入の如くにである。

 高経年化とは何のことはない老朽化のことである。具体的には、原子炉容器や格納容器それをつなぐ網の目のような配管が高温高圧、高い放射線を浴び続けることによって起こる金属疲労、熱疲労、冷却水や蒸気による浸食・腐食のことでそれに振動が加わる。

南京孫文記念堂
南京の孫文記念堂を見上げる さらに原発特有の問題として、原子炉で運転中に発生する高エネルギーの中性子を受けて、鋼鉄の「粘り気」が弱くなる脆性劣化が起こるのだという。つまり、鋼鉄に亀裂が入りやすくなると。だから、世界は当初寿命を30年~40年とし、ドイツは32年と決めた。

 過去にも老朽化による事故は無数に報告されており、例えば04年に死傷者11人を出した美浜原発3号機の蒸気噴出事故は、老朽化による配管の減肉を放置してきたことによるというし、40年を過ぎた福島1号機も99年冷却系配管にひびが見つかっていたという。

 中部電力は早くも浜岡原発を防波壁を完成次第再起動させたいような発言しているが、とんでもない話だ。停止した理由を地震の恐れだけが報道されているが、3号機は03年に炉心を覆う隔壁にひび割れが見つかっているのだ。まだ運転開始から20年のことだった。

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