ある人が主人に対して「私は多くのものを寄付し、良い行いをしてきました」といって主人からお誉めのことばを期待しました。すると主人は、「あそこにいる女は、自分のもっている僅かなものをすべて差し出した」といって、やんわりと諭します。人の行為は大小とか目に見える行いでははかれないということです。「小さな親切運動」ということばがあります。誰でもできること、一日一善をしませんか、という運動です。 日常生活の中での善意を広めることです。それは決して人に情けをかけることだけではありません。電車の中でお年寄りに席を譲り、「ああ、今日は良い功徳をした、、」といって、それを記録する人はいませんね。すぐ忘れること、それが善意なのでしょう。世の中では、大きいこと、目立つことが良いことだと考えられがちです。それは間違いです。差し出す心、それが時間であれ、お金であれ、労力であれ僅かばかりという思いが「小さな親切運動」の原点です。あなたもわたしも持っている「小さいもの」、「僅かなもの」、この限られたタレントを捧げるだけで十分なのだ、というのが主人の言わんとしたことなのです。 続きを読む