世界各国での日本食レストランの増加、米国での健康ブーム、スターバックスで抹茶ラテの販売などにより、世界的に緑茶の取引量が増加している。ここマレーシアでも2012年以降、日本からの緑茶の輸出が年平均成長率約30%で増加しており、2015年には日本の緑茶の輸出国として世界第8位に躍り出た。
キットカットはマレーシアでも大人気商品。日本限定で発売されていた抹茶味のキットカットをお土産に買って来れば、マレーシアの人々は喜んでくれたものだ。2015年、この人気に目を付けたネスレはマレーシアでも抹茶味のキットカット「Kit Kat Green Tea」を発売。「Kit Kat Green Tea」はイスラム教徒も安心のハラルマークを取得して、スーパーマーケットの棚を埋めつくすほどの定番商品となっている。間違っても今頃、日本からのお土産としてマレーシアに持ち込まないようにご注意願いたい。
マレーシアに”MATCHA”が定着抹茶味のキットカットが火付け役となったのかどうか定かではないが、コンビニやスーパーマーケットで販売されているお菓子やスイーツにも抹茶味が増加。マレーシアローカル雑誌の特集なども組まれ抹茶スイーツの人気を後押ししていて、もはや“MATCHA”はマレーシアの人々の間で普通に使われる言葉となった。この時流にのって、日本から本物志向のお店も続々と進出中だ。
本格的な抹茶スイーツがマレーシアに進出真上から日光が降り注ぐマレーシアの昼下がり、汗をぬぐいながら「Tea Press」に入店。テーブルの上にちょこんと置かれた「新茶入荷しました」の文字をみて、すがすがしい5月の静岡の茶畑を思い出した。この店に入るとマレーシアの外気とは違う空気が流れている気がするから不思議だ。
「Tea Press」がマレーシアに進出した2015年には、他にも「Matcha HERO Kyoto(抹茶英雄)」、「Tsujiri (辻利)」など日本から本物志向のお店が続々進出。マレーシアにいるとは思えないクオリティの抹茶スイーツを味わえる状況となっている。
世界に飛び出す抹茶(Matcha)、課題はあるのか世界に飛び出したMATCHA。美味しいだけではなく、健康にもよいというイメージができつつある。マレーシアのMATCHAサイトでは抹茶の楽しみ方や健康メリットなど詳細情報を英語で発信していて抹茶人気を情報面から支えている。
しかし、人気が出てくると様々な類似商品が出やすくなることが懸念される。「MATCHA」といっても産地や品質、製造方法など標準化されたルールがあるわけではない。日本国内でも「抹茶」の定義はあいまいだ。国際標準化機構(ISO)との協議も始まっているようだが、低品質なMATCHAが流通しないように国際的な取引ルールが必要になるだろう。
ドリンク、お菓子、スイーツだけではなく、様々な料理や健康食品にも応用できる大きな可能性をもつ「MATCHA」。日本人が長い時間をかけて築いてきた価値を損ねることなく世界に羽ばたいてほしい。
<もっと知りたい方におススメの本>
宇治抹茶問屋4代目が教える お抹茶のすべて: 歴史・種類・おいしい点て方、上手な選び方からスイーツレシピまで
Issued by 「マレーシア ソーシャルナビ 2016」