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阪神大震災を振り返る(6)

 
 
間もなく 2月になろうというのに まだ振り返っています。
阪神大震災。
 
 
こんなに真面目に 震災のことを振り返ったのは あの日以来、
はじめてかも  しれません。
記憶が 完全に薄れる前に こうして 記事にまとめておく機会ができ 
また それを 読んでくださる方々と 共有することができるのは 
とても 恵まれたことだと思います。
 
 
 
インターネットと ブログの力に感謝します。
 
 
 
 
でも これで 最終回。
 
 
まだ 言い足りないことがある気もしますが とりあえず月末ですし 
最後は せっかく(?)ですので 災害時に度々 耳にする 
世間の マスコミ批判に わたしなりに 応えてみたいと思います。
 
 
 
その前に 神戸には ベトナムからのボートピープルを 
受け入れる施設が 近隣にあったことから 
多くのベトナム人が 暮らしていたことを ご存知でしょうか?
 
 
 
被害が大きかった長田区や 神戸市の中心街では 
小さな町工場や 商店で働くベトナム人が 数多く 被災しました。
 
 
 
ほとんどの人は 日本語が 話せません。
 
 
 
そして 驚くことに ベトナムには 地震がないことから 
ベトナム語には 「地震」 という単語が ないというのです。
 
 
 
我々が そのことを知ったのは 地震から 数日たった日のことでした。
多くの被災者が 避難所に避難しているというのに 
住宅街の小さな児童公園で テント生活を送っている
ベトナム人の家族に 出会ったのです。
 
 
 
地震という言葉が母国語にないぐらいですから 
地震が 一体 どういうもかも 知りません。
しかも 関西は あの日まで 
地震が ほとんどない地域と 考えられていました。
 
 
人生で 初めて経験した 未曾有の大地震。
 
 
日本人が驚いたのですから 
ベトナムの方々は どれだけ 驚いたことでしょう。
 
 
幸い 命からがら 逃げ出してきたものの その後 彼らを襲ったのは 
「 情報過疎 」という 二次災害でした。
 
 
 
避難所が どこにあるのか わからない。
炊き出しの 場所が 分からない。
被災者を救済するための さまざまな行政からの情報が 伝わらない。
 
 
 
近くの避難所に行けば 飲み水や 食事の配給もあったのに 
何も知らない彼らは ベトナム人ネットワークだけを頼りに 
なんでもない公園で 野宿生活をしていたのです。
 
 
 
災害が起こった時 もっとも大切なのは 救命です。
そして その次に 重要なのが わたしは 情報だと思うのです。
 
 
 
どんな災害現場でも そうですが 被災のストレスと やり場のない怒りを
マスコミに ぶつけてくる人は たくさんいます。
 
 
 
阪神大震災でも 閉じ込められている人を 助けようと 
必死で 瓦礫の山を取り除いている最中に 
上空を マスコミや 自衛隊のヘリコプターが 飛び回っていたことを 
批判する人は たくさんいました。
 
 
 
今は亡き 筑紫哲也さんが 担当のニュース番組で 
空からの 被災地の映像を見て あちこちから煙が立ち上る様子を 
「 まるで温泉街のよう 」と口走ってしまったのも 
火に油を 注いだかもしれません。
 
 
 
私自身 神戸を取材したり 現場から中継を出していて 
「 これで いいのだろうか? 」と 思い悩む瞬間は ありました。
 
 
 
しかし その後も 現場に関わり続けて 確かに 感じたことがあります。
それは 被災者が 必要としているのは「情報」であるということでした。
 
 
 
災害発生の 第一報は 
全国から 救援・救助を 呼び寄せるためにも 絶対に必要でした。
 
 
 
災害の規模、災害の現場の状況、被災者が求めているもの。
 
 
 
マスコミの職員であるわたしたちは 家族も顧みず 現場に駆けつけ 
そうした情報を できる限り 発信し続けました。
 
 
 
当時の首相は 村山さん。
政府としての対応の遅さは 当時 かなり批判を受けましたが 
村山首相は たまたま早起きしてテレビを見ていて 
現場の様子を知りました。
 
 
都市機能が麻痺している中で 神戸市の職員から 直接 中央政府に
情報を伝えることは 当初は 不可能だったのです。
したがって マスコミの情報だけが 政府の判断材料でした。
 
 
最終的な決断が下りるまでの遅さは 当時も 相当 批判されましたが 
それらの情報に即して 災害対策本部が設けられ 
政府としての対応が始まり のちには 自衛隊の派遣が決まったのです。
 
 
 
