小さい時から長年、鉄道官舎に住んでおりました。私は三人兄弟の真ん中。相部屋では理科や算数の公式、英語の単語を紙に大きく書いて、壁や天井に貼っては布団にはいってから眺めていました。剥がしてはまた別のを貼るのです。オームとアンペアの計算式もありました。サイン、タンジェントの三角比の式もありました。
ただ、ただ法則や計算式を丸暗記するだけの時代です。法則がどうして作られたかのエピソードなどは、やがてずっと後になってから知ることになります。ともあれ、知識丸呑みの時代でした。頭にはスイスイ入ったとはいえませんでしたが、今でも思い出せるほど記憶に長く留めました。暗記も大切なのです。