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アメリカ人が嫌いな駐在妻(3)

 
今度の舞台は 学校です。
 
 
うちの子供たちの通っていた小学校は スクールバスで通う子と 親が送り迎えする子たちがいた。送り迎え組は 天気が良いと放課後 校庭に残って遊び 親たちは そんな子供たちを 見守りながら ひたすら井戸端会議をするというのが 日課になっていた。
 
 
そして そこは 母親たちの駆け引きが交錯する社交場でもある。
 
 
いろんな人と話をし どんな母親なのか 子供は誰なのか ここで情報を仕入れる。
子供の口から時々出てくる同級生の顔を確認し その親にあいさつをする。 
相手がどんな教育方針の家庭なのか 子供はどんな遊び方をする子なのか お互いに見極め、そして 信頼できそうな相手なら 子供同士が遊ぶ約束を とりつける。
 
 
アメリカの学校では 保護者会やクラス会など 学校が音頭をとって 保護者同士が仲良くなる機会をあまり作ってくれない分 クラスの母親と知り合うのは 自助努力でやらなければならない。それが校庭なのだ。
 
 
ところが 日本人駐在妻たちは この晴れの場で 
知ってか知らずか 自ら 評価を落とすような行動をとっている。
 
 
 
まず 日本人ばかりで固まる。
毎日 同じメンバーで 同じ場所で 集合している。
子供の同級生の親が近くにいてもお構いなしで あいさつもしない。
これが 一番 まずい。
 
 
その上 目立たないように2人か3人ずつのグループに分かれて話せばいいものを、その場にいる6,7人全員で輪になり、ずっと その大きな輪を保とうとする。時には 2~3時間も 大きな円陣を組んだまま 延々と話をしている。
しかも その輪が 通路をふさいでいることに気づかないというオマケつき。
 
 
ほかの人種で こういう事をするグループはいなかった。
中国人はそもそもめったに集まろうとしなかったし、インド人も 毎日 同じ面子で集まる様子はなかった。韓国人は 母親同士で集まるときは 駐車場の車の中で話すぐらい気を使っていた。
 
 
 
どうして 周囲の目線をすごく気にするはずの 日本人の奥さんたちが、
普段はとてもよく気が付いて 他人のシャツのボタンが外れていることまで指摘できる奥さんたちが、なぜ 通路の中央で 大きな円陣を組んで 通行妨害をしていても気づかないのか 私には わからない。
 
 
 
6人の円陣を保つのに必死すぎて その周辺で 迷惑そうに迂回しているアメリカ人の様子は 全然 目に入らなのかもしれない。
 
 
 
 
でも それは まだ いい。
 
 
 
アメリカ人母親たちのヒンシュクを買う行為は ほかにもある。
親が子供を ちゃんとしつけているように見えないという問題だ。
 
 
 
あるとき 日本人の男の子が 長い木の枝を振り回して遊びだした。
アメリカ人の男の子や女の子もよくやるし それ自体は ありふれた光景だ。
 
 
そこで アメリカ人の親は たいてい すっ飛んでいく。
子供のそばに行って なぜ 枝を持つことが良くないのか どんなことが起こりうるのか 子供の目を見て 懇々と説明する。
そして 今すぐ 枝は捨てなさいと 強い口調で命令する。
子供が渋々 棒切れを捨てると 「thank you」という。
アメリカ人の母親は 自分の子供がいう事を聞いてくれた時に お礼を言う。
そして また 井戸端会議に戻る。
 
 
アメリカ人の友人Sの子が 枝を振り回していた時も 
やはりSは 飛んで行って子供に説教していた。
 
 
ひと段落したSに声をかけた。
 
 
「子供たちって ほんと 枝が好きだよね」と わたし。
「あの子の 長いもの好きには 困っているのよ」と 愚痴るS。
「まったく 気が休まらないわ。
よく見ていないと、ほら、周囲の目ってものがあるじゃない?」
 
 
気心の知れたSは そこだけ声を潜めて私に言う。
 
つまり 棒切れなど振り回している子供を 親が 注意せず放っておくと 
周りに何を言われるかわからないということだ。 
 
 
「誰? あの枝を振り回している子」
「危ないじゃない」
「親はどこ?」
「何やっているの? 注意もせずに!」
 
 
 
みんな 本当に よ~く見ている。
 
 
 
例え 子供が 一人で離れたところで 枝で遊んでいて 
すぐに 誰かに危害を加える可能性がなくても 親は すぐに飛んで行く。
何か起こる前に やめさせるのもあるが それだけではない。
その行為は 許されない事だと 子供にちゃんと注意しているという事実を 
ほかの母親たちに アピールしなければならない。つまり 子供の行動以上に 
それに対して 親がどんな対応をしているかが 見られているのだ。
 
 
さっきの 枝を振り回していた 日本人の男の子の場合。
 
 
ホント 嫌なんだけど アメリカ人は アジア人の親子の見分けがつかない。
それに 英語が通じる人に代表して言えばいいやと 思っている。
だから まず 私のところに 苦情が来ることが多い。
 
 
「ねぇ あの子、あなたの子供?」
 
 
「違う」と言っておくけど なんとなく アジア人同士知り合いなんだろうから 
親を知っているのなら 言っておいてよね、という ニュアンス。
そして これがまた けっこうな確率で 日本人なんですよね。
 
