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芸能人虐待報道の問題点(2)
父親の大沢樹生のインタビュー記事によると
息子は”先天性腹膜破裂”で生まれてきた。
これは お腹の中の赤ちゃんが成長する過程で
腹膜の形成がうまくいかず 大腸や小腸がお腹から飛び出した状態で
生まれてくるという 先天性の障害だ。
発症例は 5000人から1万人に一人。
小さいころに臓器を体内に戻す手術を行えば たいていの子どもは 普通と
かわらない生活ができる。(ほかの先天性障害がある場合を除く)
大沢長男の場合
赤ちゃんのお腹から 大きく膨らんだ臓器が飛び出していて
それは まるで 赤紫色の風船が
体の上に 乗っかっているように見えたという。
ただ ”風船”というのは あくまでも 当たり障りのない比喩で
実際の症例写真などを見ると ぐにゃぐにゃの腸が飛びだしているのだから
かなり グロテスクだ。
生まれてすぐに 我が子を天使のよう、とか かわいい、とか
言い切る人がいるが それは 苦労して産んだ子とか、
10か月お腹の中で育てた子、
大好きな人との間にできた子ども、という 思い入れがあるからで
健康な赤ちゃんでも 生まれたてというのは 妙に生々しくて シワシワで、
冷静にその外観を観察してみると
まるで 未知なる生き物に遭遇したような 衝撃があるものだ。
それが 先天性異常があり 見た目にも
一般の新生児とは かなり違った様相の赤ちゃんなのである。
若い夫婦が この子が産まれた瞬間を
無邪気に喜べたとは とても思えない。
その外見の衝撃と共に これからこの子はどうなるのかという不安で
いっぱいだったはずではないだろうか。
その上 治療や衛生管理のために すぐに母親からは切り離され
触ることも 抱くこともままならず 多くの母親が 「これが我が子」という
感覚を得ることができないまま 自分だけが 退院する。
確かに おなかの中に子供がいたのに
生まれても 自宅に一緒に戻ることができない虚脱感・・・。
退院後も 親たちは一生懸命 病院に通い 我が子に関わろうとするが、
NICU、新生児集中治療室というところは 病院の中でも
厳しく面会が制限されており
親といえども 限られた時間しか 立ち入ることができない。
それも 部屋の外で ガラス越しにたくさんの保育器がならんでいるのを
ほんの数時間 見せてもらえるだけ、とか
NICUの中に入ることができても
保育器の前で 管だらけになった赤ちゃんを見下ろすことができるだけ。
たまに触ることが許されても それは 保育器の穴に手を突っ込んで
子どもの手を 少し 触らせてもらうという程度のもので
抱きしめるという感覚は とうてい味わうことができない。
例の長男君も 生後3か月と7か月の時に 臓器を体内に収める手術を受けており
大沢によると はじめてわが子を抱いたのは 生後11か月の時だったという。
11か月も!!
日本の医療では 妊娠中は 産婦人科、
生まれてからは 小児科の担当で
こうした問題のある赤ちゃんが生まれた場合
親子をフォローする体制に乏しい。
もちろん大きな病院に行けば 赤ちゃんは 適切な治療を受ける態勢が
整っているのだが
こういうお産を経た 母親の心理面をケアする場所がほとんどない。
一部の病院にはカウンセラーが配属されているが
ほとんどは 退院後の追跡調査まで行っていない。
行っていても 数年程度で、
ある程度 「治療」が完了したら 医療の手からは離れてしまう。
しかし 実際には こうした子どもは その後も 軽度の知的障害があったり
情緒が安定しない為 育てにくかったり 病弱だったり
何かと 親子の関係を築くのが 普通以上に 難しいと言われている。
ところが 親たちは 最初でつまずいた分を取り戻そうと
かなり熱心に 子育てに取り組もうとする。
その結果 行き過ぎたしつけや 虐待にまでエスカレートするケースも
報告されている。
出産の経緯を考えると
いろいろあったけど 健康でいてくれるだけでありがたいと
思えればいいのだが そうもいかないのが 親の愛情というか
人間の欲深さというか 何と言うか
・・・・そう簡単に割り切れないのは 普通の親子でも 一緒だと思う。
(つづく)
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