1か月ほど前の話になりますが、ドラえもんを愛読してやまない小5の娘とその
友人を引率して、川崎市にある「藤子・F.・不二雄ミュージアム」に行ってき
ました。
このミュージアムは長年川崎市に住み、ドラえもんを代表とする数々の
名作品を描いた漫画家藤子・F・不二雄氏の作品や世界観を、幅広い世代に
伝えることを目的として2011年9月、開館しました。
私たちが訪れた6月はジャイアンの誕生月ということで、ジャイアンゆかりの
展示がいくつかありました。
注目のひとつは、「きこりの泉」というコミック36巻に収められた
お話しに由来するジャイアンに関連したちょっとしたアトラクションです。
これはは「金のおの、銀のおの」として有名なイソップ寓話をモチーフに
書かれたお話しなのですが、どら焼きをパパに食べられたドラえもんが、
「きこりの泉」という泉出現装置を出し、食べかけのどら焼きをそこにわざと
落とします。すると美しい女神が出てきて「「あなたの落としたのはこの
大きなどら焼きですか」といって大きなどら焼きを差し出すのですが、そこで
正直に「いえいえ、私が落としたのは食べかけのどらやきです」と答えて、
ドラえもんは元よりずっと大きなどら焼きをご褒美にもらうのです。
このお話のオチは、その泉に誤って落ちたジャイアンを巡って、
「あなたが落としたのはこれですか」といって、ハンサムなジャイアンを差し出す
女神に、「いいえ、もっときたないの」と正直に答えたドラえもんとのび太の
目の前に、見違えて美しくなったジャイアンが登場するところです。
さて、その泉の形を模したアトラクションは、目の前ののポンプを30秒ほど
ずっと押し続けると、美しいジャイアンが浮かび上がって来ますが、時間が
たつと「プシュッ~」と音がして、ジャイアンはまた泉に沈んでいってしまします。
娘たちをミュージアムに連れて行くにあたってわたしも少しおさらいしようと、
「ドラえもん」を久しぶりに読んだのですが、この「木こりの泉」をはじめ、
ユーモラスでなおかつ示唆に富むお話しが多く、改めて藤子・F・不二雄という
作家を見直してしまいました。
ミュージアムにはその他にも、子供はもちろん大人にも面白い沢山の仕掛けと
展示物がありますが、私にとって印象的だったのは、再現された藤子氏の
書斎と、彼がとても子煩悩であったことを示す工作作品でした。
天井まで吹き抜けの高~い4面の書棚に本や資料がぎっしりの詰まった書斎は
圧巻です。それらはシンプルに思われるひとつひとつのお話しを、藤子氏がいかに
緻密な裏付けと精緻な筆致で描いていたかを示すものでした。
また、クリスマス前に3人の娘のために作った、「サンタポスト」というイラスト入り
の箱も展示されていました。藤子氏が、自分の読者を大切にしていたのと同時に、
自分の家族をとても大切にしていたことが伝わり、心が温まりました。
それにしても「美しいジャイアン」、傑作です。
今月のミュージアムは~ハワイフェア・スネオの夏休み~ということで、
スネオの特集月になっているようですが、私はおみやげに買った
「美しいジャイアン」のメモ帳をみては、未だにクスクス笑ってしまう日々です。
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