 
仕方ない。親はまったく気づいていないので 一応 お母さんに
「太郎君(仮名)が 棒切れを振り回していますけど」と 伝える。
 
 
すると 母親はまず その場から日本語で 叫ぶ。
 
 
 
「太郎~ やめなさ~い」
 
 
 
お互い離れているので かなり大声になる。でも 母親は 6人の輪を離れない。
特に 誰かに危害を加えているわけじゃない。
遠くで勝手にやっているだけなので 緊急性はないと思っているのだ。
 
 
 
これは よくない。
一体 何を言っているのか 本当に注意しているのか 周りのアメリカ人には判断できないし、遠くから大声を出すだけで 行動が伴わない母親というのは あまり良い評価を受けない。これは 日本でも同じだろう。
 
 
 
子供は 相変わらず 棒を振り回し続ける。
 
 
 
「太郎! 
 もう やめなさいったら やめなさいって 言っているでしょ~」
 
 
 
ますます 大きな声で 叫ぶ。
母親は 円陣を崩すことが許されないかのように 動かない。
 
 
校庭に 大音響でこだまする日本語。 棒切れを振り回し続ける男の子。
アメリカ人にとって こんなにうっとうしい光景はない。
 
 
 
誰もが心の中で 
「わかる言葉でしゃべってよ」
「大声で うるさいわね」
「さっさと子供の近くに行って やめさせなさいよ」と思っている。
 
 
 
アメリカでは 子供同士の人間関係は 親とセットになっている。
いくら子供同士が クラスで仲良くなっても その親が 英語が全くできないとか、
何を考えているかわからないとか、どうやら 子供にちゃんとしつけができないと評価されると 相手の親はその子と遊ぶことを許可しない。
 
 
それに こちらだって ちゃんとした家の子と 遊ばせたいではないか。
日本の幼稚園で 必死にママ友を作って 子供同士を遊ばせた あの世界が
アメリカでは 小学校から 下手したら中学、高校まで続くのだ。
 
 
私は 学校に行くたびに もちろん日本人の人たちにもあいさつはするし 世間話をするが とにかく まずは 子供の友達の親と話をするようにした。
一緒に遊んでいる子がいたら 誰だか名前を聞き その子自身とも話す。
そして その子の親がいたら 自分から話しかけ すぐに自己紹介した。
クラスの情報を知りたかったし 何よりも 自分が日本語で楽しい井戸端会議をするよりも 子供が学校に受け入れてもらうための地盤を作るのが 自分の役割だと思っていた。
 
 
ここで 信頼できる親子と判断されれば プレイデートにつながる。子供がクラスで受け入れてもらえる。そういう人間関係の輪を 子供だけでなく 親が広げていかなくてはいけないと 強く思っていた。
 
 
アメリカ人と話して 気の合う人もいたが 別にいつも楽しい会話をしていたわけじゃない。とにかく うちの子とプレイデートしても お宅のお子さんをお預かりしても大丈夫ですよ、私は信頼できますよ、というアピールをするのに 勢力を注いだ。
といっても 何か特別なことをしたわけじゃない。世間話をするだけだ。
要は 顔の見える関係を作っておくということ。
そこで ちゃんとコミュニケーションが取れる人間であること、
それなりの職業を持つ家族で 常識ある対応ができることを 
お互いに会話の中から 探り合うのだ。これは アメリカ人同士でも同じ。
 
 
 
また 目の前で 子供が何か不適切なことをしていたら すぐに注意した。
相手にもわかるように 必ず英語で。 
日本人には 「ちょっと英語ができるからって 何気取ってんの?」と思われていたことだろう。 でも これが 子供の人間関係を広げるうえで すごく重要だった。
 
後になって アメリカ人ママ友たちに 「あなたは どんな時でも ちゃんと英語で子供たちにも話しかけていた。それって すごく好ましいことだと思う」と言われた。
私が子供に注意するときに 何を言っているのか 耳をそばだてている人が たくさんいたということだ。
 
 
 
言葉の問題はわかる。
アメリカ人ママ友とスムーズに井戸端会議ができれば 英検1級以上だ。
でも もし 校庭で 子供がクラスメートが遊んでいたら その親に あいさつや自己紹介ぐらいはできるだろう。また 今度 プレイデートしましょう、ぐらいは 言えるはずだ。 
 
つたない英語だって いい。
 
要は この日本人親子が どれだけ地域コミュニティーと関わっていこうとしているか その姿勢が見られているのだ。
 
 
「アンタ 日本人の友達とばっかり遊んでないで アメリカ人の友達も作んなさいよ」
と 日本人の親は他人事のように言う。
 
 
しかし、自分が日本人とだけつるんでいて 子供だけがアメリカ人の友人が勝手にわんさかできるということはありえない。親が 地域社会から背中を向けて 子供だけが 受け入れてもらえるはずはない。孤立無援の子供だってかわいそうだ。
 
 
アメリカの現地校に子供を通わせるということは 親もかなりの努力が求められることを知っておいてほしい。
 
 
 
 
 
あなたの行動、見られています。
 
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ブログ紹介

ニューヨーク駐在生活ありのまま

http://blogs.yahoo.co.jp/sabenukey

主婦ジャーナリストがホンネで綴るNY郊外の駐在生活。爆笑記事から泣ける記事まで アメリカと日本の「今」が分かります。

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