ジミー(ウサオの甥っ子)が彼女を連れて我が家に来たのは今から1ヶ月半程前のことだった。
ウサオは白人にしては小柄だが、ジミーは身長が190cm近くあり、細身で顔も悪くない。今までに何人か彼女はいたようだが、家に連れてきて私にまで紹介したいというのは初めてだった。それだけ彼にとって真剣なつきあいなのだろう。
私の感覚だとは恋人を家族に会わせるのは少し特別な意味合いを持つ(結婚を意識している)せいか、まさかあのジミーが結婚か!と少し驚いたが、ウサオに言わせるとこちらでは恋人を家族に紹介するのはよくあることで、必ずしも結婚を意識しているわけではないとのこと。
実を言うと私はジミーが苦手である。悪い子ではないと思うが、私にとって???なところがたくさんあり一緒にいると疲れてしまうのだ。ジミーの生い立ちはかなり複雑で、7歳でウサオの妹である母親を亡くしてからウサオに引き取られて成長した。ジミーの少年期から思春期にかけては保護者であるウサオも私生活でいろいろあったので、ジミーの人格形成にいろいろ影響があったのは想像に難くなく、その点は同情をしているものの、血のつながりもないせいかどうしても彼の言動や行動を他人の目で見てしまい受け入れることができない。高校卒業後に家を出たジミーと一緒に暮らしてはいないが、一度だけ諸事情があり数ヶ月同居をしたことがあったのだが、その数ヶ月だけで私はストレスが溜まり円形脱毛症になってしまった。
ウサオによるとジミーの複雑な性格は人付き合いにも影響しており、人間関係でトラブルを起こすことも多いらしい。(ジミーと暮らしてその言動や行動を見ていた私には、そうなるのも無理はないよなと思うし申し訳ないがあまり同情できなかったりする)そんなジミーが彼女を連れてきたのだ。ウサオ経由で聞いたところによると、つきあって数ヶ月は経っているらしい。(私が知る限り最長記録である。)
ジミーの彼女、キャシーは長身のジミーと並んでも引けを取らないくらいすらっとした美人だった。人当たりもよく落ち着いていて、私のつたない英語にも一生懸命耳を傾けてくれる。
キャシーをもてなすために、ウサオは朝から張り切って準備し、レストランで出すような食事を出した。食物アレルギーの多いキャシーのために慎重に食材を選び、全て手作りの食事によるもてなしは彼女をとても感激させたようだ。
キャシーはとても素敵な人だった。そしてキャシーを見つめるジミーはとても幸せそうだった。だが仲むつまじい二人を目の前に見ているにも関わらず、私はこのつきあいは長続きしないだろうなと感じていた。
ジミーから電話が来たのは、それから数週間後だった。
続く・・・
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