先日、クラスが終わって帰宅しようとキャンパスの階段を下りていると、後ろから声をかけられた。
前学期同じクラスにいたインド人だ。顔は知っているが、ほとんど話したことはない。彼は僕の名前を知っているが、大変失礼なことに僕は彼の名前を忘れてしまっていた。
愛想笑いと共に挨拶を済ますと、彼が一言、
「時間のある時にパワーポイント講義をやってくれないか?」
ん?
以前僕のプレゼンを見て大変気にいってくれたとのこと。
また、他の人達の噂を聞いて是非とも一度習いたいと思ったとのこと。
大変光栄なことだとは思うが、僕は残念ながらセンスも何もあったものではないし、ただ毎回自分が良いと思っていることを形にしているだけなので、体系的に何か人に教えられるものなど何も無い。
何より大学院のプレゼンを、内容ももちろん大いに重要だが、それ以上に自分の個性を売る場として捉えている僕にとって、一般的なビジネスで有効であると思われるプレゼンを自分ができているかというと怪しい。
ようは、僕のやり方が必ずしも誰にでも、またどんな業界にもフィットして評価されるとはとても思えない。
さらに言うと、プレゼンは発表者である自分以外にも、聴衆である聞き手がいて初めて成り立つものだから、内容以外にも客層とか会場の雰囲気とか様々な背景を考慮した上でプレゼンスタイルを変えていかないといけないと思う。
僕がやっているものの中で明らかにどんな分野でも意味無いものもある。
例えば、絶対に誰も気づいていないと思うが、自分でデザインしたスライドのメインのカラーと、当日着ていくスーツ・ネクタイの色の相性を考慮に入れるとか。
プレゼンする企業のTシャツを着ていくとか微妙なレベルでダサいことはしないが(これが良いという人もいる。。うーん。。分からん)、寒色か暖色かなど横で映し出されているプロジェクターに自分が溶け込むようにする程度のレベルだが。
実はこれもまだしっかり自分の中で確立されていなくて、実はネクタイだけはスライドのメイン色と喧嘩してしまうくらいの目立つ色の方が、かえってスライドではなくて話し手の自分に目がいってくれるのではと思ったり。
まぁこんなものは自己満足以外のなにものでもないのだと思う。
でも自分では意味があると思ってやっている。
誰にも習ったことがなく全て初めから自己流なのでそれがさらに不安を掻き立てる。
自分に自信のないことを教えてくれと言われることほどつらいことはない。
この日本人的な、"100%じゃないと「できる」と言わない性質"も良くないのかもしれないが。
プレゼン本のハウツー本にはいくつか目を通したが、はっきり言って参考になったものはほんの少数。というかほとんど役に立たなかった。
どれも当たり障りのないことしか書いてない。というか、僕が上に書いたように、プレゼンはその場その場で全く異なるものなのだからそうならざるを得ないと思う。
ということで、彼の依頼はその場で断ったのだが、数日後それでも一度だけどうしても会って欲しいと言われ、そこまで言うならば僕が感じている上記のようなことだけしっかり伝えようと思い何も準備もせずに待ち合わせ場所の大学のカフェテリアへ。
すると、そのインド人の彼は大きなPCを持参の上、メモ帳を広げ、さらには僕からアドバイスをもらうために既に事前にいくつかスライドを作っているなど、準備万端。
う~ん。。
そこまでされるとこちらも悪いなと思い、僕もスイッチが入ったのかあれこれと分かる限り修正してあげ、また自分が経験上感じたことを思いつく限り教えてあげた。
その修正・アドバイスが世間一般に正しいのかは全く分からないが、頼まれた以上は一生懸命やらないと失礼だと思ったからだ。
彼はIBMのエンジニアなのだが、数日後に大事なプレゼンが会社であると言っていた。
一体どうなったのだろうか。
失敗しても責任は取れんぞ、、、、
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