NO1651　原発は危険なもの（43）

　26日（火）福島原発事故を受けて、全国の原発の非常用電源の点検が行われているが、柏崎・刈羽を除く原発は冷却機能を安定的に維持するには不十分だと判明したと。柏崎にしても今回急遽整備したもので、今までの「安全宣言」は何だったのだろうか。

　先日日本の被災地を訪問して帰国した豪州のギラード首相は「原発建設の選択肢はない。代替エネルギーが無限にある」と。最大のウラン輸出国の首相の言葉である。賢い選択ではないか。韓国でも脱原発の運動が高まってきた。あの国に21基もあること自体が脅威だ。

　北が狙う危険は？韓国で一番古い原発がプサンにある古里原発。運転開始から33年、韓国でも寿命を延ばす措置が取られた。この原発周辺で廃炉を訴える集会やデモが起き、運転停止の仮処分を求める裁判が起こされた。原発増設にも厳しい声が上がり始めた。

　ロシアでは政府の推進政策にも関わらず、世論調査で85％の国民が「命と健康への脅威」と答えたという。アメリカでもオバマ政権の原発推進の方針に対して反対運動は広がる一方だという。事故の当事国である日本人の48％が「現状維持」に手を挙げた人々へ。

　物理学者で技術評論家の桜井淳氏（反原発論者ではない）は国内の原発で過去33年間に発生した事故や故障約500件の分析に基づき、「特に最近10年間の事故は、材料の劣化や設計上の欠陥が原因のほとんどだ」と老朽化によるトラブルが多いことを指摘している。

　氏によれば「日本の原発はアメリカの原発を手本にしてスタートしたが、そのアメリカの原発（マーク1）は大部分が停止し、日本は米国を参考にできなくなっている」例えば「米国のメーカーは中性子が当たった時の影響などを十分に理解して設計されていない」

　今一番危険視されている美浜原発も福島1号機同様アメリカの古い型だが「美浜3号機（35年）であれほど減肉が進むとは、専門家でさえ思っていなかったはずだ」さらに「老朽化による影響は予測が難しく、検査していない部分の減肉や亀裂は想定以上でありうる」

　こうした専門家の意見を政府や電力会社は今まで見て見ぬふりをしてきた。現に桜井氏は「私は従来、運転開始後20年を目安に定期検査にない項目を検査対象に含め、安全側に立った対策を提案してきた。今回の事故も、20年で検査をしていれば防げたはずだ」と。

　氏は電力会社も経産省も「日本の原発技術は優秀だ」という錯覚に陥っている。京都大原子炉実験所の小出裕章氏も「原発は老朽化し、人間はミスをするもの。原発の事故は重大な結果を引き起こすのだから、老朽化した原発は早く止めたほうがいい」と主張。