昔から「目を覚ましていなさい」という言葉は、一方では一生懸命良い行いをし、人々から尊敬され感心してもらうことだと理解されてきました。他方では、泥棒が忍び込んでくるのではないか、だから、夜も眠らず目を覚ましていると信じる滑稽な一家のあるじの姿という解釈もされました。「目を覚ましていなさい」というフレーズには一晩中という表現がついています。一晩中目を覚ましていなさいとは、比喩です。それは言い換えれば「一生涯変わらずに一つの姿勢を貫く」という意味に受けとめることができます。たとえ周りからも、ひいては世界中かも笑われても信念によって貫き通す方針のようなものです。立場を崩さない人の姿です。「目を覚ましている」、それは、なにかを信頼し、心を開き、約束をしっかり保ち、喜びの日がやって来るのだ、ということを確信する態度のことです。原理、原則を大切にすることの重要さが政治の世界でもわれます。国の方針がぐらつくと国民は大いに不安になります。立場を安易に崩さないリーダーが求められています。状況が変わったので、方針を変えるということをしばしば聞きます。総理大臣がころころ替わったり、マニフェストが朝令暮改では困るのです。「目を覚ましていなさい」とは、わたしたちの指導者であり市井の国民のあるべき姿のことです。困難があっても、苦しみが襲っても、それに向き合うことです。一人一人に責任がある、目を覚ましていることなのです。 続きを読む