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なぜ子供を現地校に通わせるのか?
現在 NYの公立学校の中には 日本人が学内に100人以上、
場所によっては クラスの3分の1が日本人という所があります。
そうした学校での 日本人の評判は けっして よくありません。
まず 親子とも まったく英語が話せない状態で いきなり飛び込んできます。
( ほかの民族の子は たいていアメリカ生まれなので 小学校入学までには
ある程度の英語が できる状態になっています )
最初は 英語がわからないストレスで だいたいどんな子でも 泣いたり 暴れたり
何らかのトラブルを起こします。 担任は すぐに親に連絡しますが 肝心の親が
電話を取らなかったり ( 英語がわからないからと いつも留守電にしている人は多い)
事情を説明しても 英語が聞き取れず 「?」で 会話が成立しません。
直接 会って話せば何とかなるかと思ったら 「ソーリー ソーリー」の 一点張り。
元から問題のある子なのか 何か障害でも抱えているのか、それともストレスなのか。
対策をとりたくても その子を一番知っているはずの親と まともな話し合いが
できないのですから 教師としても 不安が募ります。
学期末の面談も ほとんど英語が聞き取れない状態で 母親が一人でやってきます。
わかったふりをして「フン、フン」と聞いていても ほとんど理解していないのは
教師には すぐにわかります。 質問しても「フン、フン」と一本調子で 相槌を打っているからです。
英語が苦手なお母さんは 大変だと思いますが やはり親とコミュニケーションが取れないのは
学校にとっては 大きなストレスです。
一方 子供たちについては 学校に慣れ、英語がわかるようになるために
学校側は多大な労力と ESL(英語補習プログラム)の費用を割いています。
ところが そんな日本人の子供たちも 各地で物議を醸しています。
ある学校では 日本人の生徒が まるで不良グループのように固まり
学校のランチルームで大声で騒いだり
廊下を 我が物顔で 横一列に広がって歩いたり
授業中でも 日本語での私語が多く 先生方が 頭を痛めています。
マナーの悪さもさることながら 現地校に入学してきたのに
まったくアメリカ人や その他の人種の同級生と関わろうとしない、
何年たっても 日本人ばかりで 固まり
学内でも平気で日本語を話し続ける態度も 問題視されています。
確かに 子供といっても 小学校高学年以上でアメリカに来たお子さんが
英語を体得するのは そう簡単ではありません。
友達作りは 日本でも 難しい年頃です。
ましてや 日本での友人関係を断ち切られ 親の都合でアメリカに連れてこられたのですから
不満もあるでしょう。 しかし 最大の問題は これです。
「 どうせ私は、僕は、日本の学校を受験するんだから 関係ない 」
親にも子にも蔓延するこの思いは 駐在家族の態度の端々に 如実に表れています。
父親は仕事が忙しいと 現地校のイベントには一切顔を出しません。
日本では 学校にお父さんが来ないのは 普通かもしれませんが
アメリカでは 異様な光景です。
アメリカ人のお父さんは しょっちゅう送迎に来ますし、
クラスに来て授業をしたり 遠足に付き添うのが ごく一般的です。
お母さんたちとの井戸端会議にも しっかり参加します。
これは ウォール街の第一線で働くお父さんたちでも 例外ではありません。
学校に来ないお父さんは 存在しないか 教育に興味がないか、
地域とのつながりを拒否していると見なされます。
また、現地校では 日本の文化を紹介する授業を頼まれたり、
地域のイベントに 日本人として参加する機会があります。
しかし お母さんの中には こうした行事を 公然と嫌がる人がいます。
「忙しい」 「受験の準備がある」
「おけいこの方に時間を割きたい」 「テニスの試合がある」
「国際交流なんてしても 仕方がない」
「そんな事にうつつを抜かすよりも
帰ってからの子供の進路を 考えてあげるのが母親の役目です」、
と 言い切る人もいます。
アメリカ人なんかと 遊んでいる場合じゃないでしょ。
夏休みは塾の特訓だからね。
模試の点数 下がっているけど どうなってんの?
