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海外出張帰国
帰国の準備
航空券の予約
短期の海外出張では、あらかじめ往復の航空券が用意されることが多い。もし帰りのチケットがない場合は、帰国日が決まりしだい、早急に最終目的地までの航空券を予約しなければならない。通常は会社の担当者が手配してくれるが、その場合でも必ず確認はすること。
リコンファーム
航空会社によっては、予約便の出発72時間前までにリコンファーム(予約の再確認)が必要な場合がある。それをしないと、予約が自動的にキャンセルされることもある。
リコンファームの方法は、航空会社の窓口へ行って航空券を見せて「Reconfirm, please」と伝えればよい。電話の場合は予約担当者に「Reconfirm, please」といって、英語で出発日、便名、搭乗者の氏名を伝える。いずれの場合も宿泊先の電話番号を聞かれることがあるが、搭乗予定便が何らかの理由でスケジュール変更になったときに連絡をするためである。
近年は、多くの航空会社でリコンファームが不要になっている。航空券を予約・購入する際に、リコンファームが必要かどうかを確認しておこう。
空港までの交通手段の確認
出発当日にタクシーを探し回っていたりしたら、予約便に乗り遅れることもある。事前に空港までの足を、予約または確保しておく必要がある。
搭乗手続きや出国手続きなどが、時間帯によっては混雑する場合もある。手続き上のトラブルなどで、予想以上に時間がかかることもあるので、出発予定時刻の2時間前には空港に着けるように手配しておこう。
機内持ち込み手荷物と受託航空手荷物
手荷物はあらかじめ機内に持ち込むものと、受託航空手荷物(機内に預ける手荷物)に分けておく。機内に持ち込む手荷物にとくに重量制限はないが、1人1個ずつとされている。大きさは足下に置ける程度で、3辺の和が150cmを超えないものとされている。受託航空手荷物は搭乗手続き(チェックイン)の際に預けてしまうので、出国手続きに必要なパスポートや航空券は必ず身に付けておく。現金、印鑑、書類、有価証券などの貴重品やパソコン、カメラ、ラジカセ、テープレコーダーなどの精密機器、それに洗面用具、化粧品、筆記具などは機内でも使用するので、機内持ち込み手荷物に納めておく。
受託航空手荷物も同じ飛行機で運ばれ、到着空港で受け取るシステムは日本を出国するときと同じである。ただし貴重品や壊れやすいものは入れられない。荷物の許容量はその国の発着便によって個数制、重量制に分かれている。許容量を超えた場合は、高額の超過手荷物料を取られるので要注意。
参考:全日空国際線利用のご案内
検疫・入国審査・税関
検 疫
海外から病原菌が持ち込まれるのを、水際で防止する目的で行うのが検疫。ただし、通常は入国時に検疫検査が実施されることはなく、自己申告制度が採られている。海外出張中に、もし体調を崩したり病気になったりした場合は、安全のためにも正直に申し出よう。
東南アジア、南アジア、中南米、アフリカなどの一部地域からの帰国者には、体調の良し悪し、滞在中の病歴などを聞かれることもある。その場合も正直に答えることが大切で、検閲官に病院で健康診断や精密検査を勧められたら、用心のためにも受けたほうがよい。
入国審査
空港によっては入国審査のゲートが、日本人と外国人とで分かれていることがある。表示板を見て該当するゲートに並ぼう。日本人の入国審査はいたって簡単で、パスポートを提出して帰国のスタンプを押してもらうだけで済む。
税関審査
出発空港で預けた受託航空手荷物をターンテーブルから取り出し、最後に税関で審査を受ける。税関は輸入禁止品・輸入規制品のチェック、関税の賦課徴収などを行う。規制品などを知らずに持ち込み、税関審査で没収されることもある。そんなトラブルを避けるためにも、日本国内に持ち込む荷物やお土産品などは、自分で事前にチェックしておく必要がある。
ただし、本来は関税を課される物品でも、成年者1人当たりにつき決められた量または金額以内ならば免税となる。規定を超える量や金額の場合は、超過分が課税される。
輸入禁止品
- 阿片(その喫煙具)、大麻、覚醒剤、ケシや大麻の実などの麻薬類。
- 写真、フィルム、ビデオテープ、CD、雑誌などのポルノグラフィー。
- 偽造・変造・模造の通貨あるいは証券など。
- 著作権、特許権、商標権など知的所有権を侵害した商品。
有名ブランドの偽物を本物と信じて買ったものでも、偽物と判明すれば没収される。また、偽物とわかっていて持ち込めば犯罪になる。
輸入規制品
- ワシントン条約で規制されているもの
絶滅のおそれのある野生動物の種の国際取引に関する条約で、規制の対象に挙がっているものについては、決められた輸出許可書や輸入許可書がなければ持ち込めない。 - 鉄砲・刀剣類
