一昨日、会社の帰りにスーパーへ寄ったのですが、立派なセロリがありまして、料理上手な友人のセロリがいっぱい入ったタンシチューを思い出しました。
彼女が「ブラジルは牛タンが安いからサイコー!根元はタン塩にして、それ以外は煮込むのよー」と言っていたことも思い出し、精肉売り場に行けば、ありました。立派な牛タン固まりが12レアル(約540円)ほどで。
・・・いや、いつもあるんですけどね。夫が「うげぇ、舌かよー」とか言うのと、なんだか面倒そうな印象もあり、これまで手を出さなかったのです。
でも、夫も友人のシチューはタンと知ってか知らずにかすっげえ食べてたし、彼女が「よく作るよー」と言ってたことにも勝手に励まされ、サンパウロ生活7年目にして、初めてタン(Lingua)を買ってみました。
が、手強かった・・・。
手始めに「タンシチュー」でネット検索したところ、「炊飯器で簡単♡」「圧力鍋で☆失敗なし」なんてクックパッドのレシピがたくさん出てきました。ところが、あらあ、なあんだ、余裕じゃないのぉ、とか思った矢先、ふと、どなたかの「夫がもらってきた牛タンは舌そのもので困っている」という投稿が目に留まりました。
・・・まずい。これに該当する。
この投稿には、「クックパッドで、『タンの下処理』で検索しろ」という指示が入っていました。
で、その指示に素直に従ったところ、固まりというだけで手強いが、皮付きは・・・「諦めて冷凍庫で何年も眠っています」という方もいる模様。これは、明日、昼飯時に家に帰ってきて、炊飯器に仕込んで、夜にちゃちゃっと仕上げ!というレベルではない模様・・・。
しょうがない、今晩仕込むか・・・と、牛タンパック、開けてみました。
「ぐっぅえぇええ・・・っ」
出てきた「舌」見て、思わず声が出ましたよ。これは・・・グロい。
まず、でかい。3重折りだったのね。広がった舌は、まな板からはみ出す勢いです。
それに色もイヤ。パックでは内側になるよう折り曲げられていた舌の表は、灰色の不均等なグラデーション。更に、固い。舌先なんか天井に向かってチロっと立ってるし、根元にはよく分からない、とげのようなビロビロもあるし。うげぇ。
ああ、厄介なものに手を出してしまった。
とはいえ、残酷!などと罵られながらも、丸のウサギを捌いて、「小ウサギの赤ワイン煮」なんか作っていた私。プライドをもって、果敢に挑ませていただきます。
数種類の包丁とキッチンばさみを試してみました。が、30分ほどの努力の成果は全く見えません。夜、みんなが寝静まった台所で、独りグロい舌と格闘しているのが空しくなり、冷凍庫に放り込みました。
しかし、考えてみれば、この購入した舌の皮を剥いでくれる肉屋がそう簡単に見つかるとも思えません。う〜む。もう一度、ネット検索。
アメリカで、皮付きの牛タンと格闘する日本人のブログに行き当たりました。彼女は、「たたいたりのばしたりするのがよい」と指南。YouTubeの参考動画も掲載していました。
なるほど・・・。そうか、ひっぱるのね。私が買ったブラジルの?舌はビデオのやつよりも、かなり幅がある気がするのだけど。いけるかも。なんとなく励まされ、再チャレンジ。
おお、タンの見た目にも慣れたからか、全体像がつかめたからか、結構すすみます。
しかも、不審そうに「なにやってんの〜」と台所に入ってきた夫が、意外にも同情してくれ(相当、引くと思っていた)、包丁を研いでくれました。これも助かった。
そして、見事、皮はキレイにはがれました。根元はタン塩用にスライスされ、それ以外はぶつ切りで冷蔵庫に入りました。
翌日。昼、会社から帰ってきた私は、さっそく一人、牛タンを焼くことに。
塩こしょうごま油で下味をつけ、焼いて、ライム絞って食べました。旨っ!
ぶつ切りは立派なセロリの葉とタマネギと人参の皮と共に炊飯器へ。
夜、そいつを、にんじんとセロリとトマト水煮とローリエとクローブとブランデーと酒とみりんと醤油でもうひと煮込みしました。クックパッドレシピは、シチューの素やデミグラスソース缶を使うものが多かったのですが、手に入らなかったもので、なんとなく家にあったものを入れたのです。
でも、これも美味しかった。家族も、おかわりしてがっつり食べてたし、まあ、報われました。
また買ってもいいかも。いや、そう思うくらい、タン塩、旨いのよ。
ああ、でも、できることなら今度は、肉屋様に下処理してもらおうと思います。