また 神戸の惨状を知った近隣の府県の病院は 
さっそく 受け入れ体制を 固めました。
 
 
神戸に 親類や家族が住む人々は 安否を知ろうと 
一斉に 電話を掛けました。
 
 
 
残念だったのは 震災直後は 電気がなかったり 現場が混乱していて 
肝心の被災者に 必要な情報が 届かなかったことです。
 
 
 
しかし 多くの人が避難する体育館で 中継を出すことで 
画面の隅に映る 米粒大の映像を見て
「 連絡がとれなかった家族が 映っていた」と 
再会を 果たした人たちが いました。
 
 
教育テレビでは 一日中 安否情報を流し続けましたし、
報道がきっかけで 連絡を取り合うことができた人々が 
たくさんいたのです。
 
 
 
また 震災があった年は 日本のボランティア元年とも言われています。
 
 
 
あの映像を見て 多くの人が 何か 自分にできることはないかと 
神戸に 駆け付けました。
 
 
 
わが身を顧みず 被災地に駆け付けた 多くの人々の善意に 
どれだけの被災者が 助けられ 勇気づけられたことでしょう。
 
 
 
東京では 震災の直後に 
地下鉄サリン事件という大きな惨劇が起きたことから 
震災後半年もすると 多くの人が 神戸の惨状を忘れていました。
 
 
 
しかし マスコミはその後も 復興の難しさや 
生活の再建の壁にぶつかる 被災者の姿を伝えることで 
倒壊住宅のローン減免や 被災者に対する減税、
義援金の配布、住宅再建に関する建築基準法の緩和など 
さまざまな施策に 貢献してきたと 思います。
 
 
 
被災地の中心にいると 自分がどういう状況にあるのか 
意外と わからないものです。
 
 
避難所に設置されたテレビの前には 
多くの被災者が 情報を求めて 釘づけになっていたのを 思い出します。
 
 
 
マスコミといっても そこで働く人々は それぞれです。
個別の対応で 被災者の中で 
不愉快な思いをされた方が いるかもしれません。
 
 
しかし この未曾有の災害を 報道しなければよかったという判断は 
ありえないのでは ないでしょうか。
なぜなら 情報は 被災者を救い 
そして 歴史として記録されることで 
将来の防災に 確実に役立っていると 思うからです。
 
 
ヘリコプターだったから 神経に触るんだという人もいるでしょう。
 
 
空撮は 広範囲の情報を知るには 最も 有効な手段です。
しかも ヘリコプターに乗る取材で 
命を落とした ジャーナリストは 数知れません。
乗る方も 命がけなのです。
 
 
被災地は 公共の交通手段はもとより 道路は寸断され
隣の大阪府からも 陸路では 数時間かかるという混乱ぶりでした。
 
迅速かつ 正確な被災地の現状を伝えるために 
ヘリコプターは なくてはならない手段だったのです。
 
 
 
 
人は 高いところから 地上を見ると 臨場感を失います。
 
 
 
 
 
ニューヨークの高層住宅街で発生した 強盗傷害事件でも 
路上で 女性が刃物で襲われていて 助けを求めているのに 
高層階の窓が開くばかりで 
たくさんの人が 目撃していたにも関わらず 
誰も 地上に降りて 実際に 女性を助けることはなかったそうです。
 
 
 
“高みの見物”になってしまうのですね。
 
 
 
 
ただし 高みの見物とは その現場や 映像を見た人が 
第三者として 事の成り行きを傍観することです。
 
 
 
わたしは 実際に ヘリコプターに乗って 神戸の惨状を見た人間が
高みの見物をしたとは 思いません。
むしろ 自分が地上で 点としてしか見えなかった風景が 面になり
事の重大さに 身震いしたことでしょう。
 
 
 
その一方で テレビの映像を見て こんな風に思った人もいたでしょう。
 
 
 
 
 
“まぁ こんな大変な時に ヘリコプターで 空から撮影なんかして!”
 
 
 
 
同じ映像を見て すぐに神戸に駆け付けた人、
神戸のために 何かできることはないかと動き始めた人がいる一方で 
ソファに座って テレビを見ながら 
マスコミ批判に 終わってしまった人がいる。
 
 
 
あの日、多くの被災者は 神戸から脱出しようと 
車で 徒歩で 街から 流れ出ていました。
 
 
 
その波に逆流して 神戸に駆け付けた人々を 
誰が 批判することができるでしょうか?
 
 
 
自分の中だけで完結する思いやりほど 
欺瞞に満ちたものはないと わたしは思います。
 
 
 
remember and never forget.
 
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