都道府県公安委員会の所得許可を取得したあとでなければ通関できない。ただし、日本国内では拳銃、空気銃、外国製の刀剣などは、原則として所持できないことになっている。 - 古美術的な鉄砲・刀剣類
都道府県教育委員会の鑑定が必要。 - 動物・植物産品の特別規制
動物・畜産物および植物を輸入する場合は、通関の前に動植物検疫所の検疫が必要。その際、輸出国政府機関発行の輸出検査合格証明書の原本を提出しなければならない。これは日本国内に外国の寄生虫や病原体を持ち込まないための防御策で、ハム・ソーセージなどの肉製品、果物、植物の種、土の付いた花などは没収される。ただし、出発地の空港などで売っている現地で検閲済みの肉製品などは許可されているものもある。魚製品については規制の対象外となっている。 - 犬の検疫
輸出国政府機関が発行した狂犬病予防注射証明書と、その犬が狂犬病にかかっていないことを証明する健康証明書の2通が必要。
免税の範囲
海外出張や観光目的などの旅行者が、お土産品として持ち込むことのできる免税範囲を表で示す。商品の数量や価格は、成人1人当たりのもの。同行者がある場合は、合計人数分の数量や価格となる。
長期滞在者の輸入免税
長期にわたる海外出張で、1年以上外国で生活した場合は、持ち帰る荷物(別送引越荷物などを含む)のうち一定範囲は免税扱いとなる。ただし、出張者またはその家族が、個人的に使用していたもの(中古品)に限られる。
別送荷物についても、携帯荷物と同様に法律上さまざまな規制や禁止条項があるので、充分な注意が必要である。
出張旅費の精算と出張報告書の提出
迅速に処理
海外出張旅費は帰国後、所属企業の出張旅費規程に従って精算することになる。経理事務を考慮し、できるだけ迅速に処理したい。その方法は規定内容によって異なるが、「一律支給」「実費精算」「一律支給と実費支給の併用」のいずれかだろう。
一律支給
支度料、交通費、宿泊料、食事代、日当(雑費を含む)などを、国や地域別にそれぞれ一定額を定めて支給する方法。支給額をどのように使うかは、出張者の裁量にまかされるので、精算業務は不要となる。
実費精算
出発前に必要と想定される旅費を仮払いで受け取り、帰国後に領収書などを添付した精算書を提出して処理する方法。ただし、鉄道やバスの運賃、チップなど領収書のもらえない経費もある。また、レストランや食堂などでは、領収書を出す習慣のない国や地域もある。きちんと精算するためには、自前で領収書を用意しておき、可能な限りそのつど店名と支払い金額、店主または係の店員のサインをもらうくらいの工夫が必要である。
一律支給と実費精算の併用
例えば、宿泊料と食事代、日当は規定額の一律支給で、その他は実費精算のような場合。また、往復の航空券とホテルは会社の担当者が手配し、そのほかは実費精算という場合も同じ。
一律支給でも精算書を作成し保存
一律支給の場合は、領収書などの証拠書類を提出しないため、税務調査のときにカラ出張の疑いで調べられることもある。また、近年の航空運賃の自由化による割引競争や格安チケットなどで、税務当局が海外出張旅費に注視していることも知っておきたい。
会社が定めた規定額が、合理的な金額かどうかも問われかねない。世間相場よりかなり高い支給額になると、差額が給与所得とみなされる可能性もある。
そのためには一律支給といえども、領収書を添付した旅費精算書を作成し、会社に提出するか個人で保管しておくことが大切である。また、いずれの精算方法でも細かな精算書を作成しておけば、次回出張の予算の目安にもなり、本人だけでなく会社にとっても役立つはずである。
報告書には資料を添付
出張先から帰国後は、出張報告書を提出する。言葉で報告するだけでなく、出張報告書をきちんと作成して、提出・保存しておくことも大切である。報告書には、商談した内容だけでなく相手企業の担当者名を記録し、取引に伴って入手した資料なども添付しておく。
出張のタイムテーブル
報告書に出発準備段階から帰国日までの詳細なタイムテーブルを付けておけば、出張者本人の行動や仕事ぶりも理解してもらえる。短期出張なら、毎日の天候なども記載して、起床から就寝までのタイムテーブルにすれば、より真実味が増す。
行動の記録
出張中の就寝前に、その日の行動をチェックする意味を含め記録またはメモしておけば、帰国後の報告書や旅費精算書の作成に役立つ。たとえ短期間でも、帰国後にすべての行動日程を思い出すのには苦労する。毎日の行動記録やメモがあれば、その心配もなくなる。
報告書の保存
また、出張旅費精算書と詳細な出張報告書を一緒に提出すれば、精算内容が明快に理解されるだけでなく、保存しておけば税務調査のときもカラ出張と疑われずにすむ。
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