先週の木曜日、例のフラヴィア嬢に誘われサンパウロ南部のジャルディン・ミリアン(Jardim Miriam)地区にある現代美術作家モニカ・ナドール(Monica Nador)さんの住居兼アトリエへ行って参りました。彼女の友人のキューレーター、リタさんも一緒です。
このジャルディン・ミリアン地区は、かなり貧しいエリアです。2004年、ここに地域に開いた文化施設Jardim Miriam Arte Clube(JAMAC)を開設するため、モニカさんはなんと、自分の住居まで移しました。彼女は、既にMACでの初個展をはじめ、MAMやマドリッドのアート展にも呼ばれる一流作家なので、まあ、どんな高級アパートにだって住もうと思えば住めたのです。でも、「お金持ちサークルがイヤ」とか言って、ファヴェーラ側のコミュニティにどっぷり使ってアートの力を試す道を選んだわけです。
JAMACでは、ステンシルプレートを使ったアートワークショップ(Oficina de Estencil)、デジタルムービープロジェクト(Cinema Digital)、地域住民のための公開講座(Cafe Jamac)を実施しています。また、近隣ファベーラの家の壁を塗るプロジェクトも実施しています。
このファヴェーラですが、モニカさん曰く、全くアートどころか文化に縁のない暮らし・・・例えば彼女の出会った14歳の少年は、寝るかTVを見るかタバコを吸うか妹をひどく扱うかくらいしかすることのない日々を送っていたそうです。でも、例えば、絵を描く、ステンシルを切る、ペンキを運ぶ、塗るなどといった作業を通して、新たな楽しみだとか可能性を知って、母親が仕事から帰ってくるのに合わせて家の前を掃除するというような、自ら周りを喜ばせる行動をとるようになったそうです。ファベーラの親方は、アートより勉強を教えてほしい、というようですが、アートの力は、たとえ直接学歴>稼ぎのよい仕事につながらなくても、生きる活力を与える偉大なものだと伝える好例です。
ちなみに、モニカさんは日本の豊田市でも2008年に壁を塗るプロジェクトを実施しました。在日ブラジル人の子供たちを多いに力づけたようです。
また、昨年、イビラプエラ公園内のブラジル文化パビリオン(Pavilhão das Culturas Brasileiras)で行われた、モニカ・ナドールの「みんなで作る」展示会(Monica Nador: Autoria Compartilhada)は、JAMACの活動を広く伝えたようです。見たかった・・・残念。下のドキュメンタリービデオ、ポルトガル語ですが・・・すてきなのでぜひどうぞ。(つづく)
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