ある日、夫が慌てた様子で私のいる部屋に入って来た。
「小澤征爾がブザンソンに来るんだって!」
~~なんでもブザンソンで2年に一度行われている国際指揮者コンクールは50周年を迎えるため、ブザンソン市は、このコンクールでかつて優勝し、その後世界的に有名になった小澤征爾さんを招待するとのこと。
~うわあ~それはスゴイぞ!!~~~
確実にチケットを確保しなくてはならない・・!
私達はチケットが優先的に割り当てられる“コンクール友の会”の会員にまでなって席を確保し、周りの日本人にもこのニュースを知らせた。
絶対に行かなくては!!
ブザンソンの街中には“、Seiji Ozawaがやって来る”ということを告知した大きな垂れ幕やポスターが張り出され、私は日本人として誇らしい気持ちにもなった。
そして、ブザンソンのミクロポリスという会場で指揮をする小澤さんを熱い想いで見に行った!
この地で小澤さんの指揮が見られる!私は、ここで苦しんでいるみみにも何度、小澤征爾さんの話をしたか分からない。
「昔、ブザンソンのコンクールで優勝した日本人がいて、今はもう世界中で有名になったんだよ。」
みみは、着物を着て、花束を持って会場へ。
ロビーでは着物姿の小さなみみに、ニコニコ笑ったフランス人マダムが近づき
「KONNICHIWA!」と挨拶をしてくれた。
この地では珍しい日本人の姿もちらほら・・・。
はるばる他の国からこのコンサートを聴きに来た日本人もいたそうだ。
席に着くと、私達の2列前にも品のいい日本人老夫婦がいらっしゃる。
会場は満員になった。
この舞台に本当に現れる?!
幕が上がるのをドキドキして待つ私達。
そして・・・現れた”世界の小澤!!”
私の目の前で、、、タクトを振る、、、!!!
ああ、私は・・・夫が転勤になったフランスの地方の小さな街で、昔この地のコンクールで優勝した小澤征爾さんの指揮を見ている。
ありがとう・・・!小澤征爾さん・・・!本当に来てくださって・・・!
本当に感動して涙が出てきた。
中休み・・・・・
私はブザンソン在住Mさん(同年代日本人女性)と話を・・・。
実は私達、このコンサートの何日も前から企んでいたことが・・!!!
小澤征爾さんに会いたい!!直接お話したい!!!
この事前にブザンソンの日本人、ディジョンの日本人で寄せ書きもしていた。
そして、みみには花束を持たせてきた・・・。
どうにかして、できないかしら・・・。
私達、小澤さんのことを誇りに思っています!!!
そんな時、Mさん、とんでもないビックリ発言をした!
「私、日本で実は小澤征爾さんのお兄さんと仕事の関係で少し知り合いだったのだけど、さっきお見かけしたの。」
ええ~???!!
なんてスッゴイのだ!何を今頃そんなビックリ発言し始めてるのー!
何を言っているのだ!それなら、お兄さんを探し出して頼めばいいんじゃないか!!
私達、会場の中を探し始めた。
「この会場でいい席ってどこになるかしら・・?」
!!!私!!!閃いた!!!私の2列前の品のいいご夫婦!!!
「Mさん!!私の席のまわりだと思う!市長もいたし!!!」
ブザンソン市長は以前夫の会社を訪問しており、また市の行事でも度々見かけたので私もすぐに分かった。
2人で走って、、、Mさんはそのご夫婦を見て!
「いらっしゃった!!!」
ひゃあ!!!
小澤さんのお兄さんと話すMさん。。。そして私にOKサインを出すMさん!!
ブラボー!!!Mさん!!!
(長くて入らないので、つづく・・・)