生徒が新しい価値観を獲得するとき、次なる成長をみせてくれることがあります。
生徒が持つ今までの経験や知識でもってはなかなか見通すことが難しかった価値観を、学びを通して新たに獲得してくれることが学習コーチにとっては多大な喜びです。
そういった気づきを促すために、生徒との対話で留意したいことがあります。
「人の心は期待していないものを知覚することについて抵抗し、また期待しているものを知覚できないことにも抵抗する」
経営の神様、ピーター・ドラッガーはコミュニケーションの原則のひとつとして、このように語りました。
中学生高校生ぐらいの発展途上の年齢であると、期待するのもだけを見たい・知りたいという知覚作用が正直に表現されるような場合があることも否めません。
生徒たちの新たな好奇心の、そして現実受容の扉を開放できる働きかけができるよう学習コーチは努力を重ねています。
このドラッガーの言葉を受けて、「よかたい先生」という小学生向けの推薦図書を読んでいるときに思ったことがありました。
この本は水俣病患者の治療と社会的救済のために一生を捧げた原田正純先生の功績と、水俣病患者の現状を分かりやすく紹介しています。
その中に原田先生が水俣の教訓を経て、福島第一原発事故について語られている部分がありました。
「世の中で使われるエネルギーが変わるときに大きな犠牲が払われる。~中略~ 放射線物質を含んだ水は海に流される。生き物は体内に毒を吸収して毒をためていくということを見落とした結果がすでに(水俣病問題のときに)あるじゃないかね。人間は自分の都合のよい方にしか現実をとらえんという結果が、50年前に水俣病という形で出とるでしょ。なんだかこの国は成長せんね。」
人の心は期待していないものを知覚することに抵抗する。
ドラッガーの言葉が重なります。
この心の自然な知覚作用にひとりひとりが向き合い、作用に流されずに成長を重ねるという強い意思を持つことが必要なのです。
この意思がゆくゆくは公害や紛争などさまざまな社会問題についても、自分の問題としてとらえらることができる社会参加の態度につながります。
社会変革をもたらす人材育成のために学習コーチができることは何かを考え、生徒とともに成長していきたいと思います。
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