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研究課題の選択における2つの方向性

今回は大学院研究における最重要項目の1つ、研究課題の選択について触れたいと思います。

通常、大学院生は指導教官の助言を参考にしながら主体的に研究課題を決めます。研究課題の選択の仕方において2つの方向性あります。

1つは、科学をベースとするもの。研究者はいままでの科学で解明されなかった問題に対して取り組みます。必然的に課題選択は過去の研究成果のレビューに基づきます。

主に国の機関、例えばNational Science Foundation が資金提供を担いますが、以外と世界の民間資源会社もこうした研究にお金を出します。

この種の研究は短・中期的に何かに役立つことは期待されませんが、例えば10%の研究が何らかの形で数十年後役立つ可能性がある。その期待が資金提供の動機になります。

もう1つは、産業界で直面している問題をベースとするもの。ビジネスが研究課題選択に大きく関わる。比較的短-中期的、例えば5-10年後の貢献に資するものですが、加えて新規性が伴う必要があります。

例えばメキシコ湾石油開発において○○という問題があるからそれを解決すべく△△という研究課題にとりくむ。△△は過去の研究にてカバーされていないというものです。

この種の研究のメリットは、ニーズに基づく課題選択ができることであり、産業界との関係も深くなります。

どちらのタイプの研究を志望するかは人それぞれであり、筆者の通うアメリカ大学院ではそれぞれを志向する教授、学生が混在しています。

重要なのは、この多様性と思います。研究課題の多様化によって、スポンサーも多様化させることができます。



余談ですが、日本の科学者満足度は主要国で最下位とのことです。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100624k0000m040127000c.html
http://www.nature.com/naturejobs/2010/100624/pdf/nj7301-11

私見では、これ、科学者の資金源を国に偏りすぎていることが一因ではないかと思います。そしてその資金(あるいはポスト)は科学者の数に対して少ない。

国は予算を減らす必要があるため、研究予算削減がしばしば話題になる。科学者の環境はそれに伴い悪化する。

これを憂えたり批判しても仕方ない。科学者自身でできることを考えた方が建設的です。各々の研究が如何に社会・経済発展に貢献するかをアピールし、その実績を積み上げていくことが必要なのかと思います。

加えて産業にとって魅力的な研究を増加させることで、資金源を多様化させ、産業との関係強化を行い、科学者がより強く産業に関わってはと思います。



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