小学校低学年の子供たちでも 「英検」「漢検」の受験対策に余念がありません。
挙句の果てに現地校の宿題は親がやって かわりに子供は塾の宿題をやったり、
ついには 現地校の授業中に塾の宿題を 堂々とする子まで出てきました。
このような態度は 学校の先生の態度にも 影響を与えています。
日本人の生徒に対しては 拒否はしないが そんなに労力も割かない。
「 どうせ 数年で帰るのだから 熱心に指導しても仕方がない 」
クラスに迷惑をかけないのなら 勝手にやってくれと思っている。
「どうせ 英会話を習いに来ているだけだ」
そのくせ 親は つたない英語で メールを使って 文句ばかり言ってくる。
「 もっと うちの子の面倒を見てくれ 」 「 こんな成績じゃ 受験に響く 」
たかが数年の滞在で 厚かましいというのが 教師の本音でしょう。
そもそも 日本人駐在員家庭の多くは
NYの公立学校について 勘違いしていると思うのです。
日本の公立学校と 同じニュアンスで 考えているのではないでしょうか。
本当は NYの学校が 公立というのは名ばかりで
実際には 日本でいうところの「私立学校」に非常に近いのです。
一応、学区はあります。
しかし そこは ある一定の経済レベルに達した人しか 住めない地域であり、
その土地に合うカラーの人種、宗教、職業、理念や思想の持ち主が
集まることになっています。
家の大きさや価格帯が 地区によってだいたい決まっていて、
家を売買するときは 持ち主が 買主を慎重に吟味します。
だから NY郊外の学区は 金持ちのユダヤ人が中心で 黒人はほとんどいません。
地域では教育税という 学校のための税金が課され、
NYの場合 それは とんでもなく高額です。
つまり授業料はタダといっても
実際には たいへんな額の教育税を払える人でないと その学区に住めないし
それが 実質の「授業料」になっているわけです。
その甲斐あってか? NY郊外の学校のレベルは 全米でもトップクラスです。
住民たちは 教育熱心な家庭が多いし、親も高学歴。そして そんな親たちが
学校にかける情熱は 半端ではありません。
親は学校の活動によく参加するし 父親もよく学校に来ます。
より良い教材や教育法を PTAが 先生たち以上に 熱心にリサーチしています。
親が学校に来て 授業をする機会が 定期的に設けられていて
親も授業の一端を担っています。 親の個人的なツテを頼って 有名作家を招待し
特別授業をしてもらったこともありました。
このように学校と親の協力関係は とても密接で
親は学校の下働きをしていればいいという考え方の日本とは 全然違います。
地域の親たちが 直接 学校活動に参加し 一緒に教育を作り上げているのです。
もちろん 経済的な援助も惜しみません。
しょっちゅう寄付金が集められ、
全米でも 限られた数の学校しか購入できない 高額教材をたくさん持っています。
校庭の遊具や 体育館を新しく建替えたいと学校が言えば
たちまち数万ドルのお金が集まります。
そんな 地域住民が作り上げてきた「私たちの学校」に
日本人が 本当は個人で住めるほどの財力もないのに
会社の家賃補助で底上げしてもらい 乱入してくるのです。
受験に関係ないからと 学校の授業を軽視し、
英語が苦手だからと 親子でアメリカ人を無視し、
忙しいからと ボランティアを渋り、
公立だから 寄付は嫌だと言うのです。
これでは お互いの関係が 良くなるわけがありません。
せっかく アメリカで暮らしていても 親子とも 何も体験しない に等しいでしょう。
そんな人間が帰国子女を名乗っても 後で自分で自分が恥ずかしくなるだけです。
現地校は 帰国子女受験枠を獲得するための小道具ではありません。
地域のアメリカ人が 汗水流して作り上げてきた モニュメントです。
受験が大事なのは わかります。
いずれは日本に帰る身分なのだから 日本を見ないわけにはいかないでしょう。
しかし そのために 平気で 現地校を利用するだけ利用し
後ろ脚で砂をかけていくような行為は 許されません。
単純に アメリカにさえ来れば 帰国子女枠で いい学校に楽して合格できると
ステップアップを夢見る人がいますが そんなに簡単ではありません。
下手したら もといた学校に戻れないぐらいに学力が低下するでしょう。
日本語という観点で考えれば アメリカに来た時点で落ちる一方なのです。
成績を上げたければ 日本人学校という選択も NYではできます。
私立の日本人学校もあります。
(他の地域では 現地校に行く以外選択肢のない場合もあるでしょう。)
だからこそ 今一度 考えて頂きたいのです。
あなたはなぜ 子供を現地校に行かせたいのか?
子供に 現地校で 何を学び取ってほしいと思っているのか?
帰国後 どういう人間になってほしいのか?
英会話を学びたいなら 親子でそんなに苦労をする必要はありません。
(現地校で アメリカとの関わりを拒否していても 苦労はします)
アメリカで学び 生活することの意味について
渡米前に ご家族で よく話し合ってみてください。
帰国子女≠国際人な今日この頃
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