昭和24年、私は小学2年生でした。保護者の参観日があって、母が教室にやってきました。図工の時間になりました。丁度クレヨンが出回った頃です。私はクレヨンを持っていきませんでした。買ってもらっていなかったのかもしれません。
教室にはクレヨンを拾い集めた箱があって、短くなったものがたくさん入っていました。私はその箱からクレヨンをとって絵をかきました。母はそれを見ていて、わが子がクレヨンを持っていなかったことを恥ずかしかったようです。今もその表情をうっすらと覚えています。
戦後の貧しい生活の中、懸命に働いていた母親の姿とクレヨン話は遠い思い出となりました。