いろいろな会合に行きますと偉いさん方が並びます。誰をどこに並ばせるのかをおつきの者が神経を使うのだろう、などとくだらないことを考える瞬間です。G20などの国際会議では並ぶ位置によってその国の影響力がわかるのはもっと面白いことです。年長者が最も大切にされるのは理解できるのですが、どこの国に行っても序列があるのは面白い現象です。共通の文化ですね。並ぶことに見慣れる光景は通勤電車です。実に整然と並んで待ちます。そのままの順序で電車に乗れると思いきや、脱兎のごとく後から席をめがけて小走りする客がときどきいます。こういう人は大抵は中年以降の人です。席に座ると下を向いてしまいます。目を合わせるのをためらうようです。実に嘆かわしい姿です。その点、郵便局などでは礼儀正しいですね。順序や序列には別な見方があります。ある時、ぶどう園の主人が労働者を雇うときに、1日1デナリという契約を結びました。1デナリは5,000円くらいとされています。主人は、9時、12時、15時というように、暇にしている人を見つけては彼らをブドウ園で働かせました。夕方になって賃金を払う時、最後に農園へ来た者から順々に均等に賃金を払ったのです。これを見ていた先に来た労働者は不満を漏らしました。主人はいいます。「いい加減に支払ったわけでも、差別をしたわけでもない。後から来た労働者は遅れを取った分を取り戻そうと、短い時間の中で一生懸命働き、それ相応の仕事をしたのだ。」「後の者は先になり、先の者は後になる」という人知では計り知れないことばは今に通じるでしょうか。 続きを読む