英地質調査所(BGS)とロンドン大学連合を構成する有力大学であるユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームは、アフリカ大陸の最も乾燥した地域の一部の地下に大量の地下水が存在することを明らかにした。これは今後長年にわたって気候変動から受ける影響を和らげる緩衝になり得るという。論文は20日発行の環境科学専門ジャーナル「エンバイロンメンタル・リサーチ・レターズ(ERL)」に掲載された。
研究チームは今回初めてアフリカ大陸の地下水の地図を作成し、埋蔵されている地下水の推定量を明記した。チームは論文で「地下水の量が最も多いのは、リビア、アルジェリア、エジプト、それにスーダンといったアフリカ北部の国々の帯水層だ」と述べた。同チームは、大陸全体の地下水の量が大陸表面の水量(年間に再生可能な淡水の量)の100倍、つまり66万立方キロメートルと推測している。
しかし同チームは、全ての地下水へのアクセスが可能なわけではないと警告した。アクセスが可能な地下水については、大規模な掘削プロジェクトよりも手動ポンプを使った小規模なくみ上げの方が適しているという。大規模な掘削プロジェクトでは早期に地下水が枯渇したり、想定外の結果がもたらされたりする可能性があるからだ。
地下水はアフリカの水不足を解消する万能薬ではないが、人口増加による水需要の急激な拡大に対応する戦略の重要な部分を占める可能性がある。一部の推測によると、現在でさえアフリカで安全な飲料水を確保できない人の数は3億人を超え、耕作可能な土地のうち、かんがいできているのはわずか5%だとされている。
同チームの調査結果について、地下水問題専門家で支援団体「世界水パートナーシップ」の上級顧問を務めるスティーブン・フォスター博士は、「大きな穴を掘削すればあちこちに水田が出現するようになる、といった簡単な話ではない」と述べ、「一部の場所では作物喪失の軽減に地下水を使うことが経済的にも技術的にも可能かもしれない。しかし、どこでも実現するかは疑問だ。詳細な評価が必要だ」と語った。
同博士は、費用や物流の問題で計画が失敗したことがあると指摘し、「ナイジェリア北部で地下水によるかんがい計画があったが、掘削費用の主要部分を占める燃料費の上昇で失敗した。また物流面での困難もあった」と説明した。
研究チームは、地下水の埋蔵量が最も多いところの一部がアフリカで最も乾燥したサハラ砂漠のまん中やその周辺に存在するが、地面から100~250メートルといった地中深くにあると指摘した。
そして「地下50メートルよりも深いところにある地下水には手動ポンプで簡単にアクセスできないだろう。深さが100メートルを超えると掘削の費用は急増する。より高性能の掘削機器が必要になるからだ」と述べた。
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