中国発のスマートフォンメーカーvivo(ビーボ)。聞きなれないブランドだったので、初めてクアラルンプールでvivoの広告を目にしたときは、ローカル企業が作っているコピー商品かと思ったくらいだ。
しかし、いまクアラルンプールにはOppo(オッポ)など他の中国メーカーとともにvivoの広告があふれかえり、ショッピングモールなどで大量の実店舗が展開され、マレーシア市場で急速に存在感を増している。実際のところその評判はどうなのだろうか。筆者が4か月間、vivoスマホを使用した感想をレポートする。
何度も刷り込まれるvivoブランド2017年2月現在、マレーシア人の女性モデルを使ったvivo広告がクアラルンプールのいたる所で展開されている。クアラルンプール空港からKLCC周辺に移動することがあれば、空港内、駅、幹線道路、ショッピングモール、KLCC市内に至るまであらゆる場所で目にすることになる。特に関心がなくても、その圧倒的な広告量によっていつの間にかvivoという商品が頭に刷り込まれていることだろう。
急速にシェアを伸ばす中国メーカー実際、vivoは急速にシェアを拡大している中国発のスマホメーカーだ。同じく中国メーカーのOppo(オッポ)とともに中国のスマートフォン市場では圧倒的な勢いでシェアを伸ばしている。IDCが2017年2月5日に発表したリポートによると、2016年の中国での年間出荷台数で中国Oppoが7840万台で首位、2位は中国Huaweiの7660万台、3位は中国vivoの6920万で中国メーカーだけでほぼ半分のシェアを獲得した。
なかでもOppoとvivoの躍進が際立っている。市場全体では前年比8.7%成長だったが、OPPOが122.2%の増加、vivoが96.9%もの成長を遂げ、一方でAppleやXiaomiは出荷台数を減らす結果となった。
vivoのスマホを購入して4か月後の感想今から4か月ほど前、ちょうど使用していたスマホのカメラが故障したこともあって、試しにこのvivoがどれほどの実力なのか購入して実際に使用してみることにした。購入した時期は現行モデルのV5が発売される直前ということもあって、安くなっていたV3 Max (RAM 4GB、内部ストレージは32GB)を購入。このブログを書いている今、このスマホがここマレーシアでもよく売れている理由がよくわかる。
<価格>現在の標準モデルV5でも値段はRM1300(約33,800円)、下位モデルだとY55でRM800(20,800円)、Y51でRM600(15,600円)と予算に合わせて購入しやすいモデルが用意されている。iPhone7 Plus (32GB)はRM3,800(約98,800円)ほどするので高根の花だが、vivoやOppo製品にはマレーシアで平均的な所得水準の消費者にとって、手が届きやすい価格帯が設定されている。
<性能>使い始めて4か月経った今も購入した時と同じようにキビキビ動作する。アプリやカメラの起動も早い。Skypeを使って日本と会話することもあるがほとんどストレスを感じることがない。指紋で認証ができるのでパスワードを入れる必要なく使い始めることができるのも高ポイント。
搭載カメラについては人の動きをとらえることは難しいが、日常的な静止画を撮影するくらいであれば十分に使える。
<機能>セキュリティチェックや余計なキャッシュのクリーニング、内部ストレージにインストールしているアプリをSDカードに移してくれる機能などプレインストールされているアプリもよくできている。
写真を撮ったり、アプリをインストールしていくと内部ストレージ(32GB)では足りなくなるのだが、SDカードを外部ストレージとして使用できるのと、写真などはSkyDriveやGoogleなどクラウドのストレージを使えば、 内部ストレージの残量を気にする必要はなくなる。
使ってみてダメだったら買い替えようというくらいの気持ちで買ってみたが、4か月使ってみて、もはや手放せないスマホとなっている。
日本の市場だけを見ていては気づきにくい市場の変化2016年時点で携帯電話ユーザーのうちスマートフォンの使用率が71%を超えたマレーシアだが、その理由の1つにはマレーシア国民のニーズをとらえたvivoやOppoのような中国系新興メーカーの躍進がある。
性能がよく、手ごろな価格帯の製品を市場に持ち込み、大量の広告宣伝と大量の実店舗展開で急速にシェアを拡大していくのが今のvivoやOppoの基本戦略だろう。都心部だけではなく、身近なショッピングモールにもvivoの実店舗ができていて、気軽に立ち寄って使い心地を試すことができる。
このような新興中国系メーカーにとって、プレイヤーが多く複雑な日本市場は後回しなので、日本の市場だけを見ていては気づきにくい市場の変化だ。マレーシア国民の中華系比率は約25%だが、スマホのような新しい市場で実質的にビジネスを動かしている比率はマレー系を上回っているとみられる。多店舗展開をする場合や口コミ効果など中華系の人脈を最大限に活かした展開を行っているのだろう。気が付いた時には街中に中国ブランドが並んでいるということになる。
現在、新興国で勢いづいているvivoやOppoがどのように製品、価格、プロモーション、売り場づくりなどのマーケティング戦略を立てて、シェアを獲得しているのか。チャレンジャーとなる日本メーカーにとって重要なケーススタディになることだろう。