No.1543　日中友好のために（4）

　9日（日）今日は終日雪がちらついている。今年も何かと中国が話題になりそうな気配がする。GDPはとうとう日本を追い抜き、世界第二位に躍り出たということだし、世界経済がうまく立ち行かない中、好き嫌いに関わらず各国とも中国頼みにならざるを得ない。

　中国にしろ、インドにしろ昔は社会問題でしかなかった人口問題が逆に経済発展の武器になっている。私は地球規模での世界の将来にそれほど悲観的ではない。日本だって、政治がもう少しまともになれば、日本の技術は勿論、知的財産や文化も捨てたものじゃない。

　日中関係が時々ギクシャクするのは中国自身の問題も当然あるが、日中戦争の清算がきちんとできないからだ。あの戦争をきちんと学習しようとしない者は「なんでいつまでも謝り続ける屈辱感」を口にする。でも政府が謝罪したのは戦後50年も経った95年である。

　95年、村山内閣は閣議決定に基いて、「村山談話」を発表した。そこには「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジアの諸国の人々に対し、多大の損害と苦痛を与えたことを疑うべくもない歴史の事実として、痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明する」という内容である。これだけの謝罪に50年を要したのだ。

　当時の河野洋平官房長官は政府が設置した調査報告に基づいて、従軍慰安婦の存在も初めて公式に認めた。しかし、問題点は残ったままである。戦後賠償はサンフランシスコ平和条約と二国間の戦後賠償協定に基づいてすべて終結したとし、個人賠償の請求権を否定した。ドイツとの明白な差である。昭和天皇の戦争責任を否定したことも問題として残る。

　この当たり前とも思える村山談話に対してさえ、右翼はもちろん、自民党や民主党の右派グループの中には撤回を求めたり、やり過ぎだと非難して物議を醸しているのだ。中国大陸だけでも1000万人が死んでいる。内戦による死者も含むが多くは日本との戦いによる。

　あの戦争を正義の戦いと主張する人々でさえ、100万を超える日本軍が中国に展開していた事実までは否定できない。南京虐殺や731部隊による人体実験の犠牲者の数の問題に矮小化しているが、東南アジア全域に及んだ日本の侵略を否定することなどできない。

　中国の反日運動ばかりが取り上げられるが、村山談話を否定したり、経済力にものを言わせて横柄な外交姿勢を示せば、韓国や東南アジの国々だって許しはしないだろう。アジアでの商談がスムースに進まず、韓国や中国、あるいは欧米の企業にとられる背景に歴史問題があるのだ。村山談話を否定したい勢力は陰に陽に教科書記述や採択に介入し続け、教科書の記述から加害の事実を削除したり、薄める策謀を繰り返しているのだ。