さて、仕事をほっぽらかしにして大学で小銭稼ぎに精を出しております。
同じ大学のチューターでも、数学を教えるより日本語を教える方が給料が良いんだと。レアだからかな。あくまで噂ですが。
男の子はアニメ、女の子は(日本の)ドラマに興味を持って日本語を学び始めるケースが多いとか。ほとんどの生徒はアジア系(中国、韓国、台湾)ですね。まぁアメリカ人の女の子がキムタクに興味があるとはとても思えん。
「簡単な基礎の日本語を若い子に話すだけでお金もらえるんでしょ、楽でいいねぇ」という声がちらほらと聞こえてきますが、ええ、確かに大学生相手に教えているので年齢は若いですよ。しかも女の子ばかりだし。まぁおっさんに教えるよりは楽しいといえば楽しいですね。僕も男性ですからそれは当たり前でしょう。
でもね、そんなに楽でもないですよ。だってこんな生徒もいるから。
火曜の夕方。二人の学生のテスト対策をしてあげ、一休憩しようかなと思っていた時のこと。
アジア系の男性が彼女達と入れ替わりでチュータールームに入ってきました。
「君が次の生徒さんかな?」
と聞くと、流暢な日本語で
「あ、僕、ちょっと事情が複雑で、、、」
なんて返してくる。
中国人のC君。19歳。ご両親の仕事の都合で日本に4年住んでいたことがあるとのことで日本語はほぼ完璧。発音がネイティブとは違うが、語彙に関しては普通の日本人より格段に豊富。
日本語・英語がペラペラな中国人は多く見てきたが、彼ほどのレベルはなかなかいない。
僕の日本での出身大学や経歴などを聞いてきた後、突然、
「ダニエルデネットって知っていますか?」
と聞いてきました。
どうやらその方の日本語のWikipediaのページを僕に読んでもらい(リスニングの練習をしたいのかな?)、その後一緒にディスカッションをしたいとのこと。
ダニエル・デネットを知らない方のために、以下、Wikipedia より一部抜粋。
ダニエル・デネット(Daniel Clement Dennett, 1942年3月28日 - )はアメリカ合衆国の哲学者。2005年2月現在、タフツ大学教授。同大学認知科学センター監督官。
1963年ハーバード大学卒業後、1965年オックスフォード大学にてPh.D取得。ハーバードではW・V・O・クワインに、オックスフォードではギルバート・ライルに師事。
心の哲学・科学哲学を専門とし、特に進化生物学や認知科学との関わりで人間の意識の問題などについて論じている。フレーム問題#フレーム問題の例でも知られる。
この哲学者は米国人なのだから、英語のWikipediaを読んでディスカッションをした方が効率的なんじゃないかとも思ったし、日本語の勉強をしたいならば福沢諭吉とかにしてくれないかなぁとも思ったのですが、
まぁ彼が好きな哲学者がこのデネット氏であるならばしょうがないな、と声を出して半分くらい読んであげたところで、彼の方から、
「これはちょっと難しいですね、もうちょっと自分で読み込んでからまた次回にでも話すということでいいですか?」
とのこと。
僕も哲学は勉強したことがないので、読んだ内容の大半は恥ずかしながら分からないなぁ、、と。
英語だったらチンプンカンプンだったと思います。
いやー、19歳でこれだけ多言語が話せて理解できるのってすごいなと感心しました。中国人のエリートというのは果てしなくレベルが高い。いくら彼が哲学に興味があるといっても、19歳でどれだけの人がこのダニエル・デネットのWikipediaを第二言語で読んで理解できますかね。
また、彼は将来日本の大学(外語大)に編入したいとのことで、その入試問題の過去問(英語→日本語への和訳問題)を解くのを手伝って欲しいとのこと。
大学受験なんて10年以上前のことですし、別に僕は語学のエキスパートでもなんでもないので(むしろ国語も英語もひどい成績だった)、僕が教えられるか分からないけど、ひとまず来週持ってきなよとだけ伝えておきました。
そりゃ、確かに僕は『日本語のチューター』としてここで働いていますが、それは別に
『この大学で開講されている日本語授業レベルの内容ならばヘルプできますよ』
ということであって、別に
『日本語を教えることを専門としている』わけではないんですけどねぇ。。
まぁ生徒側にはそんなことは関係ないのでしょうが。
帰り際に、
「あなたは他の日本人と違う。他の日本人は僕が話しかけてもあまり返答してくれない」と言っていましたが、そりゃ、いきなり哲学の話をされたら、彼の同年代の方でまともに返せる人はいないと思いますけどね。。。
ちょっと来週が楽しみ。。。アメリカで外語大の入試問題を解くことになるとは思わなかった。
やるからには本気でやりますが、無理だったら正直に無理と言おう。僕は予備校の教師ではないので。
真面目にやってみてもしそこそこできるようだったら、会社が潰れて日本に帰った場合でも英語の先生として細々食っていける、、、かも?
結果はまたブログに書きます。