皆さんご存知のように、スタジオ・ジブリによる零戦を設計することになる天才エンジニア・堀越二郎の半生を描いたアニメ作品です。
本映画はフランスやアメリカなど欧米でも公開されています。
女性の社会進出が当たり前のアメリカ人の目から、この映画はどのように映るのでしょうか。この点については最後に紹介しますね。
二郎の飛行機とその美に対する情熱は、見ていて羨ましいくらいです。我が儘ではなく、悪気はなく単純に没頭してしまうのでしょうね。そして結核と闘いながら二郎を支え、ひっそりと去って行く菜穂子は儚くも美しい。
菜穂子との別れはありましたが、二郎は他人から見れば羨ましいくらいに自分のやりたい人生を歩んだと言えるでしょう。一方で、果たして菜穂子は本当に幸せだったのでしょうか。
一度だけではないのでしょう、「菜穂子さんがかわいそう」と兄・二郎に直訴する妹・加代の姿が眼に焼きつきます。内緒でひとり山の診療所に戻る菜穂子を思いやり、上司・黒川の奥さんが追いかけようとする加代を止めます。
民話、『鶴の恩返し』を思い出しました。
菜穂子は幸せだった、そして二郎は許されたと思っている自分がいます。それが男である私の身勝手な期待でないことを祈りたいところです。日本でも、(特に働く)女性から見た場合にどうなのでしょうね。
ところで、私が感動した日本的な情緒の部分は欧米人にどう映っているのでしょうか。気になって調べてみました。
下記は一例です。少々会話のスピードが速いかも知れませんが、"It is NOT traditional Miyazaki's film"という点をさかんに強調していますね。
案の定、多くの欧米人にとっては冗長で退屈な映画かも知れません。特に日本の歴史的、文化的な理解が十分でない場合は、"super slow"、"don't have a plot"、"super frustrating to get through"となりかねないのは十分分かります(笑) 。
ビデオの中の二人は、それぞれが楽しみ方を見つけながら観ていたようですが、実は苦労していたのではとも推測しています。
ひょっとして、日本でも子どもたちにとっては退屈な映画かも知れませんね。
ただ、彼はあえて海外での評価を気にしないことを「選択」して、「作りたいように作った」のでしょう。 主人公そのもののようです。