今朝、良い猫が虹の橋へ旅立った。
私達が帰ってくるまで待っていてくれた良い猫だったが、BoxingDayだった昨日は体を支えるのが精一杯になっていた。食事もせず、水も飲まない。トイレを使った様子もない。
昨日は良い猫の鳴き方が変わっていた。それまではおゎあ、おゎあとどちらかというとうるさいものだったが、それがなぁ、なぁとまるで子猫が母猫を求めているような小さなものになった。ウサオはそんな良い猫を抱き上げると
もうすぐ、キングや悪い猫に会えるよ。
と声をかけた。良い猫の体が限界に来ていた。左側が麻痺していた良い猫は左目が開かなくなっていたが、今は開きっぱなしになってしまった。寝ていても左目はずっと開いたままだ。もう体を動かすのもままならないのに、私達の気配を感じると良い猫はなんとか私達のいる場所へ来ようとし、それができないとなぁ、なぁと呼ぶ。 ウサオは明日良い猫をクリニックに連れていくと私に告げた。悪い猫の時は最後まで拒否していたが、今回は頷くしかなかった。寝る時間になり、私たちが良い猫をお気に入りの毛布の上に横たえて体を撫でるとなぁ、なぁと鳴いた。私達がベッドに入っても時折なぁ、なぁと鳴くのが聞こえてきたがやがて静かになった。
そして今朝、良い猫は冷たくなっていた。良い猫の左目を見るとずっと開きっぱなしだった左目が閉じていて、まるで眠っているようだった。気配に敏感な良い猫は近づくとすぐに目を開けてにゃあと鳴いたが、もうその目が開くことはないのだ。良い猫の亡骸を見ても不思議と涙は出なかった。ウサオは良い猫を火葬してもらうためにクリニックに連れて行った。
ウサオが出かけてから私は良い猫が使っていた毛布や食器を片付け始めた。何かしていないといたたまれななかったからだ。そしてお気に入りだった毛布に良い猫のふわふわした毛が残っているのを見つけた時、堰が切れたように涙があふれてきた。
さようなら、良い猫
(よろしければクリックお願いします)