日本(あるいはヨーロッパ)の大学と異なり、筆者の通うアメリカ大学院博士課程の修了には平均で6年もかかっています。
理由の1つとして、研究グループと産業界との深いつながりが挙げられます。
研究グループはスポンサー会社からの資金で運営されているので、資金を集め続けるためには、高レベルの研究成果を出し続ける必要があります。
産業界は、研究グループに資金(といっても会社にとっては小額)を提供することで、長期的に役立つ可能性のある研究成果をキャッチアップし、優秀な学生のリクルートを優位に行うことができると認識しています。
ただし、研究レベルが下がり、スポンサー会社から見放されると大学は学生を「雇う」ことができなくなり、研究グループも尻つぼみになってしまいます。より民間会社的といえそうです。
通常、大学院生はいきなりハイレベルの研究を実施する力はありませんから、授業で修行を積み、Qualifying Examに係る研究を実施する過程でレベルアップしていきます。
ハイレベルとなった学生が早く卒業してしまうと、大学における研究レベルが上がりにくいので、大学側が学生を早く卒業させる動機を持ちにくいのです。
一方、学生は生活に困らない程度の給料が得られますから、必ずしも早く卒業する必要はありません。
また、学生はスポンサー会議、学会、論文投稿などで産業界・研究分野に知られていくことで、条件のよい就職も可能となります。
スケジュール管理は学生自身に委ねられますので、早く卒業する必要がある学生は、強い意志を持ち続ける必要があります。所望の期間で卒業できるかどうかは、研究結果、担当教授、Committee Memberに依存します。
こうして、平均6年かける成果がスタンダードとなり、それを早めるのは至難の業となります。
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