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バイオリン弓修理

実はもうかなり前のことですが、こんなことがありました。

久々にバイオリンでも練習しようと弓を張ろうとしたところ、毛の部分と弓の木の部分が乖離。

5歳から弾いていますが、こんな非常事態は初めて。すぐ楽器店に駆け込んで修理を依頼。


「一週間で直せるよ」


というので、一安心。

しかし一週間後に電話をすると、


「やっぱりうちでは直せないから、外部の工房に頼むことにしたよ。だからもう二週間待って」


と言われ、二週間後にまた電話をかける。しかし、


「あと少しでできるから待ちなさい」


となぜか逆ギレ気味で言われ、その後も何回か確認の電話を入れたり実際に店まで足を運んで状況確認をしに行くが、担当者が長期休暇だったり、なんだかだらだらと言い訳されたりして、

結局、10ヶ月が経過・・・・・・・・・・。

ある時、思い出したように僕が電話をかけると、相変わらず修理担当者は不在だったのですが、店のマネージャーが出てきて修理が遅れていることに対して平謝りをされました。

数日以内になんとかするからと言われたので待っていると、二日後にそのマネージャーから電話が。

彼は開口一番、


マ「good newsとbad newsのどちらを先に聞きたい?」


え???

これは英語でよく使われるフレーズなのだが、なんのことだと思い、


僕「bad newsから」


と答えると、


マ「ごめんねぇ、実は君の弓をどっかに失くしてしまったようなんだ。いくら探しても見つからなくって」


はい・・・・・・・・・?


マ「それで、good newsというのは、失くした弓の代わりに、我々の店にある他の弓とどれでも良いので取り替えさせてあげます!」

わけが分からん。。。。客から預かった弓を失くしたって・・・・・・?

クリーニング屋が客のYシャツ失くしたとかいうレベルじゃないぞ。楽器だぞ、楽器。

失くした理由を問い質しましたが、


マ「私は修理担当者ではないので詳しいことは分かりません」

この発言には僕も頭にきてしまい、


僕「いやいや、確かにそうなのかもしれないが、君にはマネージャーとして従業員を監督する責任があるだろうに。分からんじゃないだろう?」 

 マ「その通り・・・・・・。」


僕「なんでもいいから、今日もう一度ちゃんと探して明日折り返し連絡してください!」


と言ってその日は電話を切ることに。すると、次の日に同じマネージャーから電話がかかってきた。

こいつには本当に驚いた。


マ「ははは。よく探したらありました!」


とのこと。

ちゃんと探してから「失くしました」って言ってくれよ。。。

修理できないのはしょうがないとしても、客から預かったものを失くしたとかやっぱり見つかったとか。うーん、いい加減だなぁ。。

おそらく

1. わざと失くしたと嘘ついて、似たような安物の弓と取り替えさせようとした

2. 僕が怒って、かつ絶対に他の弓は受け取らないと怒ったので、諦めた。特に、「その弓、$20,000もするんだよ。賠償できるの?」と言ったので(依頼者の中には自分の弓の価値が分かってない人も多い)、僕を似たような品物では騙せないと思った。

3. しょうがないので、諦めて「見つかったよ」と電話かけてきたという流れではないかと思っていますが。

上の$20,000は明らかに嘘であり、いくら相手が失礼なことをしてきたと言っても、そんな嘘を付くのは良くないんじゃないかと言う人はいるかもしれませんが、アメリカは甘くはないです。

別に僕は相手をだまそうとしているのではなく、自分を守るために逆に多少過剰な行動を取っただけです。これぐらいしないと確実に交渉で負けます。

もちろん、先方もただ他の修理すべき弓とタグの付け間違いをしていただけとか単純なミスであったかもしれません。

ただ、やはりこれはあまり考えられない。

客の預けたものを失くすというのはすごい重大なことだと思うので、かなり店中探しまくった上で「失くしました、すいません」と覚悟して電話してきたはず。

そのすぐ後に「あ、よく探したらあったよ」というのはあり得ないとは思いませんが、明らかに不自然。わざと隠していて僕の動きを見ていたと思う方が正しいかと。

次の日に店まで壊れたままの弓を取りに行ったときに、


マ「申し訳なかったです。何か店の弓を一本持っていっていいです」


と言われましたが断ることに。

よく考えれば基本的に向こうにこれといった過失はない。約束した修理ができなかっただけ。

もちろん、客のものを「失くしました」と発言するのは、たとえ本物が後から見つかったとしても失礼極まりないとは思いますが、

当たり前ですが、修理できなかったら罰金とかいう条項は契約書に無かったし、僕だって途中で何ヶ月も連絡しなかったのも悪いといえば悪い。

むしろここで新しい弓を無料でもらったりしたら変な関係が残る気がして気持ち悪い。この店とはお互いチャラにして一切の関係を断ちたかった。

なにより、


「申し訳ないので(店にある)弓を一本無償で差し上げます」


というのは明らかにおかしい。

じゃ、一番高い$5,000(五十万円)くらいの弓をもらっても良いのかという事になりますよね。

その弓を取った途端に裏からタトゥーをした怖い兄ちゃんとか出てきたら困ります。

ここはアメリカですし、あくまで初めに修理依頼としてサインした契約書に書いてある範囲からお互いが逸脱しないようにするべきかなと。

ちょっとでも契約書から離れたところでこちらが借りを作るようなことをしたら、後で逆に何をされても訴訟することができません。

弓を一本その場で無料でもらって、家への帰り道にボコボコにされても契約外なので何もできません。

または無料でもらった弓を抱えて店を出た途端に逆に僕が窃盗犯とか言いがかりをつけられるかもしれません。(レシートも何もないので、第三者からはまるで僕が店から盗んだように見えてもおかしくない)

ここは修理を依頼した弓がそのまま壊れた状態のまま返ってきたというだけで、ようは初めから両者には何も無かったということで終了にするべきと判断しました。


まぁさすがに壊れた弓を返してもらった瞬間には少しカチンと来てちょっとバーっときついことを言ってしまいましたが、常識の範疇内だったと思います。所詮僕は日本だろうがどこの国にいようが、どんなに相手のことが憎くても「F○○k」とかそういう汚い言葉を他人に対しては決して使いませんので、まぁその程度ということです。


店の名前はこの場では当然書けませんので、NYで弓の修理を考えている方で興味のある方は別途ブログ右上記載のメアド経由でご連絡下さい。

多くの楽器を修理しているようなので、ただ僕が運が悪かっただけだとも思いますが。 続きを読む

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ブログ紹介

八方ふさがり

http://blog.livedoor.jp/ike_chan_/

05年よりNew York在住。 現地銀行勤務を経て、09年よりMBA取得に向け大学院にて奮闘中。

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