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NO1977 被災地再訪・慰霊の旅(3)

防災庁舎前で祈るベトナム人
防災庁舎前で祈りを捧げるベトナム人 10日(火)ビジネスホテルは素泊まりのため、食事は外でということになった。L子の希望は出来れば被災者の助けになりたい、被災者と交流したいとのこと。幸いにも斜め向かいにプレハブ2階建ての飲み屋街があるではないか。被災者が資金を出し合って建設したとのこと。迷わず居酒屋「寄り道」へ。

 お店に入ると、金髪女性が入ってきたので、一斉にジロジロ見られ、話しかけられもした。ベジタリアンだと言うと、魚専門店なので無理だと。知り合いのお店を紹介するからと途中まで案内してくれる。L子は恐縮して、帰りにもう一度あのお店で飲みましょうと。

 紹介された店も一階は完全に冠水し、再開を危ぶんだと。L子の関心は災害の状況というより、今後どう生活を再建するのか、どう町づくりを進めるのかに関心を持ち、盛んに質問をしていた。それに対し、店主は料理をしながらも、熱心に彼女の質問に答えていた。

取り壊しが決まった防災庁舎店主は率直な原発批判も口にした。東電は横暴な企業だと。その後「寄り道」に戻ったところ、満席になっていた。すぐに話しかけてくる二人組があった。ロシアに流れ着いた船を高知県に曳航し、修理をしたうえで気仙沼に届けられた花咲丸の当事者だった。

 今、気仙沼港のドックにあるとのことで翌日見せていただく約束をして別れた。L子はどこでも暖かく質問に答えてくれる被災地の人々の心の広さに感動し、嬉しい、来てよかったと。確かに、どこでも彼女は歓迎され、単なる観光者でないことが理解されたと思う。

 翌日も8時半にはホテルを出発。これから向かう陸前高田、大船渡はもっとひどく、何もありませんよとの言葉を聞いて走り始めた。本当にその通りだった。リアス式海岸を車で走った人なら分かるはずだが、海岸から一旦は山に向かい、迂回して再び海岸に出る。

居酒屋の店主と話し込むL子
居酒屋店主と話し込むL子 流石三陸で、坂の上り口と降り口には「ここまで、これから津波想定区域」の表示がある。こんなところまで波が坂を上るの?と思わせるのだが、海岸線にある集落は全てのみこまれ、さらに波が坂を駆け上って、ガードレイルや林にダメージを与えているのがわかる!

 釜石市に至る海岸沿いの名前もほとんど知られていない小さな村(字)が無数にあるわけだが、せいぜい10戸ほどと思われる村は根こそぎ姿がないのである。そこにプレハブの小屋を建て、煙が立ち上り、生活を再開した様子が見え、胸が締め付けられる思いがした。

 この旅の締めくくりは釜石。テレビは釜石の惨状をどれほど伝えたのだろうか。海岸線を一通り走り抜いて、建物は形だけは残っているが、窓枠やサッシは折れ曲がり、人の気配がない。地盤沈下した港は気仙沼同様復興は容易ではないと思わずにはいられなかった。

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