焼き物やガラス陶器は贈り物として喜ばれます。どこの国の人にも感謝されるものが「器」です。ところで、器という言葉は人々の才能とか能力、ひいてはその人自身のことを言い表す言葉としても使われます。「あの人は器が大きい」とか、「この人は器が小さい」とかいうような言い方です。わたしたち人間は土の器であって、そこには、意識されなくともなにか大事なものを盛られているのだと考えるのはいかがでしょうか。器が大きいとか小さいとか、使いやすいとか使いにくいということは、他人の勝手な見方です。器が奇麗だとかありふれているとかそういうことでもありません。人という器には値が付けられません。ただ、わたしたちはそれぞれ土の器であって、形が大きくても小さくても相応の役割を与えられているのです。そこに宝物のようななにか大事なものを盛っていて、器として輝いているのです。残念なことにそのことを私たち自身がまだ知らないだけのことです。小鉢は小鉢だからいいのです。小鉢にしか入れられないものがあるのです。一体わたしという器にはなにが盛りつけられているのだろうかと考えてしまいます。器の中になにも盛りつけていなかったらもったいないことです。たとえ、ひびがはいっていても、傷ついても、なにかを入れて使うことこそが、自分自身の器の使い方、使われ方だと考えるのはどうでしょうか。この小さな器をどのように使っているのか。それをわたしたちは問いかけられています。 続きを読む